■ その112 「オーストラリアで買ってきた文房具」
□今年の夏休みは家族でバカンスを過ごすために
オーストラリアに行ってきた。
実は、この行き先の決める際には家族でちょっとした議論になった。
と言うもの私としては、せっかく海外に行くのだから色々と文具が見られる
北欧や東欧あたりを訪ねたかったのだが、
私以外の家族全員は旅のメインの目的がバカンスということで、
オーストラリアを希望していた。
意見が真っ二つに分かれてしまったのだ。
と言っても3対1ではなすすべもなく、
最終的には多数決ということで、泣く泣く押し切られてしまった。。
それならばと、私は1つだけ条件をだした。
それは、都市であるシドニーにも立ち寄るということ。
バカンスを過ごす観光地では本格的な文具専門店を見る望みは
ほとんどないだろう。
きっとお土産屋さんの一角にコアラのキャップのついたペンが並んでいるくらいだ。
それではあんまりにも寂しすぎる。
やはり、都市に行かなくてはならない。
とまあ、そういう訳で、家族から白い目で見られつつシドニー経由ケアンズ行きと相成り
私は晴れてたくさんの文房具を買う事ができた。
今回は、そんな中からいくつかをご紹介したいと思う。
■ ACCO社(オーストラリア) リングノート $3.5 (312円相当)
このノートの面白いのは、
プラスチックの表紙に切り込みが入っていて
そこにペンがさせると言うもの。
表紙にペンがさせるノートは日本でもたまに見かけるが、
このACCO社のものは、そのホールド感が抜群にいい。
ペンのクリップを表紙の内側に引っ掛けて、さらにU字状にカットされたワッカ
でもってペンの横ぶれもしっかりと防いでくれる。
ノートを乱暴にゆすってもペンはびくともしない。
これなら、ペンを気にせずにノートを小脇に抱えて持ち歩いても大丈夫そうだ。
表紙を開くと、メモなどの紙片を入れておけるポケットページがある。
そのポケット以降、横罫線のノートが続いていく。
紙質はかなり薄めになっている。このノートに限らずシドニーで
私が見かけた実用ノートの大半はこうした薄めの紙が多く見受けられた。
各ページには、切り取り可能なミシン目が入れられており、
さらに、ノートの上の隅には斜めのミシン目があるので、
書き終わるごとに切り取ればページへのアクセスが簡単にできる。
価格が日本円にして300円ちょっととお手頃なのに、
機能が盛りだくさんの充実ノートだ。
■ スリーエム ハンギングファイルフォルダー タブ $6.95 (619円相当)
マニラフォルダー売場で見つけたポストイットの貼ってはがせるインデックスタブ。
ただのインデックスならそんなに珍しくもないのだが、
これがユニークなのは、、、
タブの付け根があらかじめ曲がっているということ。
何故わざわざ曲がっているかと言うと、
ハンギングフォルダーがズラッと並んだ中から必要なフォルダーを
探すときは、上から眺めることが多い。
でも一般的なインデックスはまっすぐに立ち上がっているので、
そのタブを見やすいようにひとつひとつ斜めに押し倒して確認する必要がある。
その点、このタブなら、うまい具合に角度がついているので
検索性がぐっと上がると言うわけだ。
このスリーエムのタブのすぐ横には、タブの付いていない
マニラフォルダー(1つ $0.40)が売られていた。
しかも、日本ではあまり見かけない赤や黄といったとてもカラフルなもの。
これに先ほどのタブをつけて使うこともできる。
このタブはスリーエムから出されている一般のフィルム状のフラッグタイプのものよりも
かなり厚めの素材になっているので、
仮のインデックスというよりもむしろ本格的なものとして十分使うことができる。
これはいいものを見つけたと思っていたら、
日本でも新製品として発売されているのを帰国してから知った。(日本では840円)
どうやら、飛行機代までかけてかなり高い買い物をしてしまったようだ。。
■ COLLINS DEBDEM社 クラシックジャーナルノート $10.95 (975円相当)
