文具で楽しいひととき
みすず堂
ハードカバーケースノート
一般にカバーというものは、中のものをキズから守るといった役回りが多く、主役はあくまでも、中見で、カバーはどちらかというと付随的なもの。。という印象がある。しかし、今回のみすず堂 ハードカバーケースノートはカバーが中身に負けず劣らず、主役をはれるくらいの存在感を持っている。
みすず堂は、もともと書籍の上質な製本・装丁を手掛けており、その職人技を活かして、ノートをはじめ様々な美しい紙製品を作り出しているブランドだ。以前に、ご紹介したみすず小口染めノートもやはり上質な製本技術を余すことなく使ったものだった。
■ 中のノートを入れ替えられるハードカバー
今回のものも、小口染めノートのような上質な装丁になっている。ただ、違うのは、その上質な装丁が取り外せるようになっていることだ。製本職人が手塩にかけてつくった装丁を1回限りで終わらせるのではなく、ずっと使ってもらいたいという願いが込められているようにも感じられる。
ハードカバーというだけあって、しっかりとした厚みのあるカバーになっている。しかしながら、肌ざわりのいい布で覆われているせいか、しっかり感だけでなく優しさも同時に味わえる。
その上質な装丁に加え、ちょうど単行本くらいのサイズなので、実に本らしさをみなぎらせている。
■ ドアを開けるように表紙を開ける
表紙を閉じた状態であれば、これが、カバーとノートが別々になっているなどとは到底思えない。それほど見た目に一体感がある。表紙を開けてみると、 いつもと違う感覚に襲われる。それは、中のノートが引っ張られずに表紙だけがパカッと開くことだ。この時、表紙だけでなく、背表紙まで一緒に広がりだす。
これは、もう、ノートを開くというよりも、箱のふたを開けるといった感じに近い。商品名に「ケース」という言葉をあえて使っているのはきっとこのためだろう。
この独特の開き具合は、ノートがカバーの裏表紙側だけで固定されていることによる。
そのハードカバーケースからノートを外してみると、クラフト調のシンプルな姿があらわになる。いわゆる無印などでもよく見かけるものに似ているが、よくよく見てみると、表紙と裏表紙とで違う紙質になっている。
表紙はめくりやすいようにやわらかめな紙であるのに対して、裏表紙はハードカバーにしっかりと固定できるよう、厚手になっている。
さらにこだわりを感じるのは、表紙のやわらかな紙が、背表紙にまで及んでいることだ。
■ 見開き性のあるノート
実は、これにより、ノートの見開き性がグッとよくなっている。ページを開く時は、背表紙は結構過酷に折れ曲がる。そこをやわらかくすることで、どのページを開いてもそれこそ、製本の「のど元」までしっかりと広げることができるようになっているのだ。
しかし、気になるのは、このノートにはハードカバーがついていること。いくらノートがソフトでも、それを覆うカバーが硬くてはどうにもならないのでは、、、と思ってしまうところだが、実は大丈夫なのである。先ほどご紹介したようにハードカバーの背表紙はノートとはつながっていない。さぁ、ノートよ。思う存分広がるがいい!とばかりにハードカバーは机の上でまっ平らになってくれる。
つまりハードカバーであることの影響を何ら受けることなくノートの見開き性はしっかりと保たれている。さすが、製本を知り尽くしたみすず堂ならではの作りこみだ。中の紙には、万年筆での筆記特性の良さで、最近、再認識されつつある帳簿用紙が使われている。
帳簿とはいっても目に優しいクリーム色タイプなので、事務的な雰囲気は全くない。はじめにセットされているのは無地だが、別途、横罫線や方眼のノートも用意されているので、プライベート、仕事にと色々な使い方ができそうだ。ノートのカバーというものは、ソフトなものが多いものだが、そこをあえてハードにした今回のハードカバーケースノート、
ハードカバーでありながら、やわらかな使い心地も満喫できるし、何より製本職人による上質な装丁がずっと使い続けられるのがうれしい。
*みすず堂 ハードカバーケースノート B6
少し大きいA5サイズのハードカバーケースノートは、こちらで販売されています。
*関連コラム
「造りのよさが感じられるノート」みすず小口染めノート
「一枚一枚の積み重ねが大事」みすず堂 ブロックメモ キューブ
「本を特装にする」美篶堂 特装本
文具コラム ライブラリー
pen-info SHOP