文具で楽しいひととき
2013 展示会レポート
■ 色々使えるマグネットテープ
このブースでは、カラフルなマグネットテープが展示されていた。シート状のマグネット、そのテープ版ということになる。この点だけ見れば、特に珍しいという訳でもない。この「 magi mags 」がユニークなのは、マグネットテープが手で簡単にスパッとカットできるというところだ。
私もやってみたが、たしかにスパッと楽々切れてしまう。これに使われている磁石は「ラバーマグネット」というもの。一般の「ラバーマグネット」は、とても硬いものだそうだが、今回のものはクニャクニャととても柔らかくなっている。
この加工は同社独自に開発したものだそうだ。色のついた表面がマグネットで、反対側の粘着面は貼って剥がせるようになっている。表面には、光の加減でわずかに見える程度だが、1インチ(2.54cm )ごとに薄い線が付いている。これを使えば、定規なしでも一定の長さにで切れるようになる。
一般的な使い方としては、名刺などの裏に貼って磁石のつく鉄製の壁に貼り付けるという方法。また、壁が鉄でない場合は、壁側にもこの「magi mags」を貼れば磁石同士なので、ピタリと付けられる。
しかし、そもそも磁石には S極と N極がある。磁石をつけると、S極同士、N極同士が反発して上手くつかないことがある。ここも同社の技術力が活かされているところで、テープ同士を真上からくっつけても全く反発せず、気持ちよくピタリとくっつく。
テープを少しずらすと反発する程度だった。このマグネットテープのどこが S極でどこが N極かと聞いてみたが、それは企業秘密ということで教えてくれなかった。テープの幅は19mm で長さが5m。貼って剥がせるので何度も使える所も便利だと思う。
■ PP フォームのファイル
今回の香港インターナショナルステーショナリーフェアには韓国や台湾などパビリオンで出展しているエリアがいくつかあった。その一つ、タイパビリオンで見つけたファイルメーカー。ここでは環境に配慮した素材「PP フォーム」によるファイルが展示されていた。「PP フォーム」とは、PP素材をサンドイッチ状に3層構造にしたもの。
中央に再生された PP があり、その両側を新しい PP ではさみこんでいる。全てを再生 PP で作ると、どうしても色が暗くなりがち。しかし、両側を新しい PP素材にすることで、色鮮やかなものを作ることができる。新しい PP を使っているとはいえ、三層まとめてのリサイクル率は80%を誇るという。
その PPフォームを使ったちょっとユニークなフォルダーがあった。取っ手付きのアコーディオン式フォルダー。
中には7つに仕切られている。
このフォルダーはタイの学生に人気だという。
■ スタンドペンシルケース
韓国パビリオンでユニークな鉛筆ケースを見つけた。収納時はいわゆるごくごく普通の1ダースのケース。
それを広げるとパカッと中央が山折り状態に曲がる。面白いのは広げただけであとは自動でパカッと山折り状態になってしまう。その秘密は裏面にゴムバンドがあり、その力で折れ曲がるようになっている。
山折り状態になることで、鉛筆の先端半分が飛び出して取り出しやすくなる。韓国の大手文具メーカー「MUNHWA社」にすでに採用されているという。収納時はコンパクトなのに広げるとスタンドになるというのは面白い。
■ 香港取材後記
せっかく香港に来たので、展示会取材とは別に街めぐりも楽しんでみた。
向かったのは「QIPS(キップス)」というショップ。「QIPS」はデザインフィルのグループ会社であるエムディーエスによる直営ショップ。香港ではすでに2店舗を展開している。私が行ったのは、香港の繁華街「チムサーチョイ」にある2号店。数々のブランドショップが建ち並ぶ大通りに「ミラマー」という大型のショッピングビルがある。
その二階に「QIPS」はあった。ちなみにこのビルには、ユニクロや無印も入っており、私が訪れたのがちょうど日曜日ということもあって、いずれも大変にぎわいを見せていた。「QIPS」はユニクロの向かい側にある。
一見したところでは文具店という感じはあまりしない。どちらかというとライフスタイル系の雑貨ショップという感じだ。
香港の20代くらいと思われる若者達がひっきりなしに店内に入っていた。中に入ると先ほどの第一印象とはうってかわって本格文具があちこちに並べられているのに気づかされる。
