■ 「日本の心を持ったラミーペン」 ラミー ノト (noto) 1,500円+Tax〜
□すでに色んなところで発表されているとおり
ラミーから1年ぶりに新モデルが発売された。
ラミー noto(ノト)。
ラミー愛好家の方々には今さら説明不要だと思うが、
このペンをデザインしたのは、深澤直人氏。
無印良品の換気扇のようなCDプレーヤーやauの携帯電話インフォバーなどを
デザインされた方。
この日本人デザイナーによるラミーペンについては、
2年前、ドクターラミーにインタビューさせていただいた際に
そのことを知った。
その時ドクターラミーは、
ミスターフカサワに「バウハウス」と「禅」をテーマにペンのデザインをお願いしていると、
そう説明してくれた。
そうした点も含めて、今回のノトをじっくりと色んな角度から見てみたいと思う。
□まず、商品名のノト(noto)は、深澤直人氏の「ナオト」という名前を縮めた言い方で、
それと同時にヨーロッパの方が日本的な響きを感じるということから名付けられたという。
ボディデザインは、三角軸を基本とする実にシンプルなラインで構成されている。
きっとはじめてご覧になる方は、
あまりのシンプルさでやや違和感を覚えるかもしれない。
私も今年の初めのドイツの展示会で見かけた時は、
正直なところそうした印象を受けた。
そして、数ヶ月が経ち、こうして再会を果たしてみると、
ムム、、、なるほど。。という納得感みたいものが芽生えてきた。
全身樹脂ボディには表面にきめ細かいマット加工があり、
一般の樹脂ペンとはまた違う、独特な質感をたたえている。
メタルパーツはどこにもなくボディラインに段差がないせいだろうか、
まるで中身がぎっしりと詰まった一つの塊みたいな印象がある。
その「塊感」を盛り上げているのに
クリップの存在が大きいと思う。
元々一つの塊であったものから
くり抜いたようにクリップがかたち作られている。
樹脂製とは言えクリップそのものが無垢であることも
この「塊感」に大いに影響しているようだ。
□そしてノックボタン。
この形状また効いている。
ノックボタンとしてあまりお目にかかったことのない
だ円軸になっている。
このだ円軸のノックボタンから先ほどのクリップへとつなげて
眺めてみると、私の思いこみかもしれないが、
サムライが使う刀の様に見えてならない。
ドクターラミーが今回のペンのコンセプトとして「禅」を掲げていたが、
この部分にひとつ現れているのではないだろうか。
スゥッとしたボディラインの内面に宿っている力強さを私は感じる。
私は今回ブラック(深澤直人氏サイン入りは、1,575円)とオレンジとブルーの3本を入手した。
このクリップには、サイン入りペンそれ以外で多少違いがあった。
クリップの下側の固定するポッチの形状がサイン入りタイプは
やや横長であるのに対し、それ以外は丸いポッチになっている。
刀らしさという面で言えば、サイン入りバージョンの方が
それらしいと個人的には思う。
□ノックボタンを押すと無音のままペン先が静かに繰り出される。
今回のボディデザインには、やはりこの無音のほうがしっくりとくる。
握って筆記体勢に入ってみる。
三角軸によりそれぞれの指がピッタリとグリップできる。
しかし、このフィット感
ただ三角軸というだけではないような気がする。
全神経を指先に集中させ、さらには目をつぶり、
このグリップを観察してみると、
同じ三角軸でもボディ側とグリップ側ではちょっと違っているようだ。
ボディの方はそれぞれの面がフラットなのに対して、
グリップの方は面がほんのわずかに丸みを帯びている。
試しに、ボディの中央側を握り、そのままグリップ側にスライドさせてみると、
その違いがわかる。
目ではほとんどわからないようなほんのわずかなふくらみにより、
やさしい握り心地を生み出しているのだろう。
□次に、クリップ本来の役割である挟み込むという点について見てみよう。
一般的にクリップというものは、ボディラインからはみ出しているものだ。
それにより、ポケットなどに差したときに、挟みやすくしている。
しかし、これはクリップがほとんどはみ出していない。
クリップの先端はちょうど刀の先端のようにやや鋭角になっている。
さらには、ボディとクリップの隙間が斜めになっていることで、
クリップの先端を無理矢理こじ開けなくてもスゥッと挟むことができる。
あまり厚手のものには向かないと思うが、
シャツやノートの表紙などには気持ちよく挟むことができる。
こうしてポケットにさすと、ノックボタンとクリップだけが際だち、
まさに刀のようなフォルムになる。
これはまさに懐刀と言えまいか。
□ラミーの新作はえてして、発売当初はやや拍子抜けする反応が多いという。
かのラミー2000でさえ、発売したばかりの時はそうだったと言う。
しかし、しだいしだいに輝きを増し、
その輝きはその後ずっと続いていく。
今回のノトもまさにそうなのだろう。
(2008年6月24日作成)
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