文具で楽しいひととき
オーセンティクス
ペンクリップ Sサイズ
先般のISOT2007の時にお会いした香港City SuperのステーショナリーバイヤーのパトリックさんがMoleskineにさりげなく付けていたペンクリップ。これがどうしても気になり、このたび、私もひとつ手に入れてみた。
ペンクリップのわりにといったらペンクリップに失礼かも知れないが、これが結構な値段がする。その価格、1,800円+Tax。
Moleskineのポケットサイズが1,800円+Taxなのでそれと同じ値段ということになる。この高さのせいもあって、気にはなっているものの、実際の使い心地はどうなのだろう??と思っていらっしゃる方も多いのでは。
そこで、その使い勝手をレポートさせていただこうとこう思った次第である。まず、パッケージがかなり変わっている。本体の何倍もの大きさがある。
ノートをかたどったケースになっており、こうやって使うんですよ、と言う具合にペンクリップと共に、ご丁寧に鉛筆までもが1本ついている。ここまですれば、このクリップが何のためのもであるかは一目瞭然となる。もし、このクリップだけが、ポツンと店頭においてあったらペンクリップと言うよりも、女性の髪留めにしか見えなかったことだろう。
さて、このペンクリップの取り付け方からご紹介しよう。まず、ノートを用意する。私はパトリックさんに習ってMoleskineにつけてみることにした。
■ 背のすき間にさし込む
ノートを少しばかり広げ、背表紙に隙間を作る。そこにクリップの長いほうをしっかりと差し込む。セットはこれで完了。
もうお気づきかも知れないが、このペンクリップを取り付けられるのは基本的にMoleskineのように、背表紙と綴じ部分の間に隙間ができ、幅が7cmのクリップが差し込めるよう、背表紙は1cmくらいなければならない。
こうして取り付けたクリップにペンをセットするには、表にでているクリップを引き上げて、その間にペン先側から挟み込めばいい。
ペンクリップとは、そもそもペンをホールドするということがメインだが、これは、クリップの部分がラウンド状になっているので、ペン先をしっかりガード出来るようにもなっている。
■ キャップの役割も果たす
なので、キリリと尖った削り立ての鉛筆でもキャップをしなくてもセットすることも可能だ。つまり、キャップの役割も果たしてくれている訳だ。
この背表紙に取り付けるということと、先ほどの丸みを帯びたフォルムのせいだろう。あと付けクリップでありながら、取って付けたという感じはあまりなく、ノートにピッタリと寄り添って馴染んでいる姿が微笑ましい。欲を言えば、シルバーメタルではなく、ブラックタイプもあれば、より馴染んだに違いない。
結構なクリップ力があり、ペンをホールドしたまま乱暴にペンを揺すってみたところでペンはびくともせず、ノートとペンの仲を引き離すことはできない。
次に気になるのは、セットできるペンの条件にはどんなものがあるかということだ。そもそも、このペンクリップには鉛筆がセットされているというように基本は鉛筆くらいの太さ、つまり7mmくらいががふさわしいと言うことになる。
鉛筆だけしかセットできないとなると、せっかくのこのクリップの価値も半減してしまう。そこで、色々なタイプのペンで試してみた。まず、鉛筆くらいのサイズと言えば、同じ六角軸ボディのカランダッシュのオフィスがある。
実際に取り付けてみると、やはり鉛筆サイズということでバッチリ決まる。ちなみに、Moleskineのポケットサイズの縦の長さにもピッタリだ。
そのほか、比較的細身のペンで試してみたが、パーカーのジョッター、ラミーLogoボールペン、ステッドラー エランスなどいずれもOKだった。
つまり太さは1cmくらいまでが良いと思う。ご参考まで、1cm以上の太めのペンでのとり付け結果を申し上げると、ラミーの2000(4色ボールペン)、スイフト、サファリ(ボールペン)はセットできないこともないが、結構きつめでペンが苦しそうだ。さらに、ペンがビシッと固定できずに、やや宙ぶらりんで不安定になってしまうことあって、あまりオススメできない。
もっとオススメ出来ないのが、ラミーサファリの万年筆。いかりや長介ではないが、「ダメだ、こりゃ。。」といった感じである。
太すぎるとダメとなると、では細いペンはどうなのかが気になる。細いペンの代表選手であるトンボZoom707とラミースピリットで試してみた。これが意外に、うまい具合にセットできた。細さについては結構な許容範囲があるようだ。
ペンの長さについては、このクリップとの相性に関係はなく、むしろ取り付けるノートのサイズにはみ出てしまうかどうかの方がポイントになる。
ペンのセットに関して、ひとつ注意しておかなければならないのは、クリップはメタルむき出しなので、ペンを差し込んだり、引き抜くときにペンに傷がついてしまうリスクがつきまとう。あまり傷をつけたくないペンは避けた方がよいだろう。
今度は、色々なノートにこのペンクリップを付けてみた。先ほど、ご紹介したように背表紙に隙間が出来ればOKだが、ここではノートのサイズなどを含めて試してみよう。A5サイズの「みすずノート小口染め」や「丸善のダックノート」は、なんら問題なく、取り付けることができた。
背表紙に差し込む棒の部分が13cmとかなりゆったりした長さがあるので、おそらくそれ以上に大きいB5やA4といったノートでも大丈夫だと思われる。背表紙にセットするというのが基本だが、背にさすことができないノートというのもある。例えば、ミドリのトラベラーズのように。
こうしたノートの場合は、 ちょっと邪道かもしれないが、表紙に付けてしまうという手もある。実際に取り付けてみると、見た目にもなかなか格好良い。
ただし、背表紙の裏面には、本来背表紙の中に入る長細い棒があるので、書くときに、多少の紙のふくらみというものは我慢しなくてはならない。
そうそう、このペンクリップには私が手に入れてSサイズの他、Lサイズというのもある。私がこれを買ったシゼムさんに確認したところによると、SとLの唯一の違いは、ペンをホールドするクリップの縦方向の長さだけが長くなっているということだった。それ以外のサイズは全く同じだという。
今回、Sサイズで、MoleskineのポケットサイズやA5ノートに使ってみて特に不便を感じることはなかった。ということで、個人的にはSサイズで十分という印象をもった。ちなみに、Lサイズは、さらに値段が高い2,500円+Taxもする。
以上、色々なペンからこのペンクリップを見てきた訳だが、難点をあげるとすれば、机の上でノートを広げて使うときだ。背表紙にクリップがきているので、机の上では、ノートがフラットになりにくい。
しかし、そもそもこのクリップはペンをノートにセットして、軽快に持ち歩いて、立ったまま筆記するということが多いだろうから、それほど気になるものでもないだろう。
多少の制約はあるものの色々なペンやノートに取り付けて楽しむことができる。ノートとペンを片時も手放したくないという方には頼もしい存在になってくれると思う。
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