2016.12.13(370)

「消し方にコツがいる消しゴム」

シード

色鉛筆用消しゴム CP-10

シード 色鉛筆用消しゴム CP-10

なぜ色鉛筆は消しゴムで消せないのか。その説明をするには、まず鉛筆が消せるメカニズムを知っておく必要がある。鉛筆の芯は、黒鉛と粘土で出来ている。消しゴムは、その黒鉛を吸い付ける特性を持っている。「吸い付ける」というと、ふだん消すときにそんなことやっていないと思われるかもしれない。しかし、私たちはちゃんとやっているのだ。こうすると、わかりやすいと思う。鉛筆で書いたところを消しゴムでスタンプみたいにペタと押し込んでみるのだ。すると消しゴムには黒鉛が吸い付けられている。この様に消しゴムには黒鉛を吸い付ける能力がある。しかし、これだけだと消しゴムに黒鉛がついたままになってしまうので、こすることでそれらをはがしキレイな面にしていく。私たちが何気なくゴシゴシとやっているその中で、この「吸い付ける」「はがす」を繰り広げているのだ。

そして、色鉛筆はなぜ消しゴムで消せないのか。色鉛筆の芯は顔料とワックスで出来ている。そもそも消しゴムは黒鉛は吸い付けられても顔料は吸い付けられないのだ。しかも、こすってしまうとワックスが逆に広がってしまう。こすった熱でワックスは柔らかくなって紙の繊維に入ってしまうのだ。

シード 色鉛筆用消しゴム CP-10

ここらへんのことは、文具の絵本「文房具のやすみじかん」を執筆する際に色鉛筆や消しゴムメーカーさんに色々とお聞きして勉強した。

■ 使い方にコツがあった色鉛筆用消しゴム

シード 色鉛筆用消しゴム CP-10

さて、今回の主役であるシード 色鉛筆用の消しゴム「CP-10」。ずいぶん前に、これは便利そうだと買ってみた。私はふだん赤青鉛筆をよく使っている。文字の上からうすく塗ってマーカー的に使ったり、アンダーラインなどを引いて強調したりしている。それを消すのにこれは都合がいいと考えた。しかし、実際に使ってみると思ったほど消すことができず、結局使わずじまいでストック用の引き出しに中で長いこと眠らせていた。あるとき、試しにもう一回使ってみると、一転してうまく消すことができた。どうやら私の消し方が間違っていたようだ。この消しゴムには消し方にちょっとしたコツがいる。

シード 色鉛筆用消しゴム CP-10

コツとは、色鉛筆で書いた筆跡の向きと同じように消しゴムを動かしていくというものだ。そしてもうひとつある。これはスリーブとよばれる紙ケースに小さく書かれていた。「最初は軽く、そして徐々に力を入れて消してください」と。当時はそんなこと全く気づかずお構いなしに消していた。この二つをあわせてやってみると結構キレイに消えていくのだ。イメージとしては、紙の繊維にまとわりついているワックス状の顔料をそおっと同じ向きでこすって繊維の奥まで入り込まないようにするという感じだ。黒鉛芯の時のように全て消し去るとまではいかないが、まずまずの達成感は味わえる。

シード 色鉛筆用消しゴム CP-10

シード 色鉛筆用消しゴム CP-10

■ 通常の消しゴムと成分が違っていた

そもそも、この色鉛筆用消しゴムはふつうの消しゴムとどこが違うのか。メーカーのシードさんに聞いてみた。その方によると、特殊な油分が含まれているのが一番の違いだという。先ほども触れたが、色鉛筆の芯にはワックスが含まれている。消しゴムに油分を入れることで、顔料の吸着性を高めているとのことだった。

色鉛筆が消せるということを知った上でこれからの人生を過ごしていくか、知らずに過ごすか。そんなこと、別にどうでもいいと人は言うかも知れない。でも、これからの人生の中で色鉛筆を消すという状況が一度や二度はやってくるかもしれない。その時のために、このCP-10という存在を頭の片隅に入れておくのは決してムダなことではないと思う。消し方のコツも含めて。

シード 色鉛筆用消しゴム CP-10赤青鉛筆の消しカスはどことなく金魚みたいです。。

シード 色鉛筆用消しゴム CP-10 100円+Tax

*この色鉛筆用消しゴムは、ふつうの消しゴムより結構ゴシゴシとこすることになるので、盛大に消しカスが出できます。コロコロ粘着式の「消しカスクリーナー まめコロ」で取ると便利です。

シード 色鉛筆用消しゴム CP-10 消しカスクリーナー まめコロ

シード 色鉛筆用消しゴム CP-10 消しカスクリーナー まめコロ

*こちらも色鉛筆が消せる消しゴム。デザイン性の高いタイプ「Gフォーカラー」。消字性能は同じでした。

シード 色鉛筆用消しゴム Gフォーカラー

*鉛筆、色鉛筆をはじめ、様々な筆記具がどうして書けるのかをわかりやすく紹介している絵本「文房具のやすみじかん」

文房具のやすみじかん 読書感想画中央コンクール 指定図書

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