■ 「ノートとペンの仲を取り持つちょっといいペンクリップ」
オーセンティクス ペンクリップ Sサイズ 1,890円
□先般のISOT2007の時にお会いした
香港シティスーパーのステーショナリーバイヤーのパトリックさんが
Moleskineにさりげなく付けていたペンクリップ。
これがどうしても気になり、このたび、私もひとつ手に入れてみた。
ペンクリップのわりにといったら
ペンクリップに失礼かも知れないが、これが結構な値段がする。
その価格、1,890円。
Moleskineのポケットサイズが1,890円なので
それと同じ値段ということになる。
この高さのせいもあって、気にはなっているものの、
実際の使い心地はどうなのだろう??と思っていらっしゃる方も多いのでは。
そこで、その使い勝手をレポートさせていただこうと
こう思った次第である。
□まず、パッケージがかなり変わっている。
本体の何倍もの大きさがある。
ノートをかたどったケースになっており、
こうやって使うんですよ、と言う具合に
ペンクリップと共に、ご丁寧に鉛筆までもが1本ついている。
ここまですれば、このクリップが何のためのもであるかは
一目瞭然となる。
もし、このクリップだけが、ポツンと店頭においてあったら
ペンクリップと言うよりも、女性の髪留めにしか見えなかったことだろう。
□さて、このペンクリップの取り付け方からご紹介しよう。
まず、ノートを用意する。
私はパトリックさんに習ってMoleskineにつけてみることにした。
ノートを少しばかり広げ、背表紙に隙間を作る。
そこにクリップの長いほうをしっかりと差し込む。セットはこれで完了。
もうお気づきかも知れないが、このペンクリップを取り付けられるのは
基本的にMoleskineのように、背表紙と綴じ部分の間に隙間ができ、
幅が7cmのクリップが差し込めるよう、背表紙は1cmくらいなければならない。
こうして取り付けたクリップにペンをセットするには、
表にでているクリップを引き上げて、その間にペン先側から挟み込めばいい。
ペンクリップとは、そもそもペンをホールドするということがメインだが、
これは、クリップの部分がラウンド状になっているので、
ペン先をしっかりガード出来るようにもなっている。
なので、キリリと尖った削り立ての鉛筆でも
キャップをしなくてもセットすることも可能だ。
つまり、キャップの役割も果たしてくれている訳だ。
この背表紙に取り付けるということと、先ほどの丸みを帯びたフォルムのせいだろう。
あと付けクリップでありながら、取って付けたという感じはあまりなく、
ノートにピッタリと寄り添って馴染んでいる姿が微笑ましい。
欲を言えば、シルバーメタルではなく、ブラックタイプもあれば、より馴染んだに違いない。
結構なクリップ力があり、ペンをホールドしたまま乱暴にペンを揺すってみたところで
ペンはびくともせず、ノートとペンの仲を引き離すことはできない。
□次に気になるのは、セットできるペンの条件にはどんなものがあるかということだ。
そもそも、このペンクリップには鉛筆がセットされているというように
基本は鉛筆くらいの太さ、つまり7mmくらいががふさわしいと言うことになる。
鉛筆だけしかセットできないとなると、せっかくのこのクリップの価値も半減してしまう。
そこで、色々なタイプのペンで試してみた。
まず、鉛筆くらいのサイズと言えば、
同じ六角軸ボディのカランダッシュのオフィスがある。
実際に取り付けてみると、やはり鉛筆サイズということでバッチリ決まる。
ちなみに、Moleskineのポケットサイズの縦の長さにもピッタリだ。
そのほか、比較的細身のペンで試してみたが、
パーカーのジョッター、ラミーLogoボールペン、ステッドラー エランスなど
いずれもOKだった。
つまり太さは1cmくらいまでが良いと思う。
ご参考まで、
1cm以上の太めのペンでのとり付け結果を申し上げると、
ラミーの2000(4色ボールペン)、スイフト、サファリ(ボールペン)は
セットできないこともないが、結構きつめでペンが苦しそうだ。
