文具で楽しいひととき
ペーパーワールド チャイナ
2008 展示会レポート
■ シルクを使ったステーショナリー
昼時にブースを回っていると、中国系ブースからは、いいにおいが漂ってくる。というのも、多くのブースではスタッフの人たちがお弁当を食べているためだ。遠慮気味というそぶりは全くなく、むしろこれは、我々にとって大変重要な仕事の一つです、といった感じで堂々と食べている。
一方、中国系来場者の側も、そうしたことを特に気にすることなく、食事をしている人の横や後ろを平気で通りながら商品を見て質問などしている。私もそれにならって、中華料理の香りを感じながら取材活動を行っていた。そうした中で見つけたのがこの「杭州立博文化芸木品有限公司」だった。
この会社が得意としているのが、シルクの加工技術。壁には掛け軸スタイルのカレンダーなどがあり、メイン商品としてシルクカバーのノートや手帳が色々と並んでいた。
シルクロードというように、中国とシルクは深い関わりがある。同社では、その伝統的なシルク加工技術をさらに進めて、たとえば、写真的なものなど様々のものを織ることができる技術をもっている。
そうした技術で作り上げられたシルクのノートカバーは、中国の伝統的な模様から、現代風のものまであり、なかなか見応えがある。
そもそも、シルクという素材のよい点はどんなところがあるのか、おたずねしてみた。まず、長く使い続けることができることがあるのだと言う。何千年も前のシルクの織物が発掘されることがあるそうだが、そうしたときにも、シルクはあまり傷むことがなく、当時の模様がしっかりと残っているという。
また、冬暖かく、夏涼しいという特性もある。これは手帳カバーとして1年を通して使う場合には、最適と言える。そして、展示されている手帳を手にして私もとても感たのだが、実に軽いということもある。レザー製のカバーとはまた違う趣のものとして、シルクはなかなか可能性に富んだ素材のようだ。
■ ヨーロッパテイストのデザインノート
インドネシアに本拠を置く世界規模の製紙会社グループアジア パルプ アンド ペーパー (APP)。そのグループ会社は世界各国にあり、今回のペーパーワールド チャイナでも何社も出展していた。
その一つが、このYalong Paper Products(Kunshan)。
ヨーロッパ市場で展開をはじめている新ブランド「INSPIRA」を中心に展示していた。商品ラインナップは大きく分けて、高級ラインと鮮やかなデザインラインの2種類。高級ラインの方は、布製のハードカバーになっており、中の紙もより高級のものが使われている。
ブラックとグレーのシックな表紙。
表紙についている札のようなものは、実際にノートとして使うときに、活用できるようになっている。
やや柔らかいプラスチックのような素材になっており、簡単に表紙から、取り外せる。これをノートのしおりとして使え、さらに、裏面には、目盛りも付いているので、定規としても使うことができる。
もう一方のカラフルタイプは表紙が厚紙になっており、先ほどのしおりは付いていない。
説明をしてくれた担当の方は、日本市場ではこちらの鮮やかなタイプよりも先ほどの高級タイプのほうがいいとしきりに勧めてくれた。しかし、かならずしもそうでもないと思う。
高級タイプももちろんいいが、気軽に使いたい人たちには、むしろこちらのデザインタイプの方が好まれるのではないだろうか。特に日本の若い人たちから支持を得そうな気がする。最近の日本では、上質な紙に慣れているユーザーが多いので、あとは紙質が合うかということになると思う。残念ながら、この時は試し書きをすることは出来なかった。
■ 独自の技術をもったファイルメーカー
ペーパーワールド・チャイナには、たくさんのファイルメーカーが出展していた。しかし、その多くはどこかで見たことのあるように私の目には映った。今回はファイルでは、ご紹介できるものはないかな、とほぼあきらめかけていたところで出会ったのが、このブースだった。
「格羚塑膠有限公司(GREENTH INDUSTRIAL)」という会社。ブースが会場の後ろの方にあったので、油断をすると見過ごしかねない位置にあった。この会社ではPP素材のファイルを製造している。
PPファイルということだけであれば、別段珍しくもない。しかし、ここのファイルは背表紙に大きな特長がある。
