文具で楽しいひととき
カスタマイズ
仕事がら展示会や文具メーカーなど色々なところに取材に出かける。そうした取材の時に最近はボイスレコーダーも使うが、これはあくまでも保険みたいなもので、やはり、紙とペンを使って手で書くということも必ず行う。手を動かし、書くことで頭の回転もよりスムーズになるような気がするから。
取材のステーショナリーに求められることは、必要な時に瞬時に起動してしっかりと記録が残せること。これに尽きる。これまで色々と試行錯誤を繰り返してきたが、今、最も信頼を寄せているのがこの組み合わせ。
■ MOLESKINE(ポケット)ソフトカバー 無地ノート
■ プラチナ万年筆 プレスマン
■ オーセンティクス ペンクリップ
まずはMOLESKINEのソフトカバーからご説明しよう。言わずと知れた黒手帳の代名詞、MOLESKINE。最近、ラインナップに加わったソフトカバータイプ。
■ 携帯しやすくめくりやすいソフトカバー
これまでハードカバーをずっと愛用してきたが、同じMOLESKINEでもこのソフトカバーはちょっと違う印象がある。基本はカバーが柔らかくなっただけで中身、巻末のポケットそしてゴムバンドも同じ。言ってみれば、ただカバーがソフトになっただけなのだが、より親近感みたいなものが生まれているような気がする。
これまでのハードカバーでは、まるで小さな本のような感じで、何かを書くにもちゃんと姿勢を整えて、深呼吸してからみたいなある敷居の高さというものがあった。それが、ソフトカバーになったことで、そうした精神的なバリアは取り払われ、気さくな感じでMOLESKINEと向き合えるようになった。これはハードカバーを使った後だったので、よりそう感じたのかも知れない。私はこのソフトカバーをズボンの後ポケットに入れている。
基本的に手帳は上着のポケットに入れることが多いが、今年のような暑い夏だと、上着なしということもある。そうすると、鞄に入れてしまいがちだが、取材の際に、いつメモを取るタイミングがやってくるかわからない。だから、常に手帳を身につけておきたい。この身につける、という点においてソフトカバーは実に都合がよい。いつでもピッタと寄り添ってくれる文字どおり柔軟性に富んでいる。
ソフトカバーの良さはこうした携帯性だけではない。ページのめくりやすさという点も忘れてはならない。素早さが求められる取材には、このめくりやすさは重要。
紙面はこれまで愛用していたルールドから、無地に変更してみた。取材中のメモは、とにかく情報を記録することがなにより大事なので、罫線にかまっている場合ではない。そもそも罫線を使っていないのだから、いっそのこと無地にしてみたと言う訳。
罫線がないことで記録することだけに集中できるような気がする。
■ 立ったままでも筆記しやすい
次に、筆記するペンとして、今気に入って使っているのが、プラチナ萬年筆のプレスマンというシャープペン。
そもそも、このプレスマンは記者が取材するときのためのペンとして開発されたものだ。どこが取材用かと言うと、書いてて芯が折れにくいという点だ。このプレスマンでは、0.9mmという太めの芯が採用されている。太くすれば、当然芯は折れにくくなる。
それだけではない。一般に、シャープペンの芯が折れる時というのは、書いている途中よりも、書き出しが多い。特に取材などでは、「これはメモしなくては!」と思わず力んでしまうときに、起こりやすい。そこで、このプレスマンでは力をかけた時のために、内蔵されたバネがクッションの様になって芯が引っ込んでくれる。
実際に私自身これまで使ってきたが、確かに書き出しの時に芯が折れてしまったということはなかった。プレスマン専用の0.9mm芯は2Bのみという設定。滑らかな書き味は速記のようにスムーズに書くことができる。しかも、芯は通常よりもかなり長めの10cmもあって、長持ち。