今回、オーストラリアで買ってきた色々なノートの中で
個人的に一番のお気に入りがこれ。
オーストラリアブランド「コリンズ」の素敵なデザインのノート。
私はそのシンプルなデザインにイチコロになってしまった。
200ページの大容量をじっくり使い込んでも
へたれそうにないしっかりとした厚みのある表紙。
鮮やかな中にも品があるレッドの表紙には
控えめにエンボスで「JOURNAL」とだけ刻まれている。
分厚いのだが、コンパクトなA5サイズなので、
持ち歩いて使うにもちょうどいい。
先ほどもご紹介したとおり、オーストラリアのノートの紙は薄めのものが多い。
しかし、このコリンズのものはしっかりとした厚みがあり
どんな筆記具でも受け入れてくれそうな懐の深さがある。
実際に水性ボールペンと万年筆で筆記テストをしてみたが
インクの裏うつりは微塵も見せなかった。
200ページもあって、かなり使いでがあるのだが、
いまさらながら、もう1冊買っておけば良かったと悔やまれる
とても魅力的なノートだ。
■ 日本製文具の輸出仕様モデル
一本数百円の一般筆記具売場には
海外メーカーの筆記具勢に負けじと我らが日本のペンたちも頑張っていた。
uni(三菱鉛筆)、ぺんてる、パイロット、アートライン(シヤチハタ)などが
ずらりと並んでいた。
そんな中、日本ではあまり見かけないものをいくつか買ってきた。
□ ぺんてる エナージェル クッション ボールチップ $4.5 (401円相当)
エナージェルといえば、書いたそばからインクがすぐに乾くゲルインクとして
日本でもにわかに盛り上っているペンだ。
聞くところによれば、このエナージェルは日本よりも先に海外でヒットしたそうだ。
その理由のひとつに、左利きの人が書きすすめても自分で書いた文字のインクで
手を汚さなくてすむということもあったと言う。
さて、このエナージェルは見た目のゴールドボディということもかなり珍しいが
それだけではない。
ペン先がクッション ボールチップになっているのだ。
クッション ボールチップと言われてもピンと来ないかもしれない。
これは、私の想像なのだが、ぺんてるの定番ペン「ボールぺんてる」の
樹脂チップが使われているのだと思う。
見た目もやわらかな書き心地も「ボールぺんてる」そっくり。
書き心地は「ボールぺんてる」をさらに滑らかにしたような感じだった。
このエナージェル クッション ボールチップはまだ日本では発売されていない模様。。
□ uni JETSTREAM (左) $4.5 (401円相当)
uni-ball eye Needle Point (右) $4.5 (401円相当)
オーストラリアのいくつかの文具店を見てまわった中で
とりわけよく目にした日本のペンはuniだった。
大きな専門店はもちろんのこと、ちょっとしたキオスクのような
ところでもよく見かけた。
今回買ってきたJETSTREAMとuni-ball eyeは、おそらく日本にあるものを
海外輸出用にリデザインしたものだと思う。
日本で売っているものよりもはるかに格好良いデザインをしている。
以前にイタリアに行ったときもとても感じたのだが
三菱鉛筆の輸出仕様デザインは目を見張るものがある。
日本での発売が待ち望まれるところだ。
■今回のシドニーでの文具屋さんめぐりで感じたのは
オーストラリア製の文具が意外に少ないことだった。
オーストラリアの文具店でありながら、
オーストラリアのものを探すのに苦労する始末だった。
日本の様に、筆記具、紙製品、ファイルなどでいつくものメーカーが
存在しているという事のほうが、世界的に見たら珍しいことなのかもしれない。
(2006年8月15日作成)
*日本円の参考価格は私が購入した2006年8月時点の
オーストラリアドルの為替レートの89円をもとにしています。
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