文具で楽しいひととき
日吉パッキング製作所
harrytoree ハリトレー
紙をファイリングするにはいくつかの方法がある。
たとえば、紙に穴を開けてリングのようなもので綴じるか、バインダーなどで挟むというもの。また、クリアフォルダーやポケットに入れておくという方法もある。
■ 糊が綴じ具
そんな中、これはそうしたものと全く違う方式をとっている。何を使うかというと「糊」。糊を使うと、たしかに紙は綴じられるだろうが、綴じたが最後、再び紙を取り出せなくなってしまう。ファイルというからには書類が綴じられると同時に、いつでも取り外せなくてはならない。今回のものは糊でファイリングしがらも簡単に取り外すことも出来てしまう。
商品名は「 harrytoree (ハリトレー)」という。
「貼り」ながらも「とれる」という商品特徴が、そのままネーミングとなっている。サイズは名刺を一回り大きくしたちょうど名刺入れくらいといったところ。
ファイルの収容力を表す厚みは約1.5cm くらいと、このサイズにしては、なかなかのものがある。
表紙はPP製。外観はブラックだが、内側にはグリーンやオレンジ、ブルーなどの鮮やかな色が配色されている。MOLESKINE のパッケージにあるカラフルな帯をもう一段明るくしたような感じだ。MOLESKINE は、手帳として使う時は帯はとってしまうが、この「 harrytoree 」では、ずっとこの配色が楽しめる。表紙を開く方法は、3タイプ用意されている。
ゴムバンドで留めるタイプ、留め具を通して固定するタイプ、そして留め具が台形のように先端が少しばかり張り出していて、それにより固定するタイプの3つ。個人的には最後のタイプが気に入った。というのも、これだと片手で表紙の開け閉めが出来てしまう。開ける時は、台形の留め具に指をかけて少しばかり広げればいい。
閉じる時も片手でそのまま両側を押し込むだけで、パチンと固定できる。
さて、次にこの「 harrytoree 」の最大の見せ場である粘着式ファイリングについてご紹介しよう。
■ 剥がして綴じていく
表紙を開くと、その内側に帯状の黒いシールのようなものが貼り付けられている。
目を近づけてよくよく見ると、それは縦に6等分にカットされている。
シールを貼る時の要領で、その一つを剥がすと粘着面が出てくる。
この粘着面に名刺を貼っていく。貼ると言っても、その粘着面の幅は1mm ちょっとしかない。そんな狭い幅のところに名刺をどうやって貼ればいいのか。。これは名刺の小口と言おうか横の薄い側面部分を貼るのだ。名刺の厚みは。コンマ1から2mm くらい。そんな薄い面で果たして貼れるのだろうか。実際に貼り付けてみる。
■ 紙の側面を貼っていく
これまでの人生を振り返ってみても、私は、紙の面ばかりに貼ってきたので、紙の側面を貼るというのは何とも新鮮な気分である。恐る恐る貼り付けてみると、これが思っていたよりもしっかりとくっつく。名刺を貼り付けてみるとわかるが、粘着面はわずかながらスポンジのような弾力がある。貼り付けた状態で「 harrytoree 」を逆さまにしても外れない。名刺をつまんで少し揺すっても大丈夫だ。
さらに、軽く引っ張っても結構ガッチリと固定されている印象。
これは面白い。最初の一枚目を貼るのは、なにも目安がない中で粘着面のギリギリ端っこに合わせないといけないのでやや慎重さが求められる。しかし、2枚目以降は、すでに貼ってあるすぐ隣に沿わせるようにすればいいので、比較的簡単。
名刺の厚みにもよるが、この1ヶ所の粘着面には6~7枚の名刺が貼りつけられるという。私の名刺で試してみたところ6枚だった。つまり6ヶ所あるので最大で40枚弱は貼れてしまう。
■ めくり心地抜群
これがユニークなのは、こうして貼り付けた状態で、名刺をまるで本のページをめくる時のように、パラパラと閲覧できるところ。
いや、これは本のめくり心地とは違う。一般の本よりもずっとめくりやすい。たとえるなら見開き性の優れているノートのようだ。名刺はコシのある厚紙なので、実際のめくり心地としては、そうしたノートよりもさらに上を行っているようにも思う。
綴じのノド元から、まるでドアーが開くようにパタパタとめくれていく。
