文具で楽しいひととき
竹尾
ドレスコ ステッチノート ブックケースセット コルドバ
ノートは書き味を楽しむもの。それがやっぱり基本である。このノートはその書き味に加えて手のひらに収めた時の紙の感触、そして机の上にさりげなく置いた時の眺めといった楽しみ方もできる。あぁ紙の風合いっていいよなぁとつくづく思える小さなノートである。
■ ブックケースに3冊
今はこういうブックケースというのはめっきり見かけなくなった。ヨーロッパあたりの古書店で並んでいる古い本というクラシカルなデザイン。しかも、それが手のひらに楽々乗ってしまう愛すべき小ささの中に表現されている。背にはまさしく本のようなタイトルがあるので本棚に置いた時の眺めもいい。このブックケースの中に3冊のノートが収まっている。ノートの背には糸でガッチリと縫い込まれた様子も見える。
紙同士が擦れる音を耳にしながら中からノートを取り出す。3色のノートはいずれも同じ紙で作られている。表紙は「コルドバ」という紙。手にした時にしっとりとした指触りがある。まるでオイルでも染み込ませたような感じだ。そこそこ厚みがあるが、優しくしなっていく。見返しには一転してドライなサラサラとした紙がとじ込まれている。この紙は「ビオトープ GA-FS」という。表紙とは全く違う色合いを使っているが、これが不思議とあっている。
そして、本文紙には「バンクペーパー」。それらをミシン綴じという手法で頑丈に製本している。糸は表紙の色に合わせられている。ノートを書き進めていった時に現れるその糸は白地で見るとまた新鮮だ。
■ ペン先で色々な書き味が楽しめる
指先でバンクペーパーの表面をなでるとすべすべとした気持ち良さがある。いくつかのペン先で書き比べてみた。まず、セーラー万年筆のプロフェッショナルギアのM。長田ブルーインクで書いてみた。特に私のこの万年筆はインクフローが潤沢。パンクペーパーの上でペン先を走らせると、うっとりしてしまうなめらかさが押し寄せてくる。紙の繊維をMのペン先が潤沢なインクとともに悠々と乗り越えていく感じだ。
次に、最近買って常用しているパイロット74のFに強色を入れた一本。これで書くと、一転してザラッとした書き味が手に伝わってくる。紙の細かな繊維の凹凸を今度は細字のペン先が確実に捉えていく。
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私は日々の瞬記をこのノートで書いている。毎日8ページずつ書き進めている。1冊が88ページ。8ページずつ書いているので、11日間で書き終わる。3冊なので33日間。つまりこの3冊を1ヶ月ちょっとで書き終わる計算だ。私の1ヶ月がこの小さな本のようなノートに収まっていく。ブックケースもあるので、1年後くらいに読み返すのも楽しみになる。
竹尾 ドレスコ ステッチノート ブックケースセット コルドバ
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