さらに、ペンがビシッと固定できずに、
やや宙ぶらりんで不安定になってしまうことあって、
あまりオススメできない。
もっとオススメ出来ないのが、ラミーサファリの万年筆。
いかりや長介ではないが、「ダメだ、こりゃ。。」といった感じである。
□太すぎるとダメとなると、では細いペンはどうなのかが気になる。
細いペンの代表選手であるトンボZoom707とラミースピリットで試してみた。
これが意外に、うまい具合にセットできた。
細さについては結構な許容範囲があるようだ。
ペンの長さについては、このクリップとの相性に関係はなく、
むしろ取り付けるノートのサイズにはみ出てしまうかどうかの方がポイントになる。
ペンのセットに関して、ひとつ注意しておかなければならないのは、
クリップはメタルむき出しなので、ペンを差し込んだり、引き抜くときに
ペンに傷がついてしまうリスクがつきまとう。
あまり傷をつけたくないペンは避けた方がよいだろう。
□今度は、色々なノートにこのペンクリップを付けてみた。
先ほど、ご紹介したように背表紙に隙間が出来ればOKだが、
ここではノートのサイズなどを含めて試してみよう。
A5サイズの「みすずノート小口染め」や「丸善のダックノート」は、
なんら問題なく、取り付けることができた。
背表紙に差し込む棒の部分が13cmとかなりゆったりした長さがあるので、
おそらくそれ以上に大きいB5やA4といったノートでも大丈夫だと思われる。
背表紙にセットするというのが基本だが、背にさすことができないノートというのもある。
例えば、ミドリのトラベラーズのように。
こうしたノートの場合は、
ちょっと邪道かもしれないが、表紙に付けてしまうという手もある。
実際に取り付けてみると、
見た目にもなかなか格好良い。
ただし、背表紙の裏面には、本来背表紙の中に入る長細い棒があるので、
書くときに、多少の紙のふくらみというものは我慢しなくてはならない。
□そうそう、このペンクリップには私が手に入れてSサイズの他、
Lサイズというのもある。
私がこれを買ったシゼムさんに確認したところによると、
SとLの唯一の違いは、ペンをホールドするクリップの縦方向の長さだけが
長くなっているということだった。
それ以外のサイズは全く同じだという。
今回、Sサイズで、MoleskineのポケットサイズやA5ノートに使ってみて
特に不便を感じることはなかった。
ということで、個人的にはSサイズで十分という印象をもった。
ちなみに、Lサイズは、さらに値段が高い2,625円もする。
□以上、色々なペンからこのペンクリップを見てきた訳だが、
難点をあげるとすれば、
机の上でノートを広げて使うときだ。
背表紙にクリップがきているので、
机の上では、ノートがフラットになりにくい。
しかし、そもそもこのクリップはペンをノートにセットして、
軽快に持ち歩いて、立ったまま筆記するということが多いだろうから、
それほど気になるものでもないだろう。
多少の制約はあるものの色々なペンやノートに取り付けて楽しむことができる。
ノートとペンを片時も手放したくないという方には
頼もしい存在になってくれると思う。
(2007年7月31日作成)
■オーセンティクス ペンクリップはこちらで手に入ります。
<今回登場したノート&ペン〉
ノート
■ 「所有する喜びが感じられる手帳」 モールスキン ポケット ルールドノート
■ 「造りのよさが感じられるノート」 みすず小口染めノート
■ 「高嶺の花的 ノート」 丸善 ダックノート
ペン
■ ステッドラー エランス (ブログ)
■ パーカージョッター (オールアバウト)
■ 「ナナフシのようなペン」 トンボデザインコレクション Zoom 707
■ ラミー スピリット (オールアバウト)
■ 「カチカチ音をたてない4色ボールペン」 ラミー2000 4色ボールペン
■ 「水性ボールペンの魅力が存分に味わえる」 ラミー スイフト SWIFT
■ 「がしがし使えるカジュアル万年筆」 ラミー サファリ万年筆