一般的にファイルの背表紙というものは、そのほとんどが平らになっているものだ。ラックなどから取り出しやすくするために、背の下に穴を開けるなどしたものも多い。しかし、これはどうだろう。穴の代わりに、手に握りやすいような形に背表紙がグリップ状に絞り込まれているのだ。
その私の驚きを察して、担当者が駆け寄ってきてくれた。彼は中国人なのだが、実に日本語が達者だった。それもそのはず、よくよく聞いてみると、すでに日本市場に入り込んでいるとのことだった。その社名は、日本の誰もが知っている社名ばかりだった。
日本語がうまいのも、うなずける話だ。取引先は、日本だけでなく、ヨーロッパの大手メーカーにまで及んでいた。この特殊な形状をしたファイルを手に、彼は流ちょうな日本でこう説明してくれた。このファイルの素材は、「PP発泡」というもの。
普通のPPではなく、「発泡」をしているのだそうだ。なぜ、ビールでもないのに
わざわざ発泡させる必要があるのだろうか。そこには、同社の深い深いこだわりが隠されていた。PPを発泡させることで、中に気泡ができる。つまり、素材の量を減らすことができる。要は、製造コストを抑えられる訳だ。同時に、使い手にとっては、軽量になるというメリットもある。
しかし、気になるのは、中に気泡があるということは、強度的が弱くなってしまわないか、というこである。その点を聞くと、待ってましたとばかりに、大きな笑みを浮かべて答えてくれた。確かに気泡が増えれば増えるほど強度が弱くなるはずである。しかし、同社が独自に作り出した技術を使うことで発泡をしても強度は問題がない。
むしろ、発泡の度合いをあげるほど強度は高まっていくと説明してくれた。実際にファイルを手に持ってみると、弱々しさはなく、いつものファイルとなんら変わらない。しかも、確かにとても軽い。
また、PPという素材は、これまで平面以外の特殊な形に成形するのは一般に難しいとされてきた。しかし、この会社では、それも問題なく出来てしまうのだという。その技術をもってして、先ほどの絞ったような形状をつくりだしてきた訳だ。
その代表例として、二つのファイルをみせてくれた。
ふつうファイルの背表紙に丸みを持たせるには、縦にスリットを入れて、折れ曲がりやすいようにしなくてはならなかった。しかし、同社ではスリットなしに百科辞典のようなやさしい丸みを作り出している。こうした特殊な技術だけなく、PP素材には68%のリサイクル素材を使うなど環境への配慮も行われている。
そもそも、原料が少なくてすむ「PP発泡」はすでに環境への配慮がなされているとも言える。中国の技術力をまざまざと見せつけられた思いがした。今回の中国系出展社の中で、最も見応えのある製品だった。
■ デザイン ステーショナリーがズラリ カール事務器
昨年も出展していたカール事務器。前回のブースでは、直近に東京で開催されたISOT(国際文具・紙製品展)での出展内容と大きくは変わらなかった。
しかし、今回はどうだろう。日本で見かけない新しいプロダクトがいたる所に並んでいた。ブースの看板には、それを象徴するかのように「CHANGE」とあった。カール事務器が日本でも展開している「FECADE(ディケイド)」。その新しいラインナップが出展されていた。
もっとも目を引いたのが、レザープロダクト。カール事務器としてこうした革製品を扱うのは初めてのことだと言う。
このロール式のペンケース、7本のペンを収納するたっぷりなサイズ。ペンを深々と納めるこれまでのものと違い、よくシステム手帳に着いているペンホルダーのようなスタイル。ペンケースを広げた時に、ズラリと並んだお気に入りペンのほぼ全身をたっぷりと拝むことができる。
ブラック一色なので、きっとどんなペンも映えることだろう。持ち運ぶ際は、上下にかぶせがあり、ペンが落ちたりすることはない。ブラックだけというと、単調になりがちだが、一部には、クロコダイル調の型押しがあり、アクセントになっている。
そして、これはメモ、ペン、カードを収納できる多機能ケース。
一見すると、手帳カバーにしか見えないが、内側にペンの専用ポケットが3カ所用意されている。
留め具にはマグネットが採用されているので不用意に開いたりしないようになっている。この他、書類ケースもあった。
クリアフォルダーのように片側2辺が開放されている。センターに引かれたラインが格好いい。ちょっとユニークなところでは、携帯用灰皿というものもあった。
