文具で楽しいひととき
展示会レポート
■ ペンのバリエーションがとてつもなく豊富
ステッドラーブースには時間にして2時間半くらいは滞在し、数十種類ものペンを取材させていただいた。
これだけのペンを取材したのに、すぐまた別のペンに私の目は止まった。あれだけのペンを見たのだからもういいだろうと思うところだが、私にとって「甘いもの」と「ペン」は別腹なのだ。「Meisenbach (マイセンバッハ)」は、1880年創業というドイツのペンメーカー。ブースに誇らしげに並べられていたのは、真っ白に塗装されたペンの数々。
なにもこの白いペンをそのまま販売するという訳ではない。この会社は様々なデザインのペンを持っているということが一番の売り。たとえば一つの胴軸は、いくつものデザインのキャップそして、尾栓がセットできる。胴軸自体も長いもの、短いもの、そしてスリムなものから太いものまで色々とある。
では何通りのペンが作れるのか?と聞いてみると担当の人にももはやわからないという。ブースには新しくデザインされたペンも展示されており、やはりここでもそのバリエーションがいくつもセットされていた。
同社では売り上げの約80%が他社のブランド向けにペンを作るいわゆる OEM 、そして20%が自らのブランドのペンという割合だ。
日本ではまだ展開していないそうだ。ボールペン以外に万年筆タイプもあり、万年筆はインクフローを機械でチェックし品質管理を徹底しているとのことだった。
■ ロディアの新作続々
ホール4.0をいったん離れ、3.0へと向かった。ここにはクレールフォンテーヌ・ロディアグループのブースがある。日本支社代表の方がこの日しかブースにいらっしゃらないということだったので急いでブースへと向かった。ブースにはクレールフォンテーヌ、ロディア、エルバン、 Gラロなど同社に属するいくつものグランドが一堂に展示されていた。
老舗ブランドということもあってたくさんのバイヤーが詰めかけていた。まず、はじめに見せていただいたのはロディアの新作。これは「ブロック R by ロディア」というもの。定番のブロックロディアのようなスタイルだ。
ただ、これがちょっと違うのは表紙がマットな手触りであるところ。そして、右下には商品名にもある「R」のマークが見える。中の紙はクリーム色で紙重量もブロックロディアの80g/㎡に対し、10g重い90g/㎡になっている。実は、この紙はロディアの「ウェブノートブック」にも使われているものだ。
紙面は横罫線のみで、サイズは11、13、16、19という展開。上質なタッチの表紙、そして紙質を使い、いわゆるハイスペックのロディアということになる。紙の枚数は10枚少ない70枚だが、ブロックロディアと比べると厚さはほぼ同じだった。
ビジネスシーンでの商談など、ここぞという時に使う、言わば、「勝負ロディア」というイメージのようだ。ちなみに、ブラック表紙タイプの他、オレンジ表紙タイプもある。そして、これは日本での展開はまだ検討中ということだったが、「ロディア UNLIMITED」というノートを見せてもらった。
ロディアらしい表紙にブラックとオレンジのゴムバンドが付いている。
厚みもそれほどないので、気軽に使うことができそう。紙面はタイトル枠の付いた横罫線。
ロディアと言えば表紙が縦に開くパッドタイプというイメージがある。ノートタイプでは横開きもあるが、いわゆるパッドタイプは、縦開きが基本だ。そんな中でパッドスタイルを保ちながら、横開きにした「ブロックロディア サイド」というものも登場していた。
A4サイズとタップリとした大きさ。ノートと違うのは、表紙にブロックロディアでお馴染みの折り目が付いている点。
ノートのように完全に見開くのではなく、表紙を折り曲げて開くというスタイル。
横に開いて使うロディアのパッド、これはちょっと新鮮だ。罫線は方眼、横罫線そして、SEYES(セイエス)というフランス罫線も用意されている。今回のロディアの新作は表紙の開き方が多彩だ。「ロディアポケット」というこのメモパッドは表紙が上から開く。
こうしたタイプは、すでにいくつかのメーカーからも出ているが、実はロディアでは20年ほど前にやはり「ロディアポケット」の名で発売していたのだそうだ。それがこのたび復刻された。
