文具で楽しいひととき
コクヨ
本当の定規
私のまわりの理系出身者の人たちがこの定規を絶賛していた。これはすごい!と。
そんな彼らからひととおり説明をしてもらっても、そのすごさが文系の私にはいまひとつピンとこなかった。しばらく時間をおいて、なるほどそういうことかとその意味、そしてすごさがようやくわかった。分かるというのは、それまで見えていなかったことが、見えること。別に視力がよくなったということではなく、見方が変わったということだ。
定規は何かを計る道具。そのキッチリとした計り方、目盛りの見方が甘かったと反省した。
■ 従来の定規では・・・
この「本当の定規」を説明するには、これまで私たちが使っていた定規から触れないといけない。これまでのものは、ひとつひとつの目盛りが線になっている。ここが大きなポイントなのである。私は何の疑問を持たずその線の目盛りの定規をこれまでの人生で受け入れてきた。しかし、よくよく考えてみると、その目盛りの線を大きく拡大すると、そこには線の幅と言うか、太さがある。たとえば、5.7cmの目盛りを見た時、その線のどこを見て5.7cmと見るか。その幅のある線の手前を5.7cmと見るか、後ろ端か、それとも中央なのか。そこのところがハッキリとしない。
これまでの定規にはそうしたところがあった。
■ ピタリとわかる「本当の定規」
では、この「本当の定規」を見てみよう。これは目盛りが線ではなく帯状になっている。当初、知人からこの帯状だからすごいんだよ!と説明されたが、これまでの定規の線にも幅があり、これはその幅がさらに太いじゃないか。。そのどこがすごいのか私の頭の中では???が浮かぶばかりだった。
しかし、こうなのだ。この「本当の定規」は1mmの帯状の目盛りが黒・無地と交互に並んでいる。5.7cmを見ようとすると、そこにはその太い帯がある。5.7cmの場合は、無地の帯の後ろ際を見ればいい訳なのだ。つまり、この角というピンポイントが、ジャスト5.7cmであるのだ。つまり、この定規ではそれぞれの帯の手前角・後ろ角がジャスト○○mmという訳なのだ。
反対側は0.5mm幅の帯目盛りになっている。老眼が進行している私にはルーペがないと使いこなせない。
この正確に測れるというのを実感したくて、手元にあるものを計ってみた。A4のコピー用紙の長い方は297mm、製図用シャープペンのペン先ガイドは4mmであると知識としては知っていたものを、生まれて初めて体験として自分の中にインプットできた気持ち良さがあった。
左上の白いところがA4用紙の角です
*
とは言え、これまでの人生において線の目盛りで定規とつきあってきたので、この帯状の目盛り、はじめは少々慣れが必要になる。でも、まぁこれも時間とともに慣れていくのだろう。一応、それぞれの帯目盛りの根元には両端の角にヒゲのようならラインがある。ここを見てひとつふたつと追っていけばいい。
定規の目盛りの読み取り方がガラリと変わる新鮮な体験ができるアイテムである。
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