この快適なめくり心地を司っているのは、粘着面にあるクッション性のあるスポンジが大きく影響しているように思う。クッションがあることで、一枚一枚の名刺がフレキシブルに動くようになっているのだろう。
さて、ここまでは「 harrytoree 」の「貼り」の部分についてご紹介してきた。
ここからは「 toree(とれ)」のご紹介を。そう、これは冒頭でもご紹介した様に、貼り付けた名刺を取り外すことができる。どうやるかというと、難しく考えることはない、ただただ剥がせばいいだけである。ただ、この時ひとつ気をつけるべきは、シールを剥がすときのように片側から少しずつねじって剥がしていく。
こうするとキレイに剥がれる。ちなみに一気に剥がすのは良くないそうだ。剥がしたものは、なんと再び貼り付けることができてしまう。もちろん剥がしたものだけでなく、新しい名刺をそこに貼り付けることも可能。この貼って剥がすというのは、メーカーの日吉ハッキング製作所によると、紙質や厚みにもよるが、およそ100往復はできるという。
こうしたユニークな機能性を持った「harrytoree 」を使うと、名刺管理はきっとこんな感じになるのだろう。あらかじめ自分の名刺を30枚くらい「 harrytoree 」に貼り付けておく。
誰かと名刺交換する時には「 harrytoree 」を取り出し、自分の名刺をピリピリ(ちょっとこういう音がします)と剥がして差し出す。受け取った相手の名刺は。とりあえず「 harrytoree 」を名刺入れみたいにして、その上に一時待機させ、話が終わったらあらかじめ剥がしておいた粘着面に貼り付ける。
おそらく、この時は急いでいるだろうから、少し曲がっていても気にせず仮止め程度としておく。付け外しが簡単にできるので、帰りの電車などで改めてキレイに貼り直せばいい。ピリピリと剥がして名刺を渡すのは、さすがにビジネスの場ではちょっとそぐわないかもしれないので、個人の名刺用と割り切って使うのがいいかもしれない。
また、こんな使い方もあるかもしれない。それは名刺ファイリングに徹するというもの。自分の名刺は入れずに、いただいた名刺だけファイリングするというものだ。たとえば、今進行中のプロジェクトに関わる方々の名刺をこれで管理する。パラパラとめくっていけるので、必要な名刺がサッと見つけることができる。これならビジネスシーンでも使うことができるだろう。
また、就活生が活動中に集めた名刺を管理するのにもちょうど良いかもしれない。
試しに、粘着面すべてに名刺を貼り付けてみた。
一般の名刺フォルダーのようにポケットがある訳でもない。外側のカバーはあるものの中は名刺がただただ重ねられているだけなので、たくさんの名刺をコンパクトに持ち歩くことができる。こんなにたくさんの名刺を貼り付けてももちろん、名刺の保持力はバッチリ。
また、名刺ファイルだけでなく、メモツールとしてもこれは大いに使える。名刺の代わりに名刺サイズの情報カードを入れるというものだ。
あらかじめ未記入の情報カードを貼り付けておき、そこにどんどんメモしていく。
粘着式なので、紙の補充も簡単に行える。つまり、リングのないシステム手帳みたいに使えるという訳だ。ちなみに、ロディアなどの普通のメモ用紙は薄すぎて貼り付けることはできない。名刺くらいのある程度の厚みが必要となる。情報カードは、ある程度の紙の厚みもあり、うまい具合に名刺サイズもあるので、「 harrytoree 」と一緒に使うのに適している。名刺ファイル&メモという使い方もいいかもしれない。
ちなみに、これにセットするペンは、以前財布用エマージェンシーペンとしてご紹介したゼブラのSL-F1miniがいい。
カバーにセットしてもペン先が飛び出ることがない。紙の側面を貼り付けるという新感覚の「 harrytoree 」。これ以外にもいろいろと活用範囲は広がりそうだ。
□ harrytoree(ハリトレー)は、こちらで販売されています。
□ harrytoree(ハリトレー)公式サイト
*関連コラム
「心地よい名刺入れ」ポスタルコ カードケース
「握りしめると、名刺が飛び出す」abrAsus 薄い名刺入れ
「私の自炊生活 」ノート、資料、名刺のデジタル化
文具コラム ライブラリー
pen-info SHOP