円柱スタイルのケースには革が巻かれ、高級感がある。携帯用灰皿は、どちらかと言うとあまりデザイン性の高いモノがなかったので、デザインにこだわる喫煙者の方々にいいかもしれない。
カール事務器お得意のデスクアクセサリー系でも新顔がお目見えしていた。まず、デスクトレイ。書類を入れておくものだ。
これまでのものは、書類を平らにして積み重ねていくものだが、これは、やや斜めになったスタンドにもたせかけて書類を立てるというもの。すぐにチェックを必要とするものは、こうして立てておいたほうが忘れなくていいと思う。立てることで、机の専有面積も小さくて済むというメリットもある。
次にこれは、名刺収納ケースボックス型で細長いタイプと短いタイプがある。
こうした名刺ボックスは、これまで縦に使って、手前から名刺を入れていた。しかし、今回のものは、横長の状態で使う。
長細いタイプは2列、短いタイプは1列分、収納できる。おもしろいのは、ふたを閉じた状態であれば、スタッキングできるようになっている。
ふたの表面にあるビスによって、ピタリと噛み合うようになっている。
そして、カール事務器が十八番である2穴パンチ。手で押し込むハンドルの部分が緩やかなカーブを描いており、これまでの事務用にとしてのパンチとは、一線を画すなかなかのデザイン。
そのセンターには、透明のアクリルのような窓がある。ここから、書類をパンチするときのセンター合わせをするのを確認できるようになっている。これらのブランド名である「DECADE」とは、10年という意味がある。まさに10年経っても色あせない、シンプルで飽きのこないデザインに仕上がっている。
このほか「SORG」という新たなブランド展開も始まっていた。この「SORG」は、日本語の「創具」からきているそうだ。
つまり創りあげるための道具ということだ。定規のようなスタイルをしているが、
これは、見た目どおりにスケールとして使うものである。
まっすぐに伸ばせば、定規として、回転させることで分度器のように角度も計れる。ケースも付属されており、設計などの仕事をされている方が図面の前に打ち合わせしているときに、これをおもむろに取り出したら、きっと注目の的になることだろう。
■ 初出展のユニオンケミカー
ユニオンケミカーという社名にもし馴染みがなくても30代以上の方なら、「レタリングシート」と言えば懐かしい思い出があるのではないだろうか。少なくとも、私はとても懐かしい。。まだ、CDなどない時代、音楽をカセットテープに録音して聞いていた。そのカセットに収録した曲名をアルファベットのシールを専用の工具で擦って転写していた。
その「レタリング シート」をユニオンケミカーでは、ずっと扱い続けている。そもそもユニオンケミカーは、カーボン紙の専門メーカー。そして、現在の主力は修正テープになっている。「レタリングシート」、「カーボン紙」、「修正テープ」これらの共通点は「転写」である。その転写をするための特殊なコーティング技術が同社の強みになっている。
特に修正テープは、透明の台紙に、粘着剤、剥離剤、そして我々が上から文字を書いている白いインクなどを何層にも渡ってコーティングしている。カーボン紙の時代から受け継がれてきたこうしたコーティング技術が現在の修正テープにいかんなく注ぎ込まれているのだ。
同社では、完成品の修正テープだけでなく、修正テープのおおもとであるジャンボロールというものを作って、様々なメーカーに供給している。
8年ほど前から中国天津に工場を構え生産を行ってきた。作るだけでなく、販売する先としても中国を考えてみようと、今回、出展したのだという。一般的に中国でよく使われる筆記具は、まだまだ鉛筆が中心。それが、しだいにボールペンにとって代わり始めてきている。
ボールペンを使うとなれば、当然、修正テープの出番も多くなる。今回通訳をお願いした上海在住の彼女に修正テープを普段使っているかと、聞いてみると、結構よく使っているという。しかし、中国のものはすぐにテープがなくなってしまい、使い勝手もあまりよくないそうだ。ちなみに、価格は2元くらいというから、30円くらい。日本の1/10くらいだ。
ユニオンケミカーの担当の方いわく、中国人の小売店バイヤーからは、どこで仕入れできるか、といった具体的な声も意外と多かったという。10倍の価格でも日本の性能は支持されるのか、今後の展開が楽しみだ。
■ 上海でもジェットストリームは人気
