■ その65 「下町の職人さんが作ったボールペン」 ペン工房キリタ ケーファー ボールペン 3,000円
□東京の下町には、すばらしい技術を持った職人さんがたくさんいらっしゃる。
これまでの大量生産、大量消費の時代では、私たちユーザーにはそうした
職人さんの姿があまり見えてこなかった。
しかし、最近では下町の職人さんたちが自らのブランドを立ち上げて
ユーザーに直接商品を紹介し、販売することがごく普通のことになっている。
職人さんの商品が手に入りやすくなったのは個人的にとてもうれしい。
今回ご紹介するボールペンはそんな職人さんが
精魂こめて作ったボールペンである。
東京の下町で50年以上にわたって筆記具を作り続けてきた
桐平(きりひら)工業さんが「ペン工房キリタ」という独自のブランドを
立ち上げた。
今回ご紹介するケーファー(KAFER)ボールペンは、その代表的なモデルだ。
□桐平工業さんは、筆記具を作り続けて50年以上という長い歴史を持っている。
そんなに長い歴史を持つ筆記具メーカーでありながら、
私たちユーザーはその名を聞いてもピンと来ない。
それはこれまで、いろんな文具メーカーさんやブランドのペンをOEM
生産をしてきたからだ。
つまり黒子として文具業界を支えてきた訳だ。
日本のペンの品質の良さは世界的にも知られていることだ。
桐平工業さんはそうした日本の文具メーカーとともに永年ペン作りを
行ってきたので、その技術は折り紙つきだ。
□このケーファーボールペン、個性的なクリップがまず目に飛び込んでくる。
ちょっと例えが悪いかもしれないが、ドラキュラが入っている棺おけの形のように見える。
このストレートクリップ以外にも今後十字架型のクリップもラインナップされるそうだ。
こうなると、まさにドラキュラだ。
このクリップ、ペン単体で眺めていてもとても個性的だが、
シャツの胸ポケットにさすと、さらに際立つ。
デザインだけでなく、とめるというクリップ本来の機能もちゃんと考えられている。
クリップと胴軸の間には板バネが使われていて、強度もしっかりしている。
□外観は通常のペンと比べると胴軸の長さがいくぶん短めになっている。
しかし、手にしてみると、見た目以上にずっしりとした重みが手に伝わってくる。
胴軸に使われた肉厚の真鍮のせいだろう。
クロスのセンチュリーと比べてみました
そもそも、ケーファー(FAFER)とはドイツ語でカブト虫という意味。
固い真鍮で覆われたペンはまさにカブト虫を彷彿とさせる。
肉厚の真鍮による適度な重量感は、造りのよいボールペンを
所有していると実感するのに十分だ。
軽すぎても、重すぎてもいけない、その絶妙なバランスは永年筆記具を
作り続けてきた老舗のなせる技なのだろう。
胴軸表面には黒塗りが施されており、指先に程よくまとわりついてくる。
□ボールペンの芯はトップ部分をねじると出てくるようになっている。
ノック式に慣れていると、はじめは戸惑うかもしれない。
ノック式より、多少手間と時間がかかるので、
まどろっこしいとも感じるかもしれない。
でも、手間のかかるこのねじるという作業が
「さあ、書くぞ」という前のちょっとした小休止になってくれるように思う。
ちょっと固めのそのねじり具合は、実は筆圧を強く書いても芯が引っ込んだり
しないという効果もあったりする。
指を添えた際にねじりやすいようにトップ部分がラッパのように広がっている。
□職人さんによる上質なボールペンというだけでなく、
メーカー直販ならではうれしい配慮もある。
1つは、ペンに永久保証がついていることだ。
なんらかで壊れてしまっても、キリタさんに送れば
パーツが存在する限り、直してくれるという。
そんな簡単には壊れないように職人の手により1つ1つ
丹精こめて作り上げたからこそ、永久保証ができるのだろう。
さらに、リフィルを1本無料でいただけるというサービスまである。
購入者がペン使った感想メールを送ると、もれなくもらえるという。
商品の永久保証は他のメーカーでもあるが、リフィルまで
くれるというのはあまり聞いたことがない。
ケーファーを永く使ってほしいという作り手の願いが
込められているのだろう。
□50年間という筆記具づくりの経験と知恵を詰め込んだ
職人の技が息づく愛着のわくボールペン。
大量生産にはない、あたたかみがある。
作り手の手のぬくもりまでもが伝わってきそうな感じがする。
(2005年2月23日作成)
■キリタ ケーファーボールペン ストレートクリップ ブラックは、こちらで販売されています。
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