文具で楽しいひととき
Leggi COMODO
Porta Book
これが我が家にやってきたのは、いつ頃のことだったろうか。おそらく3年くらい前だったように思う。記憶が曖昧なくらいだから、これは私が買ったものではない。自分で買ったものであれば、こと文具については私の記憶は相当によい。50円の消しゴム一つにしてもしっかりと吟味するから、私の記憶に深く刻みこまれていく。
これは、確か妻が海外出張に行った際、サンプルとしてもらってきたものだったと思う。妻から、これあげると言われ、これがなんであるのかをしっかり確認することなく文具ストックスペースの端っこにずっと立てかけられていた。以来3年の月日が経ったということになる。
先日探し物があり、ストックスペースをおもちゃ箱をひっくり返すようにしていたらふとこれが目にとまった。3年ぶりの再会である。3年ぶりといっても、以前に一度会った、というかすれ違ったくらいなのでそれほど劇的な再会ではなかった。しかし、改めてこれはなんだろうかと気になり、探し物をそっちのけにして、これを改めて見てみた。何かやらなければならないことがある時ほど、不意に別なものが無性に楽しくなってしまう性分が私にはある。
これは今に始まったことではなく例えば学生の頃、試験の前日だというのに、テレビのスイッチをなかなか切れず、いつもとなんら変わらない天気予報の番組を食い入るように見ていたことがあった。なぜだかわからないのだが、天気予報がすごく面白く感じられた。まあ、結局のところ現実逃避をしたかっただけなんでしょうけどね。
さてさて、今回のアイテムはそんな私の寄り道心を大いにくすぐってくれた。メーカーは、Leggi COMODOというイタリアの会社。そして商品名は「Porta Book」。外観は、A4をひと回り、いやふた回りくらい大きくしたサイズ。うっすらと半透明になっている。
ボディのレッドは樹脂製のようで、見るからにファイルのようだ。確かにこれはファイルとしても使えるものである。
表面には2本のゴムバンドが付いていてこれを MOLESKINE の要領で外し、後側に開放してあげる。
そして、やはり MOLESKINE のように表紙を開く。表紙の一部はグラグラとしていて、やや不安定な開き心地。
開いて内側を見てみると、ウム、、これは一体??といった印象。
あまり奥行きはないが、 A4の書類くらいは入れておけるスペースはある。取説によると、ファイルとしての機能はオマケみたいなもので、中心となる別な役割があった。
■ 基本は書見台
それは書見台。先程表紙を開いた時のグラツキはそのためで開くというよりも起こしてやるのが正しいやり方。グラついてる部分を折り曲げてジグザグの部分に固定する。
このジグザグは5つあって、書見台の角度が調整できるようになっている。A4よりふた回り大きいということで机の上に組み立てると結構な場所をとる。これを本格的に導入するには机の上の大幅な模様替えが必要となりそうだ。書見台なので、一応本を置くスペースも確保されている。
あえて「一応」と申し添えたのは、本を置く台のスペースがとても狭いから。
また、書見台と言えば本を立てるだけではなく開いたページをしっかりと固定出来ないといけない。一見、これにはそうした固定パーツが見当たらない。と思って取説を読むとちゃんと対策が考えられていた。先ほどあったゴムバンドがここで活かされる。後側に解放したゴムバンド再び表面に戻し、開いた本もろとも固定してしまう。
しかし、本を置く台が大変狭いのに加え、ゴムバンドが本のかなり下側にしか固定できないので、低い柵しかない崖っぷちの細い道に立たされたような不安定感がおそってくる。
色々と試してみたが、思い切って本を崖の小道から地面におろしてあげてその上でゴムバンドをとめてみると、一転してとても安定感があった。
こうすると確かに固定はできるが、気軽にページをめくるというのはちょっとやりづらい。
■ ノートPCスタンドにも
この様に書見台として使う以外に、角度を緩やかにして、ノートパソコンをのせてもいいという。キーボードは机の上にフラットに置くよりも、奧側をやや起こしてあげるほうが、打ちやすく同時に姿勢もよくなる。
実際にこのPorta Bookに私のレッツノート「W8」を載せてみた。確かにしっかりと載せることができる。しかしながら、キーボードを打ってみるとややゆらゆらした感じがつきまとう使い心地だった。
■ 中はA4サイズの収納スペース
次に付随的機能であるファイリングについて見てみよう。内側にはA4サイズの紙がピッタリと収められる。
枚数としては20~30枚くらいだろうか。ちなみに、クリアフォルダーはわずかに縦方向がはみ出してしまいギリギリ入らなかった。うまく出来ているのは紙の収納スペースとは別にペンのスペースも確保されているところ。
中で紙とペンがごちゃごちゃにならないように仕切りが設けられている。フタを閉めて、先ほどのゴムバンドで固定すれば筆箱付き書類ケースとして、持ち歩くことも可能。
なかなか考えられているな、と思ったのは、このフタを閉めた状態でも中の紙を取り出すことが出来る点。しかもペンには迷惑をかけない形で。表紙は、書見台のスタンドとなるように二つに折れるようになっているが、これが功を奏する。表紙の隙間に指を入れてそのまま広げてあげればいい。
閉じてる状態ならゴムバンドで表紙は固定されているのでほどよく開けることができる。その隙間から書類を取り出せばいいのだ。この時、ペンケースに入ったペンがこぼれ出ることはない。
もう一つの使い方としてクリップボードというのがある。ゴムバンドがクリップ代わりになって紙を固定することができる。
このPorta Book自体に結構な厚みと硬さがあるので、このまま筆記することも可能。
■ ミニサイズもある
実は、このPorta Bookにはミニサイズまである。
大きさは、10.8cm×9.3cmという手のひらサイズ。
基本的な作りは先ほどとほぼ同じ。
■ メモとペンが入る
ゴムバンドを外すと中にはちゃんと収納スペースもあり、ここにはロディアの11番がサイズ、厚み共にもピッタリと収まる。
そして、こちらにもペンスペースが確保されている。しかし、さすがにスペースが短いのでセットできるペンはかなり限られてくる。いろいろ試してみたが、ちょっと幅がキツ目だが、トンボのXPAやラミーのピコはどうにか収まった。
収まり具合は、ギチギチといった感じであまり良くないが、おさまり姿としては悪くはない。また、短くなった鉛筆を補助軸にセットして、というのもいいと思う。
一方、書見台としてはやや心もとない。
取説では、本よりもメモや携帯電話あたりをのせている写真が紹介されていた。
書見台の背には丸い切り込みがあり、ここには、小さなメモなどの紙をクリップのように挟んでおける。
書見台というと、日本ではデスクに固定しっぱなしにするものというイメージがあるが、これは、気軽に持ち出せる利便性がある。しかも、ひとつで3役をこなしてしまう。会議室や図書館などで調べ物をするときなんかには便利な存在となりそうだ。
□ Porta Bookは、こちらで販売されています。
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