文具で楽しいひととき
キングジム
テジグ
ISOT2006(国際 文具・紙製品展)で見かけて、「これは面白い!」と思い、発売を心待ちにしていたものがある。それがこのキングジムの「テジグ」だ。「テジグ」と言われても、なんのことやらちょっとわかりづらい。これは、「手」が「とじ具」になるというコンセプトで生まれたもので、その2つをあわせて、「手じ具」→「テジグ」となったのだ。
まず、私がとっても心をときめかせてしまったのが、そのシンプルなデザイン。
レゴのブロックを思わせる鮮やかなカラーがとても目をひく。そして、これは日本の文具メーカーにしては、珍しいことではないかと思うのだが、表紙に社名やロゴがない。一般的には、これでもかというくらいに社名が大きく出ていることが多い中、このテジグでは、裏面の隅っこにひっそりとキングジムとあるだけ。これにより、鮮やかでシンプルな外観をとても引き立てている。
メーカーとしては、自社の名前を全面に出したかっただろうによくぞ、我慢してくれたと、私はその心意気に心から拍手を送ってあげたい気分になってしまった。
■ サイズはA4
大きさはA4をひと回り大きくしたサイズに、厚みは約9mmと全体としては平べったいBOXのようなスタイルをしている。
これがただのファイルBOXというだけなら、私も取り上げることはなかったと思う。このテジグには、これまでにないとてもユニークな機能が備わっている。では、使い方を順を追ってみてみよう。
まず、このファイルをどのようにして開けるか。表紙の右側にはロックされている部分がある。ここを指でつまんで、ちょうどがま口の財布を開けるようにひねる。そうすると、パカッとそのロックが外れる。
しかし、それだけではファイルは開かない。その両サイドにひとつずつ、やや強めのロックがあり、それをパチンパチンとはずして晴れてファイルを拡げることができる。
開け閉めだけを考えると、ロックが3つとは、ちょっと多すぎるのではと感じるところだが、その理由は後でわかることになる。
■ 広げた中央のすき間に書類を差し込む
ファイルを拡げてみると、なにかすごいものが出てくるかと言えば、そんなことはなく、なんの仕掛けもないごく普通のファイルの内側が顔をだす。
ただ、違うのはファイルを拡げるときのスタイル。完全に見開きになって全開になるのではなく、背表紙の一部分はとじたまま、表紙が折れるような格好になる。
とじたままになっている背の内側にうまい具合に溝ができ、そこに書類をはさんでファイリングしていく。
なんだ、それなら、「マニラフォルダー」と言われる紙ばさみ方式と同じではないかと思われるかもしれない。しかし違うのである。背の部分に「PUSH」と書かれたところがあり、そこを指で押さえ込む。
■ 綴じていないのに綴じたようにパラパラめくれる
と言っても、わざわざ押さえ込むということでもなく、すでに、背のところに指をかけている状態なので、少しばかり力を入れてあげるだけでいい。すると、中に入れておいた書類たちは、たちまちガッチリと製本されたかのように固定されて、パラパラとページをめくることができる。
これこそ、商品名にある「手でとじる」ということなのだ。紙に穴をあけたりホチキスをすることなく、書類を放り込んでおくだけで、とじることができ、閲覧までなし得てしまうのだ。しかも、指で押さえこんでいるだけなので、その指を緩めれば、書類の出し入れは自由に行える。
書類を読み終われば、ファイルを閉じて先ほどのロックをパチパチととめれば、ファイルを逆さまにしようが中の書類は落ちたりしない。ロックをわざわざ3箇所も厳重に設けていたのは、きっとこのためなのだろう。
では、このテジグはどんな場面で活かせるか。まず、なんと言っても、書類の出し入れと閲覧性に優れているのでアクティブに書類が行き交う現在進行形のプロジェクトの資料の整理にはもってこいだと思う。また、何ページにもわたる企画書を作っている時なんかにも使える。ページの追加はもちろん、入れ替えも簡単にできるので、原稿をテジグにどんどんと挟み込んでいく。そして、パラパラとめくれば、全体像もつかみやすくなる。
さらに、ちょっとしたブリーフケース代わりに使うという手もある。テジグにはコピー用紙で最大70枚くらいまで収納できるので、書類をひとまとめにこれに入れて、会議に出席するなんていうのもいいだろう。
ちなみに、あまり厚手でなければ、数枚の書類とノートを入れておくこともできる。色鮮やかなこのテジグは単体で持ち歩いてもなかなかさまになる。
■ スリムなボックススタイルなので立てかけられる
それから、このテジグはプラスチック製でしっかりとした強度があるので、本棚などの立て掛けておくこともできる。BOX型になっているので、縦にしても横にしても中の書類が出てしまうことはない。
ファイルを作ったら、そのプロジェクト名をつけてあげなくてはいけない。表紙には、タイトル、日付、セクションが明記できるようになっている。メーカーの説明書のよれば、ここには、キングジムのテプラで作ったシールを貼るといいそうだ。なかなかの商売上手だ。私は、ひと目で自分のファイルとわかるように自分のロゴシールを貼ってみた。
手でとじるとうという実にシンプルな発想のファイリング、穴をあけたり、ファイルのリングに通したりということが面倒くさくて、ついついファイリングせずに書類を山済みにしてしまうことがあるがこれなら、放り込んでおくだけでいいので、書類整理の救世主になってくれるかもしれない。しかも、閲覧性にもすぐれいてるし。さすが、事務の王様、キングジムだ。
キングジム テジグ
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