文具で楽しいひととき
ATOMA
PPカバーノートA5
ノートブックとは、紙を本のように綴じたもの。その紙をノートから破ったりして取り出すことは出来ても元に戻すことはふつうできない。今回ご紹介するATOMA COPY-NOTEは紙を破くことなく紙をとったり、戻したりが自由にできる優れもの。見た目はごく普通のノートだけれども、機能的に言えばバインダーに近いかもしれない。でも商品名にノートとあるからノートなのだろう。ATOMA社は1948年創業のベルギーの老舗ノートメーカー。
■ ちょっと違うリング綴じ
私が所有しているノートはA5サイズの5mm方眼。ブルースケルトンの表紙がとても爽やかだ。一見何の変哲もないリングノートという感じだが、その奥には、紙を破かずに抜き差しできるという面白い仕組みが隠されている。
まず、紙とノートを結合する役目のリング部分を見てみると、なんだかおかしな感じがする。リングのように見えていたが、真ん中に穴がなく、ふさがれた状態になっていた。しかも、しかもである。そのひとつひとつのリングがつながっておらず、独立している。
普通のリングノートといえば、紙に穴があいていて、その穴にリングを通して綴じてあるものだ。だが、このノートのリングには穴がない。気になって、上から下からとあらゆる角度から詳細に観察をしてみた。リングではなく、紙の方に仕掛があった。紙には、丸い穴はなく、その代わりにT字状の切り込みがあった。
つまり、紙の切り込みとリング状の円盤がうまい具合にかみ合ってノートのように綴じられているという訳だ。ちょっと仮綴じのような感じもするが、ページをめくったりしてもほとんど違和感は感じることはない。
■ ペラペラと引きはがせばいい
では、本題のどうやって紙を抜き差しするかというと、抜き取りたいページを開き、その紙の上側をつまんで下にペラペラとはがしていけばいい。紙は破けることなく面白いようペラペラとに外れていく。
はずした紙を元に戻すには、もどしたいページにセットして、各リングの両端を指で軽く押し込んであげればいい。プチプチっと小気味いい音をたてながら気持ちよく収まっていく。
ATOMAのノートには紙重量90g/平方mとかなり厚めの紙が使われている。厚めの紙で有名なロディアのブロックメモが80g/平方mなのでさらに、その上を行くことになる。これは、おそらく紙を抜き差ししても、そう簡単には破けないようにするためだろう。
試しに、同じ紙で10回連続で抜き差しをやってみたが、紙は破れることはなかった。やはり頑丈だ。ATOMA社ではこの抜き差し方式を「ATOMAバインディングシステム」と呼んでいる。リングを開け閉めせずに、紙の抜き差しが手軽に出来るのは確かに便利だと思う。
紙質としては、ちょっと表面にざらつきを感じるがさすが90g/平方mと厚めなので万年筆で書いても裏写りはほとんどなかった。
表紙の反対側を見てみると、面白い標記があった。ページ数、サイズ、紙重量などがビジュアルを使ってうまく表現されている。144枚、A5サイズ、紙重量90g/平方mが言語という壁を超えて一目瞭然で分かる。思わず関心してしまった。
私は、このATOMAのノートを昨年の夏休みにイタリアに行った際に町の文房具屋さんで購入した。調べた限りでは残念ながら、日本ではまだ発売されていないようだ。手元のノートはもう少しで使い終わってしまう。日本での発売が待たれるところだ。
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