上海の中心街には、福州路という文化街がある。ここは、大きな書店、古書店、そして文具や画材といったお店が軒を連ねている。展示会が始まる前に時間を作って文具散策に出かけてみた。小さな文具店では、やはり中国系の文具が中心だが、ちょっと大きめの文具専門店に行くと、海外のものも多く目に入ってくる。
特にボールペンなどの一般筆記具エリアでは、とりわけ我らが日本文具メーカーのものがたくさん並んでいた。異国の地で、自分の国の文具がこうして並んでいるのを見ると、ちょっと誇らしい気分になってくる。
それら日本文具のコーナーで、ちょっとおもしろかったのが、例えばぺんてるやゼブラなどのメーカーごとにコーナー展開されていることだった。それだけ中国では、日本のペンはちょっとステイタスの高いものと位置づけられているのだろう。
そんな日本の筆記具メーカーの中で、ペーパーワールド・チャイナには三菱鉛筆が出展していた。今回出展していたのは、三菱鉛筆の上海エリアの代理店だった。ブースには日本でもよく見かける、シグノやアルファゲルなどが並んでいた。
その中で、専用ディスプレイで誇らしげに展示されていたのがジェットストリーム。
一見すると、日本のものと同じかと思いきや、ブラックボディタイプが、ちょっと違っていた。日本のブラックバージョンは、ボディの一部にインクカラーを示すブルーやレッドのラインがあるが、これは、全くのブラック。
唯一ノックボタンで色を示すのみだった。私は以前、そのラインが気に入らなかったので、マジックで黒く塗りつぶして使っていたことがあった。この中国のものなら、わざわざ黒く塗りつぶす必要はない。これは、日本でもぜひ発売してもらいたい。
また、日本で見たことのないジェットストリームもあった。シルバーボディでやや太軸になっている。
ラバーグリップが上下にやや張り出しており、その部分が、指で押し込むとフニャとつぶれる。
アルファゲルまでとはいかないが、なかなか気持ちいい。また、ノックボタンの押し心地もふんわりとした優しさがあった。こうしたジェットストリームは上海でも、今人気が高まっているそうだ。
上海でもっとも人気の高いペンをお聞きしてみると、2つのペンを見せてくれた。「ユニボール EYE」という水性ボールペン、そして「シグノ イレーサブル」という付属の消しゴムで消せる油性ボールペン。
いずれも、日本でも販売されているものだ。「ユニボール EYE」は、オフィスで働く人たち、そして「シグノ イレーサブル」は学生を中心に人気を博しているそうだ。
■ 欧米ステーショナリー
この展示会は主催者がドイツのフランクフルトメッセということもあり、欧米企業の中でドイツメーカーの出展が最も多かった。パビリオンという形式で、ドイツ文具メーカーがまとまって出展していた。その中で、なんとラミーが出展していた。中国ではこれまで出展していなかったので、初出展ということになる。
いよいよラミーも中国進出ということなのだろうか。はやる気持ちを抑えつつブースの中に入っていった。
■ いよいよラミーも中国展開を開始
今回の出展はラミーの中国代理店である「華東亜州有限公司」。同社では、香港、マカオ、そして中国を担当している。
同社の黄氏、そして 、ドイツ ハイデルベルグのラミー本社からインターナショナル セールス ディレクターの ダニエル氏もいらしていた。いい機会なので、おふたかに色々なお話をお聞きしてみた。中国といえば、海外のものでも、なんでも漢字にしてしまう国。たとえば、コカコーラも「可口可楽」としてしまう。
しかし、今回のラミーブースにはそうした漢字のロゴは見あたらなかった。黄氏によれば、ラミーはすでに確立された国際的なブランド。そのラミーブランドを正確に中国の人たちに伝えるためにあえて英語をメインに打ち出しているという。
ちなみに、中国語でのラミーというのもあるそうだ。「凌美」という。発音も「ラミ」。「凌」とは、「超える」や「しのぐ」という意味。つまり、「凌美」とは「美しさを超える」という意味になる。読み方だけでなくラミーの本質もよく捉えた名前だ。
数あるラミーのペンの中で中国ではどれが人気のあるかとうと、それはラミーサファリだそうだ。
私たちがインタビューさせていただいている最中も中国人バイヤーの20~30歳くらいの若い人たちがサファリに興味を示し、熱心に試し書きを行っていた。ラミーは、どこの国で販売するときも全く同じ戦略をとるという。彼らの販売戦略の中で、まずはじめにラミーを感じてもらうのが、サファリというシリーズなのだ。
