文具で楽しいひととき
三菱鉛筆
ビジョンエリート
以前、海外で日本製の輸出仕様のペンをしこたま買ってきたことをご紹介したが、実を言うと、お恥ずかしい話、そうして買ってきたペンのうち日本ですでに売っているのもいくつかあったんです。海外の文具店ということで、有頂天になりやっぱり輸出仕様はデザインがいいな~なんて思っていた。灯台もと暗しとはこのことで、海外で売っている=輸出仕様と早合点してしまった。
今回はそうした日本でも買えるペンをわざわざ海外で買ってきた中の1つ、三菱鉛筆さんのビジョンエリートのご紹介です。
でも、このペン、実は発売当時、海外での発売が先に開始され、その後日本に里帰りした言ってみれば逆輸入文具なんです。当初は輸出仕様ということで、まあ私の判断も全く間違っていた訳ではないと自分のことを励ましながら書きたいと思います。
■ 独特なフォルムのキャップ
まず、なかなかいいデザインだなと感心したのが、キャップのフォルムです。ペンの印象というのは、ペンのトップ(キャップ)とクリップ部分の形状がかなりの部分決めてしまうと思う。モンブランのホワイトスターしかり、パーカーの矢羽根クリップ、ペリカンのクリップなどなど。永い歴史を歩んできたペンは、いずれもデザイン的な特徴をそこに施している。シャツの胸ポケットに刺したときに、特にその存在感があらわになる。
話はもどって、ビジョンエリート。ペントップとクリップに私の目を惹きつけるに十分なものがある。
キャップのトップは、インクの色を示したスケルトンになっている。そのスケルトントップからクリップへと自然な流れのごとくつながっている。
クリップにも細工があり、表面にエンボス状のだ円のくぼみが3つある。クリップの先に行くに従い、そのだ円はだんだんと小さくなる。さらに、そのだ円はキャップ本体にもぐるりと1周付いていて、見ていて、とてもリズミカルな感じがする。シャツの胸ポケットに刺してみると、そうしたデザインポイントが自然に露出され、とてもさまになる。
キャップをはずと、グリップ部分は曇りガラス状になっていて、斜め格子の線が引かれている。これが、強すぎず、弱すぎず程よいグリップを与えてくれる。曇りガラスごしに、毛細管現象が垣間見えたりする。
このペン、使い捨てではなく、ペン先一体型のリフィルになっている。ペン軸の一番後ろまでびっしりとインクが詰め込まれている。まるでしっぽの端まであんこの入っているたいやきのようだ。
ペン軸の両端にはストライプが引かれている。控え目に商品ロゴが入っているが、私はロゴがない方がすっきりして良いように思う。文具に限らず、日本の製品はロゴが主張し過ぎのように感じる。
前述のしっぽの端までインクが入っているので、このストライプもやはり、しっぽの端まで引かれている。このストライプはインクの残量が確認できる窓としての役目もある。
ボディカラーはブラックとホワイトがあり、ブラックが0.5mmで、ホワイトが0.8mmになっている。0.5mmはロディアの1つのマス目にちゃんと1文字がかける細さだ。書き味は太文字の0.8mmの方が多少滑らかな印象だ。
■ 飛行機の気圧変化にも対応
水性顔料ということで、紙へのにじみが気になったがロディアの紙にペン先を数秒置いてみたが、水性ペンによくあるじわーっとにじむことはなく、裏写りもなかった。なかなか優秀だ。
こだわったのはデザインだけではありませんとばかりに、日本メーカーならではの機能面での面白い仕組みがある。エアープレーンセーフ。直訳すれば「飛行機で安全」という意味。なにが、安全かと言えば、このペンを持っていれば飛行機でも安全といこではなく、飛行機など、空気圧の急激な変化があってもインク漏れがないということ。確かに、飛行機の中での気圧の変化は想像以上のものがある。
頻繁に飛行機に乗る方には助かる機能かもしれない。私が毎日乗っているJR京浜東北線ではその機能は活かしきれないのが残念でならない。
海外で一旗あげて、里帰りしたペン。世界基準を満たしたペンといえるかもしれない。
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