文具で楽しいひととき
展示会レポート
■ 三菱鉛筆が久々に出展
ホール4.0には「クリエイティブ ワールド」という注目のコーナーがある。
クリエイティブとは、なにかを作り上げるという意味だ。「画材コーナー」とは別エリアとして設けられ特徴のあるクリエイティブツールが集まっていた。そのエリアにほど近いところに三菱鉛筆がブースを構えていた。三菱鉛筆と言えばジェットストリームが日本だけでなく、海外でもとても有名だ。
しかし、今回ジェットストリームは全く出展しておらず、「ポスカ」のみの展示となっていた。
「ポスカ」は、水性マーカーなのにプラスチックや木など、どんなものにも書け、色を均一に塗れるというペン。そもそも「ポスカ」は、「ポスターカラー マーカー」というところから来ている。この「ポスカ」、ヨーロッパのアーティストを中心に愛用者が増えている。ただドイツ市場だけは他のヨーロッパの国々に比べ商品の認知度がそれほど高くないということで、ピンポイントで「ポスカ」をドイツ市場に絞って PR していた。
ブースにはドイツ人アーティストが展示会初日から描き始めたというアートが大きく展示されていた。
また、ブースの奥にはミュージアムのようなところがあり、そこには様々なデザイナーが「ポスカ」で描いた作品も展示されていた。
■ カール事務器がデジアナ文具を発表
もはやペーパーワールドでは常連となっているカール事務器。パンチや鉛筆削りといった、同社の定番アイテムの中に全く新しいものが展示されていた。その名も「スマデポ」。
日本でもすでにリリースされてるのでご存じの方も多いと思う。商品としてはカール社が以前から展開している名刺収納ボックスがベースになっている。ただ、今回のものはそれだけではない。ボックスの上に2つのスタンドが作られている。手前に少し大きな段差があり、そこには iPhone などのスマホを立てかける。
しっかり固定できるように下にはスポンジ状のシートが敷かれている。その奥には細い溝があり、ここには名刺を一枚差し込んで立てられる。
つまり、手前のスマホで名刺を撮影することができる訳だ。絶妙な距離になっていて、スマホの画面の中央に名刺がちゃんと配置される。
机に名刺を置いて上からスマホを構えると、どうしてもスマホならびに自分の影が名刺に映ってしまう。このように横に撮影することで影の心配がなくなる。カール社では、この名刺取り込み用のアプリまでは開発していない。アプリはユーザー各自でお気に入りにを入れる。
名刺収納ボックスの中には五十音順のインデックスの他に「×」印のインデックスもある。
ここには、まだスマホに取り込んでいない名刺を入れておく。名刺収納ボックスをベースにデジアナ文具を作るというのは、いかにもカール事務器らしくていいと思う。なお、現在、適合確認がとれている機種は、iPhone 4/4S/5、iPod touchの4機種とのこと。
■ アナログとデジタルの融合
日本でも最近見かけるようになったペンブランド、otto hut (オットー・フット)。1920年創業というドイツの老舗ペンブランドだ。1920年と言えばとドイツでバウハウスがスタートした時期にあたる。同社によると、当時からその考えを取り入れシンプルなデザインのペンを作り始めたのだという。今回のフェアでは、ショートサイズの万年筆が発表されていた。
太くて大きなキャップが印象的だ。商品名は「 Deign 05」。「05」とは5つ目にデザインされたという意味が込められている。実はこの otto hutは、1920年にスタートしたが、2006年にオーナーが変わり新たなスタートを切っている。
この「Deign 05」は、その新たなスタートを切ってから5番目のペンということを意味している。ボディは、無駄なものを極限までそぎ落としたシンプルさ。手にすると小さいのにズシリと重い。
ボディには真鍮を使い、表面にはルーティニアムという素材で加工されたマット仕上げのタイプと、色違いとしてプラチナプレートされたタイプもあった。
キャップの反対側にはタッチペンが付いている。
先程のステッドラーでもそうだったが、今回の展示会ではこのタッチペンを取り入れているところが実に多かった。このペンはキャップから尻軸に向かって2段階にわたってガクンガクンと階段状に細くなっている。その先にタッチペンがある。タッチペンのパーツは、どちらかというと、とって付けた感じになりがちだが、このペンではペンの全体的なデザインにしっかりと溶け込んでいる。
キャップをはずすと、中からはスチール製のペン先が現れる。
キャップを外した状態では、あまりにペンが短いのでキャップは尻軸にセットするのがいい。階段状になったところにキャップがスルスルと気持ちよく収まっていく。
セットした姿もなかなか美しい実際に書かせてもらったが、小さいながらも重量感があるので書き心地は快適。このペンは充実したセットで販売される。
カートリッジインクが14本、タッチペンのパーツが2つ、そしてペンケースというセット内容。ちなみに、タッチペンはカートリッジインクを使ってボディの内側からトコロテンのように押してあげると簡単に外れる。
「otto hut」は、ドイツ ホルムハイツに本社ならびに工場がある。この地域は昔から宝飾品の製造で有名な地域。このペンブランドがユニークなのは、全てのペンにシリアル No.が刻印されているところ。限定品ではなく、あくまでも通常のペン全てに番号が付けられている。
品質管理のためかと思って聞いてみたが、そうではなく、世界に一本しかない特別なペンであるということを強調したいのだという。
■ 色々な大きさの封筒が簡単に作れる
アメリカの「We R Memory keepers 」というユニークな社名のブースに面白いツールが展示されていた。
これは封筒が作れるというアイテム。こうしたものはこれまでも日本でも見かけることがあった。ただこれがちょっと違うのは、この一つのツールでたくさんの大きさの封筒が作れてしまうところ。
ブースの女性に頼んで実際に一つ作ってもらった。まず、紙のサイズを確認するところから始める。そのサイズを本体にある照合表と照らし合わせる。
すると、紙を本体にあるメモリのどこに合わせれば良いかがわかる。紙をセットして、本体上にあるパンチのボタンを押して紙をカットする。
次にへらみたいなもので折り目を作る。本体には溝があるので簡単にできる。
これを紙の四辺とも行う。すると、少し封筒らしくなってくる。
次に紙の四つ角もパンチでカットする。こんどは本体の外側で紙をセットしてパンチをしていく。
あとは折り目に合わせて、折りたたんであとは糊で貼れば封筒の出来上がり。
紙の厚さは基本問わず、どんなものでも使えるという。日本でのディストリビューターを現在募集中だそうだ。
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