文具で楽しいひととき
国際 文具・紙製品展レポート
今年で24回目を数える ISOT 。
もう24回なんだと自分を重ね合わせてしみじみと思ってしまう。というのも、ISOTの第1回目の時に私はISOT事務局に新入社員として配属された。当時、私は22歳。22歳+24回=46歳。普段、自分の年齢というのは免許の更新の時くらいしか意識しないがISOTにくると、どうしても先ほどの計算をついついして自分の年齢をかみしめてしまう。
さて、これまでISOTは、7月の上旬に開催されていたが、今年は少し早まって6月末の開催。聞くところによれば、併催展も含めて規模が大きくなって収容しきれなくなり、以前は同時に開催していたブックフェアと別れることになったのだという。
今年もいつものように会期初日(6月26日)を終日使って取材をしてきた。
■ デジアナだけでなかったキングジム
東5ホールの入口をくぐり抜けると大きなブースが華やかにバルーンをあげている。その通路を人をかきわけて歩いていると、キングジムの広報の方と目が合い、まずはキングジムのブースから見せていただくことにした。キングジムと言えば「ポメラ」、「ショットノート」などアナログ文具とデジタルの橋渡しをしてくれる「デジアナ文具」のリーディングカンパニーだ。
今回もその「デジアナ文具」の新作がお披露目されていた。文具とデジタルの「橋渡し」という意味では、これはその「橋渡し具合」が飛び抜けていた。「バテリオ」というノートカバー。
一見したところではA5サイズのごく普通のノートカバーといった感じだ。マグネット式のフラップを開き広げると右側に「ショットノート」が収まっている。(標準で一冊付いている)内側にもフラップがあり、それを広げると左側に3種類のUSB コードが出ている。
実は、この内側にはバッテリーが内蔵されていて、スマホやタブレット端末の充電ができるようになっている。ちなみにiPhone 4と5は、純正コード経由で一番右側の USB に接続する。そのため右側のフラップにはコードを収納できるポケットまでついている。当然、使う前には予め「バテリオ」のバッテリーは充電しておく必要がある。
3つ同時に充電するというよりかは、ひとつずつ使うのを想定しているという。「ショットノート」は手書きメモをスマホで手軽にスキャンできるスグレモノだが、いかんせんスマホ本体のバッテリーが切れてしまったら普通のメモ帳になってしまう。
そこで、アナログ文具がデジタルに歩み寄ってバッテリーつきのノートカバーにしたという訳だ。
* キングジム バテリオ
デジアナ文具以外にも注目すべきものがあった。その一つが「オレッタ」というファイル。
A4の紙を3つ折りして収められるというものだ。
外出先の地図などA4の書類を持ち歩く事はまだまだ多い。これまでだとA4のクリアファイルあたり入れて鞄にしまっていた。しかし、女性のバックだとそもそも入らないこともあった。そこでコンパクトに、A4書類を持ち運べるようにしたというのがこのアイテム。A4の紙を小さく運ぶのなら半分のサイズのクリアファイルに折りたたんで入れるという方法もある。
オレッタが面白いのは紙を折りたたんで入れるのではなく、紙をファイルに入れてからファイルもろとも折りたたんでしまうところ。
A4書類だけでなく、展示会の招待ハガキや飛行機の イー チケットなども収まり、これは便利に使えそうだ。折り畳んだ状態はとてもスリムでスーツの内ポケットにも入ってしまう。コンパクトに携帯でき広げれば中の確認も楽にできてしまう。パタパタと綴じる時の音も心地よかった。
* キングジム オレッタ 500円+Tax
そして、もう一つが「インデックスノート」。
A5サイズのリングノートを開くと、紙面の端に5つのインデックスが予めスタンバイしている。
この1ヶ所にたとえば「プロジェクト A 」などと書き込み、残りの4つのインデックスは切り取ってしまう。
ちなみに、それぞれのインデックスにはミシン目が入っているので、手で簡単に切りとることができる。そうするとノートの紙面にインデックスが出来あがる。これまでインデックスはノートに後付けするものだった。これはノート紙面をそぎ落としていくことでインデックスを作り出すというスタイル。
インデックスを別途持たずとも、ノートを使いながらインデックス管理ができるのがいい。検索はパソコンを始めデジタルの得意分野だが、ノートだって負けてはおられん!とがんばっている素敵なノートだ。ファイルそしてインデックスの新製品も出てきていたが、考えてみれば、これらはそもそもキングジムの十八番の分野だ。特に驚くこともないのだ。
最近はあまりにも「デジアナ文具」のイメージが強かったのでちょっと新鮮に感じた。
* キングジム インデックスノート 450円+Tax
■ 久々の出展ステッドラー
ISOT に筆記具メーカーの出展が少なくなって久しいが、そんな中で数年ぶり、いやひょっとしたら十数年ぶりかもしれないがステッドラーが出展していた。今回の目玉はドイツフランクフルトのペーパーワールドでも発表されていた高級筆記具の「ステッドラー プレミアムライン」。
このISOTが日本での初お披露目となる。すでにペーパーワールド2013レポートで紹介しているので、詳細は割愛させていただくが、一つだけご紹介したいものがある。
「 The Pencil 」だ。
ドイツではショーケース越しに指をくわえて眺めるだけだったが、今回は実物を手にさせてもらうことができた。そのインプレッションをお届けしたい。手にした第一印象は見た目の重厚さのわりに意外と軽量だった。
キャップはマットな質感で見るからにアルミ製のようだが、聞けば、これは樹脂製だという。なるほど軽いわけだ。
それにしても軽い。キャップから鉛筆を引き抜くと、まるでボディ全体が芯であるようなオールブラックの鉛筆になっている。
これはステッドラーが最近力を入れている「WOPEX 鉛筆」だ。「WOPEX」とは芯と軸を一体成形で製造するという最新の鉛筆。試し書きをしてみると以前感じた「WOPEX」とは少々違っているようだった。
以前は、かなり芯が硬くややプラスチッキーな書き味だったが、今回のものはかなり通常の鉛筆ライクな書き味になっていた。特にマイナーチェンジなどはしていないそうだ。その鉛筆の後にはスマホやタブレットで使えるタッチペンが付いている。
「WOPEX」の軸は樹脂と木材から出来ており、この「The Pencil」だけにはそれらの原材料にグラファイトも混ぜている。そのため、こうして軸の部分を持ってもしっかりと通電させ使うことができるようになっている。一般的な木軸の鉛筆ではこうはいかない。
キャップの先端を引っ張ると消しゴムが出てくる。
ユニークなのは鉛筆削りの機構。普通に鉛筆をキャップにさして行う。ただ、この時キャップの根元をクルリと1/4回転させる。
するとキャップの横にある窓みたいなものが開き、このまま鉛筆をねじ込んでいくと削れていく。
削りカスはその窓から出てくるのだ。
削り終われば、先程のキャップの根元を逆回転させ窓を閉めれば OK 。キャップの差し込み口がそのまま鉛筆削りになっているというところが面白い。気になる値段はキャップと鉛筆3本がセットされて5,000円+。予備用の鉛筆は6本で5,000円+Tax。
* 「 The Pencil 」
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