文具で楽しいひととき
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ペンケース ヒモ
私は、ここ10年ばかり筆入れを持ったことがほとんどなかった。今時、筆入れという表現はちょっと古いかもしれないが私は、この言い方の方がどちらかといえば馴染みやすい。その「筆入れ」を持たないのは、シャツの胸ポケットがその代わりとなってくれているからという理由と、ぜひ所有したいと私の気持ちをゆり動かすものに出会えなかったからというのが主な理由だ。
筆入れといえば、小学校一年生の頃に、親から与えられたのが最初で確か、黒の合成皮革の箱型のものだった。その後、両面開きタイプやカンペンケースや布製のものなど色々なものを使ってきた。
でも、社会人になったとたんに、筆入れを使わなくなってしまった。なんでだろう?しいて言えば、できるだけ荷物を増やしたくないということだろうか今思えば、はっきりした理由が見当たらない。私の周りの人たちが使っていなかったので、なんとなくそうしていたとも思う。
■ 久しぶりの筆箱
このcyproductさんの 「ペンケースヒモ」を手に取るまでは正直なところ、筆入れは私にとってあまり必要なものではなかった。今回は15年ぶりに、私が持つことにした筆入れcyproduct ペンケースヒモをご紹介します。
商品名の「ペンケース ヒモ」。まことに、商品そのものをよく言い当てたネーミングだと思う。筆入れの開け閉めをヒモを使って行う、いたってシンプルなもの。特徴的なのは、閉めた時に、ヒモの結び目が本体のちょうど真ん中あたりに来る。これが、デザインのポイントとなっていている。どことなく、和のテイストを感じてしまう。
■ フレキシブルさのあるヒモ式
このヒモ式、実際の開け閉めにおいても、大変やりやすい。ヒモというシンプルな構造ゆえに、よくあるチャック式やボタン式に比べ、壊れたりする心配がほとんどないのがよい。ヒモをほどき、中を開けてみると、そこにはゆったりとした空間が出現する。
サイドのマチは十分とられているので、太目のペンなら3本はゆったり入ってしまう。こういう筆入れには、あまりぎゅうぎゅう詰めにペンを入れずにゆったりと余裕をもって入れるのが、粋なやり方だ。あまりたくさん詰め込み過ぎて、肝心のヒモがしっかり結べなくては台無しになってしまうと、個人的にはそう思う。
外観はいかにも、よい革をしっかり手間を惜しまず、なめしましたという造りのよさがひしひしと伝わってくる。材質は牛革のキップが使われている。「キップ」とは生後6ヶ月~2年以内の牛皮のことを言う。カーフスキンの次に上質なものとされている。
手にしてみると、滑らかな手触りと、それでいてコシのしっかりた感触が伝わってくる。このしっかりとしたコシを出すために、裏地を目止めするなど細かな部分まで手間をしっかりかけているのがよくわかる。さらに縫製やサイドの仕上げも抜かりがない。
このペンケース ヒモはcyproductの斉藤さんご自身によりデザインされ、1つ1つ手作りで製作されている。やはり手作りに勝るものはないと思う。聞くところによれば、販売されてから既に4年もたっているとのこと。
斉藤さんに、ものづくりのコンセプトをお伺いしたところ、「素材の物性を生かしたシンプルなものつくり」というお答えが返ってきた。このペンケースヒモはまさにそのコンセプトを具現化しものだ。日本における現代版「職人気質」を垣間見た気がした。
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