文具で楽しいひととき
ライフ
ライティングペーパーT25
万年筆に合う、いい紙を探してみると、なぜだか便箋ばかりになってしまう。その昔、万年筆が、普段使いの筆記具として君臨していたころは便箋だけでなく、きっと色々な紙があったはずである。それがいつしか、普段使いの筆記具の座をボールペンに受け渡してからというもの万年筆は手紙を書くものという位置づけになってしまったのだろうか。
便箋だけでなく、普段から万年筆をもっと楽しめる上質な紙があったらいいのに。。。そんな折り、いいものが発売された。ライフ社のライティングペーパーである。表紙には、古きよき時代の雰囲気をそのまま残すクラシカルなものになっている。
それもそのはず、これは、ライフ社が20年ほど前まで販売していたものをこのたび復刻したものである。やはり、昔はこういういいものがあったのだ。
■ バンクペーパー
表紙には、「BANK PAPER(バンクペーパー)」とある。バンクという様に、これは、銀行用として作られた帳簿用紙のこと。そもそも帳簿は大変重要な情報を書き記すことから書きやすさはもちろん、高い保存性、何度めくっても大丈夫という耐久性など紙としての基本性能が大変高いものになっている。そんなバンクペーパーは、当然万年筆にとっても、相性のいい紙なのだ。
今回の復刻版では、万年筆の筆記を前提にしているようで、吸い取り紙が1枚綴じられている。
吸い取り紙の下には、たっぷりとバンクペーパーが100枚も綴じられている。上質な紙が100枚もあるので、手にすると、結構ズシリと来る。
■ コシとハリがある
紙は無地なので、それこそ便箋としてだけでなく、縦横無尽に使うことができるのがいい。その紙を1枚だけ指先で触ってみると、やや厚めだが、取り立てて分厚いという感じはしない。しかし、一般的な紙と圧倒的に違う点がある。それは、紙のコシとハリ。
アイロンをかけたばかりのYシャツのようなハリがある。いかにも、繊維の目がぎっしりと詰まったという感じで、さすがに耐久性のいい紙と言われるだけはある。では、万年筆の書き心地を見てみよう。比較的ペン先が太めのもので色々と書いてみた。
キメの細かい紙の上にペン先をあてて走らせてみると、決して滑らか過ぎることはなく、しっかりとした手ごたえが伝わってくる。耳を済ませると、シャカシャカという筆記音も聞こえてくる。この書き心地をより上質なものにしてくれるのが、100枚という分厚い紙の束。
よく、机の上で紙一枚だけで書いていると、カツカツとした硬い書き味になってしまうことがある。この100枚の紙の束が程よいクッション効果を生んでくれているようだ。書き味もさることながら、さらに感心したのは、インクのにじみがほとんどないこと。書いたままの大きさでしっかりと筆跡が残せる。
万年筆を意のまま操っているような感じがして書き手としてはとても気分がいい。しかも、インクが紙の裏面に抜けてしまうことも、見られなかった。これは紙が厚いからというよりも、繊維がギュッと詰まっているからなのだと思う。これなら、両面筆記も十分可能だ。
私は、普段使い用の万年筆パッドとして、主にアイデアを練ったりする時に使っている。
アイデアを考えている時には、意外と万年筆は最適なペンで、頭に浮かんだものをサラサラと書きとめていくのにちょうどよい。柔らかなタッチが、頭をリラックスさせてくれ、アイデアがより出やすくなるような気がする。万年筆の書き味をより上質にしてくれるこのライティングパッドはそういう意味で、アイデア出しにもってこいだ。
万年筆を普段使いするということで、このライティングペーパーを使ってみたのだが、より普段使いをしたくなってしまった。できれば、このバンクペーパーで普段持ち歩けるノートや手帳(無地)も作ってもらえたら個人的にはとても助かるのだが。。。
ライフ ライティングペーパー T25はアサヒヤ紙文具店さんで手に入ります。
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