文具で楽しいひととき
アシュフォード
ヘリテイジM6 スタンダード
新しいシステム手帳を迎い入れた。そんなに多くはないが、すでに何冊も持っている。それなのにさらにシステム手帳を買った。新しくその中に加えるとき、私の中でそのシステム手帳の位置付けをしっかりと決めていく。つまり、どう使っていくかの用途である。こう使おうという用途が先にあってそれにフィットする文具を新たに買うこともあるし、逆にその文具がどうしても欲しくなり、無理矢理に用途を見つけ出すということもある。こじつけである。今回は後者だった。考えてみると、万年筆を買うときも同じようなことを私はいつもやっている。
文具は使ってはじめて、その価値が輝き出すものなので、この用途を決めていく過程はとても大切なことである。
■ 落ち着いた佇まい
「ザ・システム手帳」という堂々としたスタイル。このフォルムにイチコロになってしまった。シンプルな外観にボタンの付いた留め具ベルトが少し大きく張り出している。新しいデザインやカラーのシステム手帳が出ている中、このドンと落ち着いた佇まいに私の目と心は奪われてしまった。今回私が買ったのはM6サイズ。コンパクトサイズ感に対してちょっとした辞書くらいある背の厚さが、もうこうしてはいられないという気持ちに私をさせた。
ネイビーと最後まで迷ったが、ブラックを選んだ
スクエアバックは手の中に気持ちよく収まる
山羊革は優しくしっとりした質感
ボタンの丸いところまで革でキレイに巻かれている。パチンと外して開くとマットシルバーの19mmリングがこちらもドンと中央に据えられている。ここに自分で書き込んだリフィルがギリギリまで綴じられた姿はさぞかし美しいことだろう。ヘリテイジには、ジョッターがついたコーチマンなど、どうだ参ったか!と訴えかけてくる機能的なタイプもあり、そそられた。でも自分の用途を考えていく上では、シンプルなスタンダードしかいないと考えた。用途をしっかり決めておくと売り場で不用意に迷ったり自分を見失わずに済む。
■ 書き込むより読み込むために
表紙にはタイプライターで打ち込んでみた
このM6ヘリテイジに私が任せることにしたのは、読んでいくためという用途。この分厚い辞書のようなM6を手の上に乗せてパラパラとめくっていく自分の姿がアリアリと想像できた。普段から持ち歩いて書き込むというよりも、ふだんは本棚に収めておいて必要な時だけ取り出しパチン、パラパラと読むために使ってみたいと思った。
では、私にとってパラパラとページをめくりつつ読みたいものとはなんだろう。小説は本で読んでいるし、仕事でちょくちょく参照するデータ系というのも特にない。そうした中で一つあると思ったのが、商品企画のアイデアスケッチだった。不意に思いついたものを、これまで「すぐログ」やノートなどあちこちに書き散らしていた。それら全てをこのM6ヘリテイジにまとめいく訳だ。私にとってこうしたアイデアスケッチは仕事の本質的なものである。その情報をしっかりとした情報管理ツールであるM6ヘリテイジに収めていくのは、とても相応しいと思った。やはり自分にとって大切なものはそれ相応の入れ物に収めておくべきだ。
無地のリフィルをわんさと用意して、これまで書き散らしてきたものを一枚一枚のリフィルに書いていった。リフィル一枚の片面にアイデアを一つずつ埋めていく。M6はそれほど大きな紙面ではないので、EFの万年筆で書いていくことにした。いつもはシャープペンや鉛筆で書いているが、これは後でパラパラと読んでいくものなので、筆跡がそこそこ目立ったほうがいい。シャープペンでノートに書いてきたアイデアスケッチをEF万年筆で清書していった。
パイロット カスタム743 EF
書くときはベルトが邪魔にならないようにアイデアルクリップでフラットに固定している
*
今は、まだ20ページちょっとのアイデア企画しかない。これからはアイデアをひらめくたびに1ページずつ書き足していく。どれくらい時間がかかるかわからないが、一冊まるごとアイデアで埋め尽くしていくことを目指す。そして、そのM6ヘリテイジをパラパラとめくって眺めていく。きっとそれは素敵な作業になるに違いない。綴じこんだリフィル丸々を全て書き切ったら、保存バインダーに移し替えたりせず、このM6ヘリテイジのままにしていくつもりだ。自分で書いたものをこの山羊革のジャケットを感じながら読んでいきたい。
一冊を使い終わったら、2冊目のM6ヘリテイジを買い足して本棚に並べていくというのもいい。2冊目に入ったら背に「1」「2」と箔押しでナンバリングしてみたくなってきた。用途が明確に決まると夢が広がり出す。
アシュフォード ヘリテイジM6 スタンダード
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