昨年から日本でも展開されたロディアのハードカバー手帳の「ウェブノートブック」。その横長スタイルとして「ランドスケープ」が仲間入りした。14 cm ×11cm の小さいサイズと A5横長の2サイズ。「ランドスケープ」とは景色という意味があるが、パソコン業界では横長画面のことを俗に「ランドスケープ」とも呼んでいる。
今や私たちの仕事は、パソコンも画面を見ながらというのが中心。そのパソコン画面と同じ横長のノートはきっと仕事をスムーズにしてくれることだろう。
そして、これは日本だけで限定発売される「THE ブロックメモ」。デザイナーは水野学 氏。
水野学 氏と言えば、ニトムズの「 STALOGY」をデザインディレクションしたことでも知られている。今回のものでは、ロディアが発売された1900年代当時にフランスでよく使われていたタイポグラフィーを採用している。いい顔をしたロディアだと思う。4サイズがワンパックに収められて発売される。
クレールフォンテーヌの復刻ノートの第2弾。今回はボブファンデーションによるデザイン。3柄6色。
クレールフォンテーヌ「 GraFit 」というスケッチ用のメモパッド。これまでは無地だけだったが、ドットも新たに加わった。
■ 書類のアーカイブに
ファイルされた書類はプロジェクトが終わりを迎えると、ファイルから取り出され、よりシンプルな形で保存される。日本ではこの時、綴り紐がよく使われる。これは、そのヨーロッパ版というべきものだ。
紐タイプよりもずっと便利かもしれない。「D-CLIP」という名前は、どこかで聞いたことがあるが、それとは全くの別物。デンマークの TOP - PRINT というメーカーのものだ。赤、青いずれもプラスチック製で赤い方だけは中にフレキシブルに曲がるワイヤーが入っている。使い方は、まずファイルを広げリングを開けるところから始まる。2本の足の先端はわずかに凹んでいるので、リングの先端にピタリとセットできる。
この連結した状態で書類を「D-CLIP」側にどんどん移動させていく。
凹凸で「D・CLIP」とリングをセットしているだけだが、そもそも本体がプラスチック製でしっかりとしているので、スムーズに書類の移動ができる。書類を「D-CLIP」に完全に移動したら、2本の足に留め具をセットして足をグイと折り曲げる。
たったこれだけ。このフレキシブルに曲がるレッドタイプは何度も使い回しが効く。一方でブルーのタイプは中にワイヤーが入っていない。書類を収めたら足を完全に折り曲げてしまう。つまり、回コッキリタイプ。この「D-CLIP」が気が効いているのは、背ラベルまで付けられるところ。こうした書類を綴じるだけのものは、背のラベルが付けにくい。「D-CLIP」には専用の紙製ラベルが付属されている。
書類と留め具の間にラベルをセットし、余った紙は「D-CLIP」の隙間にさし込む。
こうするとラベルが背に出来上がる。日本ではまだ展開していないという。ぜひ展開してもらいたいアイテムだ。
■ PROVER の新作は多機能派
日本でもすっかりお馴染みの PROVER にも新商品が発表されていた。なんとつい2週間ほど前に出来たばかりだという。「FIXON PLUS 」というものだ。
基本機能は「FIXON」の十八番であるテープを貼ってから切るというものがベースになっている。封筒など予め決まった長さのテープを貼る時には、この貼ってから切るというのが実に重宝。今回、ボディがよりコンパクトになり、さらに二つの新たな機能が加わっている。
ボディサイドには封筒の封をキレイにカットするための専用カッターが付いている。
封をする、そして封を開けるという両方がこの1アイテムでできてしまう。そして、その反対側にはもう一つの別なカッターが付いている。
これは一枚切りカッター。2種類のカッターが付いているが、メインのテープディスペンサーの使い心地に全く影響を与えてないスッキリとしたデザインに仕上げているのはさすが PROVER 。
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