文具で楽しいひととき
ウェンガー
ソルジャー ナイフ
欧米では、プレゼントに縁起物としてナイフを贈ることがあるという。その理由として、「ナイフは未来を切り拓く」という意味がこめられているそうだ。私なんかは、「ナイフ→切る→縁を切る」みたいに考えてしまうが、ものは考えようだ。実は、ずいぶん前に友人がアメリカ留学するお祝いにナイフを贈ったことがある。その時に贈ったのが、今回ご紹介するウェンガー社のソルジャーナイフ。
ウェンガー社と言えば、スイスアーミーナイフでとても有名。その歴史は古く、スイス・ジュラ地方で1893年にさかのぼる。ウェンガー社は数多くのスイスアーミーナイフを世に送り出しているが、その中でも、ひときわ輝きを放っているのが、このソルジャーナイフだと私は思う。
「ソルジャー」つまり「兵士」。1902年以来、スイス陸軍兵士全員に配布されるナイフに採用されたつわものだ。スイスアーミーナイフと言えば、レッドのボディを思い浮かべるところだが、このソルジャーはシルバーとなっている。表面には、細かな格子状のでこぼこがあり、軍用ナイフという雰囲気と実用面では、確かなグリップを約束してくれる。
アルミ製のボディながら、持ってみると以外とずっしり重い。これは、中に仕組まれているブレードの重厚なステンレス鋼のおかげだろう。この重量感がなんとも心地よい。
■ 4つの機能を搭載
この手のひらサイズのソルジャーには4つのツールが仕組まれている。その4つのツールから繰り出される機能は全部で8種類。戦場で使用する必要最小限の構成となっている。ナイフ、精密ドライバー、缶きり、キリ、ワイヤーストッパー、栓抜き、マイナスドライバー、キーリング。
缶きりや栓抜きはあっても、アーミーナイフお馴染みのワインのコルク抜きはさすがになかった。軍用だから、いたしかたない・・・私自身、このナイフを年に1回のキャンプ以外に、日頃の鉛筆削りに使っている。鉛筆を削るには、ブレードがちょっと長めだが、切れ味は抜群だ。鉛筆によっては、ナイフで削りやすいもの、そうでないものがあるような気がする。
ちなみに、ファーバーカステル社のGEIP2001、ステッドラー社のエルゴソフト、三菱鉛筆社のハイユニ、トンボ鉛筆の木物語あたりは個人的にとても削りやすく感じる。普段、鉛筆削りで削っていると、こういうことになかなか気づかない。こうして、ナイフで削ると、1本1本の個性のようなものがわかって、とても愉しい。
そうそう、以前に私がソルジャーナイフをプレゼントした友人はその後、とあるベンチャー企業の役員となり、株式上場まで果たしたと聞いている。私の贈ったソルジャーナイフが彼の未来を切り拓いたのだろう・・・と勝手に思ったりしている。
ビクトリノックスですが、ソルジャーは、こちらで販売されています。
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