雑貨よりむしろ文具の方の品揃えの方が多い。私の見たところでは文具7割、雑貨3割といったところだろうか。文具はほとんどが日本製のもの。しかも、日本で売られているのと同じパッケージ、つまり日本語が書かれたままの状態でディスプレイされている。
デザインフィルグループということでミドリプロダクトが中心かと思いきや、意外とそうでもなかった。日本の文具メーカを横断して売り場は作られていた。ただ「トラベラーズノート」や「D-CLIPS」あたりはやはり少し大きめなスペースがとられていた。
文具中心の品揃えなのに、ライフスタイル系ショップという印象を受けたのは、そのディスプレイのせいかもしれない。什器の上にフレームの様なものがくみ上げられ、それらもディスプレイとなっており、店舗空間における商品密度がとても高い。
ペンコーナーは雛段状にペンがぎっしりと並んでいる。面白いと思ったのは、ペンスタンドが少しばかり斜めに傾いていたこと。
これもライフスタイル系らしさをかもし出していた。私はここでハイタイドの「PRIME TIMBER 2.0」という2mm芯タイプのシャープペンを買った。
日本で買おう買おうと思いつつまだ手に入れられずにいたので、いいタイミングだった。ちなみに日本では945円が(日本の値札もそのままついていた)香港では99ドル(1,139円相当)という値段だった。日本のダイアリーも売っており、パッケージだけでなく中の紙面も日本語標記のままになっていた。
私たちが海外のダイアリーをちょっと格好いいと思うのとひょっとしたら同じような感覚なのだろうか。
■ 香港の地下鉄
ところ変われば地下鉄も変わる。これは海外を訪れるたびに痛切に感じることだ。いつも香港ではタクシーばかりで移動していたが、今回は地下鉄にチャレンジしてみた。基本は、切符を買って改札を通って電車に乗るという日本でもおなじみのスタイルなのだが、その一つひとつが各国で微妙に違っていて大いにとまどわされる。
まず切符の買い方。券売機には路線図と液晶パネルがある。
日本人なら、そのどちらをタッチするかと言えば、断然液晶パネルの方だろう。私も迷わず液晶をパネルの方をタッチしまくった。しかし、うんともすんともいわない。試しに路線図の方をタッチすると、その駅までの金額が先程の液晶パネルの方に表示された。
路線図にはボタンなどなにもなくただただプラスチックのボードに路線図が印刷されているだけだったので、これがボタンになっているとは思いもしなかった。料金が表示されたので、急いで小銭入れからコインを出してありったけのコインを投入した。すると切符と同時におつりが出てくる。海外では慣れていないと現地のコインがどれがどれだかさっぱりわからないので、
とりあえず私は手持ちのコインを全てを投入してみた。
案の定、私が入れた後にはおつりでジャラジャラと、それこそパチンコで大当たりしたかの様に出てきてしまった。
次に自動改札。ここはまず他の人たちがどうしてるかを見てみようという作戦をとってみた。足早に過ぎ去っていく現地の人たちは、カードをポンと自動改札にタッチして、ディズニーランドの入口にあるような鉄のバーをガチャリと押して入っている。
そうか、あういう風にすればいいんだなと思い、それに習い、まるで香港の人のようにあくまでも自然に券売機で手に入れたカード状の切符をポンとタッチして、バーをガチャリと押し込んでみたが、バーはピクリともせず、通せんぼ状態になってしまった。
見事に香港の人たちの流れを止めてしまった。見かねた若い男性がこうするんだよと言って、タッチするところとは別にカード差し込むところがあってそこに入れてくれた。そうかみんなは定期券か何かでタッチすることができたけど、私のは見た目は同じカード型だがこれは切符なので、違ったのだ。
考えてみれば日本も全く同じじゃないか。
■ 地元のお店で1人で食事
今回の日程では、ほとんどの夕御飯は1人食べるというスケジュールだった。せっかく自由に動けるので、現地の人たちが入るようなお店もチャレンジしてみることにした。ホテルから地下鉄の駅に行くまでの通りには、そうした飲食店がたくさんたち並んでいる。
直感をフルに働かせて意を決してその中のひとつの麺専門店に入ってみた。
覚悟はしていたが、やはり英語は通じず中国語でまくし立てらてられてしまった。運よくメニューに料理の写真があったので、あまり辛そうではないものを選んで、指をさしてひとまずオーダーは成功。
