文具で楽しいひととき
国際 文具・紙製品展レポート
■ 幸せな紙のかたまり 紙のミルフィーユ
紙を糊で何枚も貼り合わせていく合紙(ごうし)。
この大きなメモブロックの表紙はその合紙で出来ている。使われているのはタントという紙。そこそこハリのある紙だが単体ではそれほどの強度があるわけではない。これは、その紙を17枚特殊な糊で貼り合わせている。
できあがったものは、紙というよりもはや板のような堅さある。詳しくは教えてもらえなかったが、どうやら糊が特殊なものらしい。その表紙に挟まれるように350枚の紙が綴じ込まれている。小口を手で触ると一切の段差もなく、フラットそのもの。
メモブロックの中の紙は糊だけで綴じられて上に寒冷紗を貼っているだけ。中の紙はピリッとキレイに切り取ることができる。タップリとした大きさがあるので、メモというよりもアイデアなどを書くのによさそうだ。
* Noteblock 1,800円+tax
■ 変身具合が面白いパンチ LIHIT LAB.
「コンパクトパンチ」という2穴パンチ。
パンチらしからぬうすさ、そして長さだ。上の部分を少々強めに押し込むとガチャッという音とともに瞬時に2穴パンチに変身する。
まるでロボットの変身のようで、子供が手を上げてよろこびそうな文具だ。コピー用紙5枚に穴を開けられる。
*コンパクトパンチ 1,500円+tax
そのすぐ隣にあったのが「プチとじ」という書類綴じ機。
ゼムクリップでとめた書類はさぁページをめくろうとすると、クリップが外れてしまうことがある。一方、大きなクリップだとクリップが邪魔をして見にくくなる。これは、その点を解決してくれるという。綴じたい書類にまず、この「プチとじ」で角に穴を1つあける。
その穴に、付属のクリップをセットしてパチリと重ねあわせる。
ふたたび「プチとじ」でそのクリップを上下からギュッと抑えこんで、ガッチリと固定させる。
一カ所綴じながらしっかり固定でき、クリップもそれほど厚みがないのでめくりやすい。言葉にこそ出さなかったが、それならホチキスを使えばいいのではないだろうか、、と思った。
その私の心の声が聞こえたのか、専用クリップは全5色あるので書類ごとに色を分けて管理できるとのことだった。
なるほど、それはホチキスではやりにくい。
*「プチとじ」 750円+tax (白のクリップ付き)
専用クリップ 各390円+tax
■ 貼ったままスライドできる付せん マグネティック ノート
日本文具大賞2015 機能部門を受賞し話題になっていた「マグネティック ノート」。
糊なしなのにどこにでも貼れるというユニークな付せんだ。ブースで実物を触らせていただいた。付せんのように束状になっている。
一枚をヒラリと取り出して分かったのだが紙ではなかった。ポリプロピレンだという。噂どおり裏面には糊はなかった。これは静電気を利用して貼り付けられる。ガラス、金属、プラスチックなど表面がツルツルしたものはもちろん、木材やレンガ、コルク、革や布もOKだという。
表面には色がついていて少しザラザラとした質感。こちらの面は、油性ボールペン(マーカー)や鉛筆で書き込める。一方、裏面はツルツルしていて、ホワイトボードマーカーで書け、ふき取って消すこともできる。
同じポリプロピレン製で大きなロール状のやはり静電気でどこでも貼れるホワイトボードがあるが、同社によると表面処理、静電気の技術が違うものだそうだ。今回、私が一番注目したのは、壁などに貼った付せんを自由にスライドして移動できる点だ。
糊状の付せんだと、いちいちはがして貼る必要があったが、これならスムーズに移動できてしまう。アイデア発想によさそうだ。
(透明タイプもあった)
*ウインテック 魔法のふせん magnetic NOTE Sサイズ
■ 紙で色々な気持ちを伝える デザインフィル
ブースの上から「ありがとう」や「おめでとう」、「また会いましょう」など色々なメッセージが吊されている。そのメッセージを伝えるのに相応しい商品がその下に展示されている。たとえば、MD便箋、MD封筒。
ホワイトはMD用紙コットン、クリームにはMD用紙クリームが使われている。MDシリーズらしくたっぷりと余白が設けられている。
余白があることで、ギッシリと書き込まれた文面とはまた違った気持ちが伝えられそうだ。
気が効いているのは便箋を3つ折りしやすいガイドがあるところ。
縦罫タイプの右側の少し上に一カ所だけわずかに罫線が途切れているところがある。
ここを目印に最初に折ると、キレイな3つ折りになる。紙のサイズはオリジナル。これは書き込む文字の大きさから割り出されている。一行に20文字程度書かれるのを想定し、その文面をより美しく見せる余白が設計されている。
*MD便箋 縦罫/横罫 各480円
MD封筒 縦 380円、横 400円
MDコットン便箋 縦/横 各580円
MDコットン封筒 縦 420円、横 440円 *いずれも税別
2015年10月発売。
□ 参考出展として「じゃばら帖 花絵巻」という便箋があった。
広げると5mの蛇腹式便箋になっている。
各折り目にはミシン目も入っているので、好きなところでカットできる。注目したのは、その絵柄。全体を通して日本の四季が描かれている。
それぞれの絵の境目は、ガラリと変わるのではなく、季節が春から夏に次第に変わっていくようにあくまでも自然に移ろいでいく。
□ これは便利だと思った色紙があった。
観音開きの色紙。書き込む時には専用のシールを使う。
色紙に直接書くと、記入者全員に回すのに結構な時間がかかる。シール式ならシールだけをみんなに配ればいいので時間短縮になる。もし遠方の人がいてもシールだけ送ればいい。そして、そのメッセージをバランスよくレイアウトできる良さもある。
直接色紙に書く場合だと、みんながみんな遠慮して端っこばかりに書いてまん中が変に空いてしまうことがある。シールであれば、貼る時にバランスを整えられる。「シール色紙」は、ミドリが2003年にはじめて発売したものだそうだ。
*箱入り色紙 2,000円+tax
2015年12月発売
□「透け紙」というユニークなアイテム。
うっすらとではあるが、ところどころが透けている。
もともとの紙は包装紙でそこに特殊な加工をすることで、このくもりガラスのような独特な透け感を作り出している。
お菓子など、ちょっとしたものを包むのに使えそうだ。
*透け紙 6柄 各10枚入り 各柄380円+tax
2015年9月発売
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