2005.12.06(95)

「大切に使いたいリングノート」

ポスタルコ

ノートブック

ポスタルコ ノートブック

先日、東京八重洲口にあるポスタルコさんというショップに取材に行ってきた。ポスタルコ(POSTALCO)という名前は、郵便のPOSTALCOと会社のCOMPANYくっつけたもの。世界中に手紙を運んでくれる郵便。メールやインターネットの影に隠れがちだが、世界中に運んでくれるというこの仕組みは今更ながらすごいことだと思う。

■ トレードマークは鳩

ポスタルコはこうした手紙を含めた色々な紙を快適に運ぶということをコンセプトにものづくりを行っている。トレードマークの鳩は、手紙を運ぶ象徴である伝書鳩だ。

ポスタルコ ノートブック

紙に対して深い想い入れがあるポスタルコさんが作ったオリジナルノートを今回はご紹介したい。まず、外観から見てみよう。表紙を触ってみると、ちょっとザラザラしている。

ポスタルコ ノートブック

ここには圧縮コットンという素材が使われている。圧縮コットンといっても、イメージしにくいかもしれないがテントに使われる素材だ。と言われても、テントなんて触ったことがない人がほとんどだろう。要は、テントのように雨露をはじいてしまうほどの目のつまったコットンとご理解いただければいいと思う。

■ 使い込むと味わいがでる圧縮コットン

表紙の厚紙の上にこの圧縮コットンが貼ってあるので、結構コシがあってしっかりとしている。常に手に触れる部分であるし、中の紙を守る役目も担っているので、これくらいの硬さのほうが安心だ。圧縮コットンは、つまり布なので、使い込んでいくうちに、織り目の表情が豊かになっていくという。どんな表情をみせてくれるのか今から待ち遠しい。

このノートは、リング綴じになっている。リングノートは、使い終わって本棚にしまおうとすると背表紙には、リングしか見えない。つまり、インデックスが付けづらいという難点があった。でも、このノートにはちゃんと背表紙がしつらえてある。

ポスタルコ ノートブック

表紙、背表紙、裏表紙の全てが1枚の厚紙でまかなわれているのだ。一体型の表紙ということではあるが、めくり心地はリングノートならではのスムーズそのもの。

この一体型表紙には、この他にもとてもスバラシイ仕掛けが隠されている。リング式のメモパッドを手に持って書いているとしよう。ペンを持っている手は、はじめのうちはメモパッドが支えになってくれるのだが、だんだん、下側にいくにつれ最後には手の支えなしの筆記を強いられることになる。手の支えを失って、辛うじて接しているのはペン先だけという状態だ。

ペン先1点で支えているだけでも、精一杯なのにさらにはこの状態から文字を書くわけだから、当然、判読不能な文字になってしまう。でも、このノートは違う。ここからが、このノートの一番の見せ所。

■ ペンを持った手を乗せる台がある

表紙を裏側に折り返えしてみるとノートの下側に3cmちょっとはみ出てくる。

ポスタルコ ノートブック

ポスタルコ ノートブック

これを支えにすればノートの最後の最後まで快適に書けるという訳だ。日ごろ立ったままで筆記することが多い人には朗報だろう。

ポスタルコ ノートブック

このはみ出し、折り返す前の状態では、ぴったりと合っているのに折り返したときだけ、はみ出るようになっている。なので、普段はポケットやかばんに入れる時は邪魔にならない。まさに、「紙を快適に運ぶ」というポスタルコの理念が実践されている。

表紙をひらくと、ブルーの方眼が敷きつめられている。これがなんと1mm方眼。

ポスタルコ ノートブック

ブルーの罫線でかたどられた小さなマス目模様は、方眼というより、むしろ淡いブルーの紙面のようにも見える。1mm方眼と言っても1マスずつ書くという使い方ではなく、ここは大胆に、ブルーの無地ノートのような感覚で私は自由に使っている。ちょっとした図面などを書く場合には、1mmの方眼を使って線を書けばいい。時には大雑把に、またある時は緻密にという、対極的なことをこの1mm方眼は可能にしてくれる。

厚みも十分でしっかりとコシのある紙は、万年筆、水性ボールでもインクの裏写りやにじみは見られなかった。ただ、ちょっと気になったのはブルーの罫線が多少、万年筆のインクをはじいてしまうこと。

モンブラン、ペリカン、ラミーの純正の万年筆インクで試してみたところモンブランとペリカンは大丈夫だったが、ラミーのインクは若干はじいているようだった。

ポスタルコ ノートブック

ポスタルコ ノートブック

といっても、ふつうに文字を書く分にはそんなに気になるほどでもない。どうしても気になるという方は、無地タイプも用意されているのでそちらを選ぶという手もある。一見すると、とても何気ないのだが使ってみると、肌ざわりや使い心地など細かなところまでよく考えられている。

ノートという、ある意味で、すでに完成されたものでもまだまだいろんな工夫の余地があるということを改めて気づかせてくれるものだった。

ポスタルコ ノートブック

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