夕方だったのでビールでも飲もうかと思い、オーダーしてみた。さすがに「ビール」という言葉くらいは通じるだろうと思い、「ビア」とお店の人に話してみたが、首をひねるばかりで全く私の言ってることがわからないようだ。
見かねた他のお客さんが中国語でビールを意味する「ピージュ」と通訳してくれた。すると「メイヨウ」といってきた。「メイヨウ」とは「ないよ」という意味だ。言葉のニュアンスだけで十分に伝わってくる。しばらくして日本のラーメンの丼ぶりをさらにもう一回りほど大きくした器で私のオーダーした海鮮風の麺がやってきた。
そのあまりの大きさにビックリした。私は間違って特盛でも注文したのかなと思い、改めて周りを見てると、みんな同じような大きさのどんぶりに顔をうずめ黙々と食べていた。味は私の直感が正しかったようでなかなかおいしいものだった。
スープはうす味なのに、だしみたいなものがしっかりと効いていて存在感がある。
白い麺はお箸で持ち上げると切れてしまうほどやわらかい。しかし、いわゆるのびた麺とも違い、何だか体によさそうなもので作られているの感じた。
40ドル(420円ぐらい。)
■「文具」の看板を見るとついつい入ってしまう
ホテルに戻る道すがらぶらりとホテルのまわりを一周回ってみると「文具公司」の看板が見えた。
いかにも地元の人が日々の文具を買いに来るというタイプの店だ。こういうところには思わぬ掘り出し物があったりする。狭い店内をカニ歩きをしながらつぶさに見ていくと、ありましたありました面白いものが。
ゼブラのボールペン。
シルバーのヘアライン加工がなかなか格好いい。
短いボディは引っ張ると伸ばせるようになっている。ただ伸ばしてもボールペンの芯は出てこない。
試しにノックするとカチっと芯が出てきた。ボディは必要に応じて長くできるというものらしい。日本ではお目にかかったことがないペンだ。25香港ドル。(270円くらい)
■ City Superでショッピング
ハーバーシティというショッピングモールというよりかはもはやこれはひとつの町なのではと思うくらい大きなショッピングセンターに行った。その中にあるCity Superで買ったのがこのトレイ。
「DAY CRAFT」というこのブランドはすでに日本でも手帳が販売されている。おそらくPUだと思うがとてもしなやかな表紙が特徴。そのソフト素材で出来たトレイ。
リバーシブルで使えるようになっている。
■ プレスセンター
今回の香港の展示会場は施設がとても充実していて常設のプレスセンターがあった。日本の展示会場あたりだと控え室の一つをプレスセンターに仕立てるというスタイルが多い。
自由に使えるパソコンが何台も置いてあったり、コーヒーやジュースなども自由に飲めるようになっていた。また、取材に来ているプレスのための個別ポストというものまであったのには驚いた。会期中に主催からの連絡事項や最新のニュースリリースなどがここに入れられていく。撮影した時にはまだ展示会がスタートしたばかりのタイミングだったので香港のグルメマップだけが入っていた。
プレスセンターには大きなiPadみたいなものがあって出展社情報が検索できるようになっていた。
■ パトリックさんと再会
City Superの文具バイヤーであり、私の文具仲間のパトリックさんに久しぶりにお会いした。いろいろと有意義な文具情報交換ができた。まだ詳しくは書けないが、ひょっとすると今年香港のCity Superでのイベントが開催されるかも。。パトリックさんは、この香港インターナショナル ステーショナリー フェアで
「文具アワード」の審査員も務めている。
■ 香港空港で買った本
帰国の際にちょっと時間があったので香港空港をぶらぶらとしていて見つけた本。ハーバードビジネスレビューの「マネジメントTIPS」。
この本はまるでMOLESKINEのような装丁で思わず手にとってしまった。中身は英語なのだが、1ページに1テーマというシンプルな構成なので辞書を片手にがんばって読んでみようと思う。
香港インターナショナル ステーショナリー フェアに関するお問い合わせは
メサゴ・メッセフランクフルト(株)
ご出展のお問合せ:03-3262-8460
ご来場のお問合せ:03-3262-8456
info@japan.messefrankfurt.com
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