文具で楽しいひととき
マークス
ネオ・アジェンダ
手帳を買う時は売り場にズラリと並んだ表紙のデザインに目が行き、それで選んでしまうことも。そしていざ使うときには中の紙と日々向き合うことになる。向き合う時間から言っても手帳にとっての紙は重要な存在である。手帳の本文紙にこだわって自らオリジナルの紙を作っているところはいくつかある。マークスもその一社。「NEO AGENDA ネオ・アジェンダ」という紙だ。「新しい手帳」という意味がある。その魅力に迫ってみたい。
■ ネオ・アジェンダの歴史
マークスでは1999年から手帳を作りはじめ、その後数多くのタイプを送り出している。初期の頃は製紙会社が製造した既成の紙を採用していたが、「書く」道具である手帳の機能性と品質を追求すべく、2006年に自社の手帳専用用紙「ネオ・アジェンダ」という紙を作りだした。これはスライドジッパー付きポケットカバーの「ストレージイット」をはじめとするマークスのマンスリー手帳やウィークリー手帳に使われている。その後「EDiT」1日1ページ手帳が2012年に日本文具大賞デザイン部門グランプリを受賞し、それを機にその専用手帳用紙の開発に乗り出す。というのも1日1ページ手帳はページ数が多いため、どうしても分厚くなってしまう。薄さと軽さ、そして書き味を併せ持った手帳用紙を追求して、生まれたのが「NEO AGENDA for EDiT ネオ・アジェンダ・フォー・エディット」だ。薄くてもインクの裏抜けがしづらい手帳用紙になっている。2013年のことである。
こうして見ていく「ネオ・アジェンダ」という紙は19年という歴史がある。知らず知らずのうちにマークスの「ネオ・アジェンダ」の紙を使っていたという方は意外と多いかもしれない。
■ 紙の風合いが豊か
ここからは「EDiT」に採用されている「ネオ・アジェンダ for EDiT」に的を絞って詳しく紹介していく。「EDiT」の1日1ページ手帳や方眼ノートに使われているので、あぁあの紙かと紙の記憶がある方も多いと思う。私の中にも「ネオ・アジェンダ for EDiT」の記憶というものがしっかりと刻み込まれている。私が一番感じるのが、薄い紙なのに紙の風合いがとても豊かであることだ。一枚を指先でつまんでみると、紙の薄さが伝わってくる。確かに薄いのにか弱さというのは不思議と感じられない。薄さの中にもハリとでも言おうか、芯の強さをうちに秘めている。紙の上に手のひらを添えてすべらせると、なめらかさがある。再び一枚をつまんで指紋に意識を集中させると、細かい紙の繊維の存在がなめらかさの中にもかすかに感じられる。
薄くとも紙らしい風合いがある。
ルーペで拡大してみると、紙の繊維の存在がよくわかる。
■ 書き味インプレッション
では次にいくつかのペンでその書き味について見ていきたい。
[油性ボールペン]
代表的な油性ボールペンで書いてみた。それぞれのなめらかな書き味を下支えしてくれ、油性インクならではのいつもの書き味が楽しめる。下敷きをせずにたっぷりと厚みのある「ネオ・アジェンダ for EDiT」の上で書いていった。その程よいクッション感が心地よい。私はこの書き味の方が好きだが、あまり筆圧を加えると少し裏面に筆跡の凹凸がわずかに出る。これも味だと私は捉えている。気になる人は下敷きを使うといいと思う。
ジェットストリームのライトタッチインクは、ほんのわずかだがインクの抜けが見られた。
[ゲルインクボールペン]
これはあくまでも私個人の印象となるが、この「ネオ・アジェンダ for EDiT」にはゲルインクボールペンがよく合うと感じた。ゲルインク特有のサラサラと紙の上を走るタッチが「ネオ・アジェンダ for EDiT」の紙の上でより際立つ。ペン先を紙に当てた時のわずかなクッション感、その後にスルスルと走る感じは私好みであった。
フリクションの消し心地はゴシゴシと擦っても紙がたわんだりすることはなかった。強さがある。
[水性ボールペン]
最近は水性ボールペンもそれほど大げさなにじみがないものも出てきており、手帳やノートでも使いやすくなっている。中でも今回試したユニボールZENTOとの相性の良さは格別だった。にじみはほとんど感じられず、「ネオ・アジェンダ for EDiT」の上に引き締まった筆跡を作りだす。なお、ユニボールエアはインクの裏抜けが見られた。
[マーカー]
「ネオ・アジェンダ for EDiT」は白色度が高い紙である。豊富なカラーバリエーションが揃うマーカーとの相性は良い。淡いカラーからビビッドなカラーまで鮮やかに映えていた。イラストを描いて彩色するのも楽しそうだ。
[万年筆]
万年筆は紙の繊維を捉える筆記具である。微妙な紙の違いを他のペンよりも察知してくれる。そんな風に私は捉えている。まずM(中字)で書いてみた。持ち前のなめらかな書き味をしっかりと味合わせてくれた。Mというやや太めのペンポイントが紙の細かな繊維をゆうゆうと乗り越えていく。F(細字)で書いても、まだそのなめらかさがある。EF(極細)だとやはり相当に細いペンポイントのためか、繊維を感じる書きごたえが手に伝わってきた。
各社の純正ブルーインクで書いてみた。筆跡はいつもの細さで現れ、にじみは見られなかった。純正ブルーインクとの相性は良いと感じた。白色度高い「ネオ・アジェンダ for EDiT」はそうした各社の微妙なブルー具合もよく表現されている。裏抜けはなかった。
[シャープペン・鉛筆]
私はふだんからシャープペン、鉛筆をよく使っている。いつもの黒鉛芯で「ネオ・アジェンダ for EDiT」に書いてみた。これぞ紙の風合いというものが、書き味に、そして視覚的にも伝わってくる。あまりにツルツルした紙だとうまく黒鉛芯では書いていけない。黒鉛芯は紙の繊維の凹凸とした所に黒鉛を擦りつけていく筆記具であるからだ。紙の繊維を感じられる「ネオ・アジェンダ for EDiT」は心地よく黒鉛が乗っていく。塗り潰すようにして書いていくと、紙の細かな繊維が露わになっていく。
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私はEDiTの1日1ページ手帳、方眼ノートを数年前から愛用している。用途は私が毎日つけている「時計式ToDo管理ふせん」の書き終わったもののストック用。その日のページに貼り、余白に一言日記を万年筆で書き込んでいる。罫線はあまり気にせず大らかに書いている。書き味が良いので、ついのびのびと書きたくなってしまう。
1年使ったEDiTはすっかり膨らんでいる
書き味がちょうどよく、ページをめくるときに指先にフィットしていく。ペン先、そして指先で「ネオ・アジェンダ for EDiT」の紙の繊維を日々感じ、それを楽しんでいる。薄くとも個性が感じられる紙である思う。
「ネオ・アジェンダ for EDiT」が楽しめる商品
マークス EDiT 1日1ページ手帳、手帳用紙を使った方眼ノート
「ネオ・アジェンダ for EDiT」を広々と楽しみたい方のためにA4用紙もある。(マークス公式オンラインストア限定)
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