■ 「大人の筆入れ」 cyproduct ペンケース ヒモ 3,675円
□私は、ここ10年ばかり筆入れを持ったことがほとんどなかった。
今時、筆入れという表現はちょっと古いかもしれないが
私は、この言い方の方がどちらかといえば馴染みやすい。
その「筆入れ」を持たないのは、シャツの胸ポケットがその代わりと
なってくれているからという理由と、ぜひ所有したいと私の気持ちを
ゆり動かすものに出会えなかったからというのが主な理由だ。
筆入れといえば、小学校一年生の頃に、親から与えられたのが最初で
確か、黒の合成皮革の箱型のものだった。
その後、両面開きタイプやカンペンケースや布製のものなど
色々なものを使ってきた。
でも、社会人になったとたんに、筆入れを使わなくなってしまった。
なんでだろう?
しいて言えば、できるだけ荷物を増やしたくないということだろうか
今思えば、はっきりした理由が見当たらない。
私の周りの人たちが使っていなかったので、なんとなくそうしていたとも思う。
このcyproductさんの 「ペンケースヒモ」を手に取るまでは
正直なところ、筆入れは私にとってあまり必要なものではなかった。
今回は15年ぶりに、私が持つことにした筆入れ
cyproduct ペンケースヒモをご紹介します。
□商品名の「ペンケース ヒモ」。
まことに、商品そのものをよく言い当てたネーミングだと思う。
筆入れの開け閉めをヒモを使って行う、いたってシンプルなもの。
特徴的なのは、閉めた時に、ヒモの結び目が本体のちょうど
真ん中あたりに来る。
これが、デザインのポイントとなっていている。
どことなく、和のテイストを感じてしまう。
このヒモ式、実際の開け閉めにおいても、大変やりやすい。
ヒモというシンプルな構造ゆえに、よくあるチャック式や
ボタン式に比べ、壊れたりする心配がほとんどないのがよい。
シンプルさゆえのなせる技だと思う。
□ヒモをほどき、中を開けてみると、そこにはゆったりとした
空間が出現する。
サイドのマチは十分とられているので、
太目のペンなら3本はゆったり入ってしまう。
こういう筆入れには、あまりぎゅうぎゅう詰めにペンを入れずに
ゆったりと余裕をもって入れるのが、粋なやり方だ。
あまりたくさん詰め込み過ぎて、肝心のヒモがしっかり結べなくては
台無しになってしまうと、個人的にはそう思う。
□外観はいかにも、よい皮をしっかり手間を惜しまず
なめしました、という造りのよさがひしひしと伝わってくる。
材質は牛革のキップが使われている。
「キップ」とは生後6ヶ月〜2年以内の牛皮のことを言う。
カーフスキンの次に上質なものとされている。
手にしてみると、滑らかな手触りと、それでいてコシのしっかりた
感触が伝わってくる。
このしっかりとしたコシを出すために、裏地を目止めするなど
細かな部分まで手間をしっかりかけているのがよくわかる。
さらに縫製やサイドの仕上げも抜かりがない。
□このペンケース ヒモはcyproductの斉藤さんご自身により
デザインされ、1つ1つ手作りで製作されている。
やはり手作りに勝るものはないと思う。
聞くところによれば、販売されてから既に4年もたっているとのこと。
斉藤さんは六本木AXISのリビングモチーフのオリジナル商品も
手がけられているそうだ。
斉藤さんに、ものづくりのコンセプトをお伺いしたところ、
「素材の物性を生かしたシンプルなものつくり」
というお答えが返ってきた。
このペンケースヒモはまさにそのコンセプトを具現化しものだ。
しかも、
こんなこだわり満載で3,675円とはまことに恐れ入る。
日本における現代版「職人気質」を垣間見た気がした。
ちなみに、私はこの「ペンケースヒモ」を東京、御茶ノ水の
美篶堂さんで購入した。
(2004年7月6日作成)
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