2005.04.05(71)

「アルミ削りだしのペン」

トンボ鉛筆

Zoom2000

トンボ鉛筆 Zoom2000

アルミ削りだしと言えば、車やバイクの部品を思い起こす。スピードを競い合うレースの世界では、いかに速く走るために車を軽く、そして頑丈にするということが要求されるのだろう。そんなアルミをふんだんに使ったペンがある。それが、トンボ デザインコレクション Zoom2000だ。

「書くことの喜びを実感できる」をコンセプトにしたトンボ デザインコレクション。その中で、このZoom2000はハイエンドモデルとなっている。Zoom2000は文字通り、2000年に生まれたペンだ。当初、欧米での発売が先行され、それから遅れること3年、2003年に日本での発売が始まった。

トンボ鉛筆 Zoom2000

■ ボディに刻まれたダイヤモンドカット

見るからにアルミをたくさん使ったということが伺える外観。まるで、タテに長いダイヤモンドのようなエッジの効いたフォルムをしている。胴軸の中央には、ダイヤモンドカットと言われるシャープに彫りこまれたカットがぐるりと1周ある。

ボディ全体に施されたつや消し状のヘアライン加工の中でこのダイヤモンドカットがひときわ引き立って見えてくる。見る角度によってはキラキラと落ちついた輝きを見せてくれる。個人的には、全面がキラキラしているよりも、こうしたちょっとした輝きのほうが奥ゆかしくて好きだ。このカットは見た目だけでなく、程よいグリップの助けにもなってくれている。

トンボ鉛筆 Zoom2000

■ 重厚なアルミボディ

そのカットを注意深く見てみると、かなり深くまで掘り込まれているのに気づく。その深さからも、胴軸に使われたアルミがいかに厚いかが推測できる。アルミを使ったペンの多くは、その厚みが0.4mm程度であるのに対して、Zoom2000では、なんとその約5倍の2.12mmもある。

トンボ鉛筆 Zoom2000

こんなにふんだんにアルミを使っていても、決して重過ぎるということはない。かと言って、軽すぎるわけでもなく、筆記するのに程よい重量感となっている。Zoom2000には、水性ボールペンと油性ボールペンの2種類がある。

外観上の違いはほとんどない。ほんのわずかだが、油性ボールペンの方が胴軸が長めになっている程度だ。水性ボールを手にしたつもりが、油性ボールだったなんてことがあるくらい、ぱっと見ただけでは見分けがつきにくい。

トンボ鉛筆 Zoom2000
【左:水性ボール、右:油性ボール】
水性ボールペンはキャップをはずして使い、油性ボールペンはツイスト式になっている。

トンボ鉛筆 Zoom2000

■ 筆記音を楽しむ

水性ボールペンには、面白い愉しみ方がある。それは、音を愉しむということ。ペンの音を愉しむ?と怪訝に思われる方もいるかも知れないが、静かな中で、Zoom2000のペン先を走らせていると、シャリシャリという、ちょっと金属っぽい独特な音を奏でる。筆記音とでも言おうか、その音はとても心地よく耳に響いてくる。万年筆が筆記音を奏でるのは良く知られているが、こうした水性ボールペンではあまり聞いたことがない。

Zoom2000には、もうひとつの愉しむべき音がある。それは、キャップを閉めた時の音だ。「カチッ」という小気味よい音がする。上質なアルミのキャップと胴軸が織り成すその音は、、シャリシャリと書いて、書き終わったことを示す合図のようにひとつの節目となってくれる。

ペンは書くだけでなく、音という点においても、愉しめるということをZoom2000は気づかせてくれる。油性ボールペンは、キャップ式ではなく、クリップのついているトップ部分をツイストすることで、ペン先は出てくる仕組みとなっている。

先ほどの水性ボールペンのように、筆記音やキャップを閉める音というものはしないが、その代わりに、ツイストをさせるとかすかにシャリというアルミらしい音がする。ワンアクションで筆記できる機動性のあるペンなので、手帳への筆記といった、すぐに筆記する場面には、活躍してくれそうだ。

実は、この油性ボールペンは、つい先ごろまではあまり見かけることがなかった。聞くところによると、2000年の欧米での発売当初油性ボールペンが良く売れ、日本で発売することにはかなり品薄だったらしい。だが、先ごろ、この油性ボールペンの販売も再びはじまったようだ。

トンボ鉛筆 Zoom2000

アルミが使われているからといって、車やバイクのように速さをもとめるのではなく、むしろ、ペンが奏でる音もじっくりと愉しみながらゆったりとこのZoom2000を使ってみたいものだ。

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