取材と言えば、手に持った手帳に書くというシチュエーションが多い。つまり、この状態は上向き筆記である。昨今、上向き筆記してもインクがよどみなく出てくるボールペンが登場し、脚光を浴びている。そんな中、実はシャープペンも、れっきとした上向き筆記可能なペン。そもそもインクを使わないのだから。。。つまり、上向き筆記はもちろん、横向きだってへっちゃらなのだ。
というように取材するにあたっては、隅々までよく考え抜かれたペンである。しかし、しかしである。そのボディデザインがちょっと私の好みではない。。。プレスマンという割に、プロっぽさがというものがちょっと感じられない、と常々思っていた。
そこで、私はボディを真っ黒に塗ってみることにした。使ったのは、東急ハンズで買った「ハンズセレクト クリエイティブ ライフ スプレー(つや消しブラック)」。
■ ブラックに塗ることで存在を消す
梨地のようなちょっとザラザラした仕上がりになった。もともと付いていたクリップも取り払ってしまうと、グッとプロっさが出てくる。
黒塗りということで言えば、以前、こんなことをどこかで聞いたことがある。様々な現場で撮影する報道カメラマンはあえてブラックのカメラを選ぶと言う。これは、被者体にカメラを向けた時に、カメラを意識させないようにするためなのだそうだ。
私の取材で言えば、相手の方に話すことに集中してもらえるように、黒にするというのも、あながち間違いでもないような気がする。そして、調子に乗ってオーセンティクスのペンクリップもあわせてブラックにしてみた。
このペンクリップが取材に大変最適。MOLESKINEとプレスマンを常にセットしてくれ、ポケットから取り出してすぐにメモ体勢にはいることができる。ペンと手帳が別々になっているときよりもおそらくコンマ数秒速いのではないか。
ペンをすぐ取り出せるのはいいが、プレスマンはシャープペンなので、まずはじめにカチカチと芯を出さねばならない。しかし、このペンクリップがあれば、その必要はなくなる。ペンクリップのペン先収納スペースは、キャップのように先端が丸くなっているので、シャープ芯を出したままプレスマンを収納してもOKなのだ。
つまり、プレスマンを取り出しと同時にすぐに書き出せる。
当初は、取材用という組み合わせだったが、今では常時携帯する手帳&ペンセットとしてめざましい昇格をみせている。取材という一発勝負の時でも信頼できるステーショナリーは平常時でももちろん使いやすいのである。
□ 記事作成後記
スプレーで黒く塗ったプレスマンをペンクリップから取り出す時に、MOLESKINEにピッタリと引っ付いてしまって、取り出すのがちょっと大変です。これは、どうやら塗装の影響のようです。
*今回使用した東急ハンズのスプレーは、メタル部分については、使っていくうちに次第に塗装がはげてしまうことが見受けられました。
*ソフトカバーのMOLESKINEは、グニャグニャと折り曲げて使いすぎたからでしょうか、巻末のポケットの底が破れてしまいました。
*プレスマンの専用芯は10cmと、たっぷりあって、使っていてとても安心感があります。しかし、ちょっと残念なのは本体に芯が一本だけしか入らないことです。一本ということは、カチカチと出している一本だけで、予備芯を入れることができません。予備が1本だけでも入るといいのですが。なので、私はそれに備えてプレスマンを鞄にもう一本入れています。
□ご注意。
これは、あくまでも私の勝手な使い方をご紹介しただけで、
この方法を推奨するものであはありません。
きっと、ほとんどの方は右から左に受け流し、実際には行ったりしないとは思いますが、万が一行う場合は、あくまでも自己責任の中でお願いいたします。
プレスマンは、こちらで販売されています。
モレスキン ソフトカバー 無地 ポケット
*関連コラム
「自動的にメモとペンを持つ」
「手帳と一体化するペンクリップ」
「プロも納得のシャープペン」 プラチナ万年筆 プレスマン
<参考になるリンクです。>
私的電脳小物遊戯」のZEAKさんがプレスマンをオリーブグリーンに塗装されていますい。とってもいかしてます!
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