文具で楽しいひととき
Patrickさんオリジナル
Chronodex
2013年1月に香港で開催されたステーショナリーショーで、久しぶりに Patrickさんにお会いした。
Patrickさんは、香港で人気のショップ「 City super 」でステーショナリーバイヤーとして働いている傍ら、「 Scription 」というステーショナリーブログで独自の視点による情報発信も行っている。
香港を代表するステーショナリーのプロだ。私とPatrickさんのコミュニケーションは、基本は英語。ただ、私の英語力はレストランで自分が食べたいものをかろうじてオーダーできるレベル。
そんな私の英語力なのだが、私たちの間には「文具」という強い絆と言おうか、共通点があるので言葉の壁は意外と乗り超えてしまう。Patrickさんは確かに英語で話しているが、その会話のはしばしに私もよく知っている「文具ワード」がちりばめられているので、不思議と理解できてしまう。
とはいえ、今回はちょっとした仕事の話もあったので、その時だけはしっかりと通訳の方を介してコミュニケーションを図った。タップリと会話を楽しんだあと、Patrickさんがお土産にと渡してくれたモノがあった。
「Chronodex(クロノデックス)」という Patrick さんが考案した独自のスケジュール管理ツールだ。
これは時計の文字盤をベースにして作られている。スタイルは違うが、私も「時計式ToDo 管理付せん」というものを考え出して使っている。
Patrickさんとは、文具の趣味嗜好が結構似ているところがある。時計で予定管理をするという発想まで同じだったのには、お互いにビックリしてしまった。
■ ひとつの文字盤で24時間を管理
「Chronodex」とは、「Chrono(時計)」、「INDEX(インデックス」をかけ合わせて作った造語。
私の「時計式」との最大の違いは、一つの文字盤で1日を管理できてしまうという点だ。その文字盤は確かに時計であるのだが、所々円が欠けていたりしている。それは飛行機のプロペラのようでもあり、風車のようにも見える。
この独特の文字盤がA4一枚のシートに5つ印刷されている。
つまり、1週間ということだ。ちなみに土日は文字盤ではなく、簡単なタスクリストが書き込めるスペースが用意されているだけ。
土日はゆっくりと休もうということなのだろう。Patrickさんはこの PDF データを 自分のブログで公開し、あくまでも個人利用という限定付きだが、無償ダウンロードできるようにしている。
■ トラベラーズノートに収められる
プリントアウトした紙の量端をカットして、ホチキスで中綴じすれば、「トラベラーズノート」にピッタリと収まる。
実は Patrickさんは、自他とも認める「トラベラーズノート」のヘビーユーザーでもある。
では、この一つの文字盤でどのようにして1日の予定を管理していくのか。
■ ユニークな予定の記入方法
Patrickさんから直々にご説明いただいた。
それはすなわち、時計の中心からだんだんと時間が経つにつれて、外側に移っていくというスタイルだ。具体的にご説明しよう。まず朝の6:00、7:00、8:00の予定は文字盤の一番中央を使う。
そこには6am、7a m 、8am とある。スペースとしてはすごく小さい。これはそもそも朝一からそんなに大掛かり予定は入らないだろうということがある。そして、「Chronodex」の特徴でもあるが、予定は文字盤の外に線を引っ張って書き出すというスタイルになっている。だからスペースが小さいということはそれほど問題ではない。
次に、午前中の予定は先程の中央の円の外側の9:00、10:00、11:00の位置にそれぞれスペースがある。もちろんいずれも時計の時刻の位置になっている。
それぞれのスペースは15分刻みになってるので、9時30分といった予定も明確に記入できる。午後の1:00~8:00も同じスタイルだ。
問題はここから先の午後9:00~夜中の12:00までだ。というのもこのスペースは午前中用として、すでに使ってしまっている。よくよくその部分を見ると文字盤のやや外側に点線がある。
これを使い9:00、10:00の端っこの角のところに○印を付けて、やはり線で外に引っ張りだして予定を書いていく。この夜の9:00~12:00という時間帯にはあまり予定は入らないのではないだろうか。
一日の中で予定が入りやすい午前9:00~午後8:00をメインにこの「 Chronodex 」は作られているのだ。先ほどから触れているようにこの「Chronodex」では基本全ての予定は文字盤の外に書きだしていく。
これまでのスケジュールツールは一日や一週間、はたまた一ヶ月など予めその枠が決まっており、その枠の中に予定を書き込んでいた。しかし「Chronodex」では予定の枠の中には基本書き込まず、外側の余白に書き出す。
この自由度はなかなか心地よい。ちょっとした開放感がある。
■ 時間の流れにあった管理法だ
私たちがイメージとして持っている時間の流れというものは、縦に流れたり、横に流れたりするものではなく、時計のようにグルグルと回っているものではないだろうか。少なくとも私の場合はそうだ。「Chronodex」ではその時の流れというイメージの中で予定が書き込まれいく。
私たちにとって時間は目に見えないが、それを目に見えるようにしてくれるのが時計だと思う。その時計の針の動きのような感覚で、この「Chronodex」では時間をとらえることができる。
□ Patrickさんのブログ Scription
*関連リンク
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