文具で楽しいひととき
風呂敷
中学生の頃、数学のおじいさん先生がいつもカバン代わりに使っていた風呂敷。
放課後、バスケットの練習をしていると、たくさんの書類を詰め込んですっかりと大きくなった風呂敷を抱えてせっせと家路につくその先生の後ろ姿が懐かしく思い出される。当時、私は風呂敷なんて古くさくて格好悪いなと感じていた。そんな私がその頃に持っていたのは「マジソン スクエア ガーデン」のボストンバッグ。自分としては当時はそれが格好いいと心から思っていた。今、当時の自分がいたら駆け寄って「それ、格好悪いよ」とそっと耳打ちしてあげたくなってしまう。
そんな私もおじいさんの入り口に足を踏み入れ、風呂敷の格好良さ、そして機能性の良さがようやくわかるようになってきた。
■ 私がはじめて使った風呂敷は伊東屋さんのロゴが入ったもの
たしか、伊東屋さんが100周年を記念して販売されていたものだったと思う。これをどう使うかは全くあてはなかったが、まぁ記念だからと買っておいた。その風呂敷が便利だと感じるまでには、それからかなりの時間がかかった。
あるとき、連載している雑誌の文具撮影があり、自分の私物文具をあれやこれやと持って行かなくてはならないことがあった。それこそホチキスやペンケース、ノートやブロッターなど、形も大きさも違うものばかり。
紙袋にでも入れて持っていこうと思ったが、そうだ、風呂敷があったなと引き出しの奥から出して、試しにそれに入れてみた。これがとてもよかった。
■ 不定形のモノもキレイに収まる
形の違うものをゴチャゴチャといれても、四隅のギュッと縛ってしまえば、ピッタリサイズになる。
紙袋と違うのは、モノを入れたあとのスキ間、つまりデッドスペースが生まれないところ。スキ間がないので、中のものが不用意に動くこともなくなる。私はその風呂敷包みをリュックに入れるのだが、このときも荷物が必要以上にがさばならなくて済む。
また、セミナーを開催する時に大量のレジメの束を運ばなくてならないことがあった。
その時も風呂敷に入れてギュッと縛って運んだ。
袋や鞄はモノを入れるツールだが、風呂敷は「モノを包む」ツールなのだということが、ようやく理解できた。以来、風呂敷は私にとってモノを運ぶ時の小分けツールとしてなくてはならないものになった。
これまでは、伊東屋さんのロゴ入りのものを使ってきたが、もう少しシックなものが欲しくなり、アマゾンで探してみたらいいものが売っていた。値段は、800円ほど。商品説明では「墨色」とあったが、実物はちょっと紫色っぽいものだった。
ひとくちに風呂敷と言っても色々なサイズがある。私は伊東屋さん風呂敷と同じ70cm四方のものにした。それほど大きいモノをいれることはないのでこれくらいで十分。ちなみに素材はポリエステル製。色々なサイズのものを入れてはギュッとしばりを繰り返してもシワになりにくい。
■ 風呂敷はエコバッグ
こうして風呂敷を2枚手に入れたので、いつか使う機会があるだろうと、タップリとためこんでおいた各種紙袋は、一気に処分することにした。紙袋は、入れるモノに併せて、その都度ちょうどいい大きさのものを探さなくてはならなかった。風呂敷の場合は、一枚あれば入れるモノのサイズに関わらず、ビシッと収められるフレキシブルさがある。
一枚の布というこれ以上どうにもならないくらいシンプルな作り。結局のところ、シンプルな方が、多機能に使えるということを風呂敷を通じて改めて思い知らされた。
□ 風呂敷 一越無地・墨色は、こちらで販売されています。
□ 伊東屋 オリジナル風呂敷
□ 追記
読者の方から風呂敷の結び方についてアドバイスいただきました。風呂敷を結ぶ場合は「真結び(まむすび)」という方法をとるそうです。この結び方の方が、緩みにくくなるとのこと。私自身、風呂敷に結び方があるとは知らず何も考えずに結んでいました。「真結び」のやり方は以下をご覧くださいませ。
http://www.miyai-net.co.jp/furoshiki/wrap03.html
アドバイス頂いた方は、日頃から「文具で楽しいひととき」をご覧頂いている京都の風呂敷メーカーの方でした。
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