文具で楽しいひととき
サイプロダクト
ペンケース4 冠あり
私の勝手な解釈だが、大人が使うペンケースには大きく分けて2つのタイプがあるのではないかと思っている。「タイプ1」は持ち運びに徹したもので、概してペンをどさっと入れておく、いわゆる袋ものタイプ。「タイプ2」は、ズラリと並べて、ひとさまにご披露する、もしくは、一人眺めながらニンマリするというコレクション的なもの。それぞれにはそれぞれの良さというものがある。
で、今回ご紹介するものは、しいて言えば、その中間くらいに位置するものだと思う。商品名は「サイプロダクトのペンケース4 冠(かぶせ)あり」と言う。最近ペンケース市場でもよく見られるようになってきたグルグルと巻いて紐でビシッとしばるペンケースだ。厚手のしっかりとした牛革が使われており、大切なペンを託すのに相応しい安心感がある。
そのボディは、レッドカラーで染め上げられている。決して派手過ぎず、そうかといって渋すぎることもなく、程よい具合の赤をしている。その赤の上でひと際目立っているのが、革本来のナチュラルカラーのヒモだ。
このヒモがその細さによらず結構なコシがある。よくよく見てみると、ヒモの表面には念引き(ねんびき)と呼ばれる細いスジが端から端まで付けられている。ちなみに、これは裏面にも施されている。これが、コシの強さを生んでいるのだろう。
では、何故ヒモにコシがあるといいかと言うと、ビシッと縛った状態でも、ほどきやすいからなのだ。一般に結び目をほどく場合は、爪を立てて慎重にかつ冷静に行うものだが、この場合は結び目には手をかけずに、余ったヒモをグイと押し込んであげるといとも簡単にほどくことができてしまう。
ボタン式より、ヒモの方が開け閉めが面倒と思いがちだが決してそんなことはなさそうだ。なにより、中に入れるペンの太さによって、ペンケースの太さもその都度違うのでヒモの方が、フレキシブルに対応することができる。
ヒモ式がいい理由をもう1つだけ付け加えるなら金具を使わずに済むと言うこともある。金具があると、大切なペンにキズをつけてしまう可能性が出てきてしまう。そのヒモを手早くほどき、中を広げてみると、4本分のペンの収納スペースが現われる。
■ 万年筆が深々と入る
ただ、一般のロールタイプのペンケースとはかなり違うスタイルになっている。普通はペンの下半身くらいまでしかカードしないのに対して、これはペンの首元ギリギリまで覆いつくすようになっている。まるでキャンプの時の寝袋のように、ペンを深々と大切にしまっておける。
収納できるペンの太さに制限があるかと思いきやこれが意外と柔軟性に富んでいる。細めのペンはもちろんのこと、太めのペリカン800やモンブラン146あたりも難なく収納できる、まさに懐の深さを持っている。
一方取り出しやすさはどうかと言えば、窓が縦の楕円型をしていることで、おもいのほか、ペンをつまみやすく、サッと取り出すことが出来てしまう。
■「かぶせ」があるので、クルクルしても安心
ペンケースをグルグルと巻く時のために、ペン同士が干渉しないようにフタが付いている。商品名の「冠(かぶせ)」とは、このことだ。
そのフタには意味ありげに穴が2個開いている。
巻いた状態で密封されたペンのための空気穴のようにも見えるが、そうではない。実際に、グルグルと巻いてみるとわかるのだが、この穴があることで、丸めた時の革のたわみをなくしてくれ、スムーズにそして美しく巻き上げることができるのだ。
4本差しではあるが、私はあえてペンは3本だけにしている。その方が、巻き上がりがちょうど3角形になって、握り心地もいいからである。
大切なペンをいかにも重厚なペンケースに入れてしまうとハイそれまでよ、とばかりに、使う機会がぐっと減ってしまいかねない。その点、このペンケースなら普段使いにちょうどよいカジュアルなカラーリング、それでいて、大切なペンをしっかりとガードしてくれるガッチリ感も併せ持っている。
お気に入りのペンをじゃんじゃん使いたいと言う時には最適なペンケースだと思う。
サイプロダクト ペンケース4 冠(かぶせ)あり
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