文具で楽しいひととき
ISOT2005
展示会レポート 1
2005年7月9日から9日まで、東京ビッグサイトで開催されたアジア最大の文具の展示会、ISOT2005に取材で行ってきました。以前10年間、ISOTの事務局にいたこともあり、会場に着くと、とても懐かしい想いがこみ上げてきました。会場には、750社という企業が出展してますので、とうてい1社ずつ見ることはできません。ここは、動物的な勘と言いましょうか、直感をたよりに回ってみることにしました。
そんな中で「これは!」と思える商品を、たくさん見つけることが出来ました。そうした私が気になったステーショナリーを今回と次回の1回に分けてご紹介させていただきます。
■デザイン力に驚かされた (カール事務器)
会場を歩いていると、黒を基調にした落ちついた雰囲気のブースが目にとまりました。海外のブランドかな、と思って近づいてみると「カール事務器」とありました。カール事務器と言えば、鉛筆削りや重たい台のついた裁断機などつくりのしっかりとした事務用品の老舗メーカーです。
私のこれまでのイメージでは、事務用品然とした商品が多く、デザイン性とはちょっと程遠いメーカーという認識がありました。でも、今回のカールさんは、そうしたこれまでのイメージをいい意味でくつがえしてくれるものがありました。ブースには黒を基調にしたシンプルなデザインの「DECADE(ディケイド)」という、新たなシリーズが並んでいました。
商品構成としては、鉛筆削り、パンチ、ブックエンド、テープディスペンサー、シュレッダーなど、これまでのカール事務器のラインナップとほとんど同じですが、すべてリデザインされ、全く新しいものに仕上がっていました。
「DECADE(ディケイド)」とは、10年という意味があるそうです。それぞれの商品には10年という長い期間を使い続けても飽きのこないデザイン、そして使いやすい機能が凝縮されているようでした。価格を見てみると、鉛筆削りが2,000円+tax、パンチが1050円+taxと低価格で抑えられていたのが、とても嬉しく思いました。
すっかり上機嫌になった私を、カールさんの説明員の方がこちらもどどうぞ、といってブースの奥に案内してくれました。そこには障子に囲まれ、足元には黒い玉砂利が敷きつめられた和の雰囲気のコーナーがありました。「DECADE(ディケイド)」シリーズとは違い、ひょうたんをモチーフに今度は、和をベースにリデザインされた商品が整然と並んでいました。
そのシリーズ名は「文具両道」。文武両道ならぬ、文具両道、とても面白いネーミングです。
カール事務器の昔ながらの強みである板金プレス加工を最大限生かしつつ、新たなデザインを施した今回の2つのシリーズは個人的にとても気に入りました。老舗メーカーのこれほどまでの劇的な変革は文具業界ではかなり珍しいことだと思います。
■ 社内デザイナーによるノートのデザインコンペ(ミドリ)
白を基調にしたブースで、シンプルながら存在感のあるミドリさんのブースに入ってみると、ひときわ人だかりが出来ているコーナーがありました。
そこには、「MIDORI DESIGN+PAPER COMPETITION 2005」とありました。これは、A5サイズよりもいくぶんスリムな大きさのノートを使った社内デザイナーによるコンペでした。30を超える色とりどりの作品が壁に並べられていました。ノートという平面のものをより魅力的に見せるため、凹凸のある壁に展示するという展示方法にも感心してしまいました。
このコーナーはただ眺めるだけでなく、来場者は自分がいいと思ったものに投票することができ、その結果をもとにミドリさんのほうで商品化を検討するというものだそうです。早速、私も投票に参加しました。私が一番気に入ったのは、「トラベルジャーナルノート」という名前の革製カバーをまとったノートです。
タイのチェンマイで作った素朴な風合いの革のカバーがとても新鮮に映りました。茶色の革にマッチしたゴムバンドがしつらえてありこのバンドをはずしてノートを開くようになっていました。MOLESKINE手帳にもゴムバンドが付いていますが、それとは、また違った荒削りの良さというものを感じました。
ノートは背表紙にくくりつけられたゴムバンドで固定する方式がとられています。ノートを使い終われば、カバーはそのままにノートだけ差し替えれば永く使い込むことも可能です。そうして、現われてくであろう革のエイジングもまた楽しみです。展示されていたノートは、個数限定で即売もしていたので私は、早速このノートを買いました。ちなみに、このノートは人気があったようで真っ先に売り切れたそうです。
これ以外にも、畳を表紙にデザインしたノートもありました。触ってみると、畳独特のでこぼこもしっかりあったので、すっかり本物かと思ってしまいました。説明をお聞きすれば、これは紙で作られたもので畳らしさを出すためにエンボス状の凹凸を入れてプリントするという手の込んだものだそうです。さすが、老舗紙メーカーですね。
実は、今回のA5サイズのスリム型はミドリさんのスケジュール帳の
定番サイズだそうです。これらのノートは、その手帳に差し込んで使ってもらおうという目的もあったそうです。個人的には、このノート単体でも十分魅力的な商品に仕上がっていると感じました。スリムなサイズなので、手にも馴染みやすく、立ったままの筆記にも適しています。
書くスペースがちょっと小さいかなと感じれば、見開き2ページを1ページに見立てて使ってしまうという方法もあり、意外と応用範囲の大きいノートという印象を受けました。これ以外にも、まだまだご紹介したいものがあるのですが、ちょっと長くなってしまいましたので、続きは、次回にご紹介したいと思います。
次回につづく。。>>