このペンを使ってもらい、その後さらに上のモデルが欲しくなり、ラミー2000などに進んでいってもらうという流れを作っているのだという。
私も、まさにサファリからラミーをスタートして、その後にラミー2000、スイフトなどと進んでいった口である。ラミーの戦略通りに、まんまとはまったということになる。
さて、今回のブースをぐるりと見てみると、中国だけに販売するという商品は見られなかった。先ほどのどの国でも同じ戦略ということが徹底しているのだろう。中には日本で見かけないモデルもあった。それは「トライペン」のステンレスバージョン。日本では、マットブラックタイプだけが発売されている。
また、バルーン、スマイル、ロゴといったものもあり、ほぼフルラインナップといった感じだ。中国人の黄氏もいる前では、これはちょっと聞きづらかったのだが、せっかく本社のダニエル氏もいらっしゃったので、思い切って気になっていたことをお聞きしてみた。それは、コピー商品についてだ。中国は、まだまだコピー商品が多い。デザインで勝負しているラミーにとっては、
中国市場はある意味、危険ではないのだろうか。
ダニエル氏はこう答えてくれた。
『確かにコピー商品がでてくることはラミーに限らず多くのメーカーの心配ごとではあります。しかし、考え方によってはもし、中国でラミーのコピーが出たとしたらそれは、それだけラミーが中国で人気があり認知された証とも言えます。私たちラミー商品の真のお客様は、決してコピー商品では満足されないと思います。本当にラミーが好きな方なら、きっと本物のラミーのペンを持ちたがるはずです。』
なんと懐が深いのだろうか。自らのプロダクトへの自信の表れとも言えると思う。
最後に、これは一般販売はしないものだが、と前置きしておもしろいものを見せていただいた。ラミーノトのスケルトンバージョンだ。ダニエル氏は「フロスティ」とこれを呼んでいた。
これは、一般の店舗では販売されない。コーポレート限定のものだと言う。コーポレートというのは、企業が自社のロゴを入れて使うものだ。実は、このブルーフロスティは、デザイナーである深澤直人氏があまり好きな色ではなかったらしい。そこで、一般販売ではなく、コーポレート限定ということになったのだと言う。
さらに最後に、今回の中国市場進出に伴って今後ラミーでは中国人デザイナーの採用ということはあるかをおたずねしてみた。ラミーとしては、特に国籍でデザイナーを選ぶという判断基準はもっていない。
ラミーにふさわしいデザイナーであれば、中国でもインドでもほかのどの国でも
今後あり得るのだという。
■ ドイツの鉛筆削りメーカー EISEN
ドイツには、鉛筆削りメーカーが3社もあり、その3社が世界的にも大きな売り上げを占めている。これは、とりもなおさず。鉛筆の生産がドイツで古くから盛んに行われてきたからだ。ファーバーカステル、ステッドラー、リラ、スタビロなど。
そうした鉛筆の発展に伴って、ドイツの鉛筆削りメーカーも発展している。その一社の「EISEN」というメーカーが出展していた。
以前より、同社では中国進出を果たしていた。主には製品の組み立てを行ってきた。刃やボディなどはドイツで生産し、それれのパーツを中国に送り、組み立てのみをおこなっている。今回、ブースで発表していた新製品を見せていただいた。
スケルトンボディが美しいフォルム。
鉛筆を差し込む穴は見あたらない。ボディの片側を回転させることで、その穴は現れる。
鉛筆削りの穴の周りというものは、削りかすなどがあり、それをさわると手が汚れてしまうことがある。こうして回転させて完全に収納してしまえば、その心配はない。また、反対側のキャップを外すと消しゴムが出てくる。
あとは、主役の鉛筆を待つばかりといった、実に気の利いた脇役である。
■ 取材後記
【今回通訳をしていただいた姜(じゃん)さん】
【各国のプレスの方々との夕食会。みんな意外と箸の使い方が上手でした】
【フランスから来ていた文具業界紙「ISG」の二人と】
【会場にはファミリーマートがあり、おでんまでありました。】
【空港までは時速430kmも出るリニアモーターカーで】
ペーパーワールドに関するお問い合わせは
メサゴメッセ・フランクフルト(株)info@japan.messefrankfurt.com
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