文具で楽しいひととき
Maped
レターコーナー
先頃、出版させていただいた「仕事にすぐ効く魔法の文房具」。これを書くにあたって、できるだけ新しいステーショナリーも紹介しようと、そのために都内のステーショナリーショップを幾つも回ってみた。
その数改めて数えてみると、10店。それぞれの店で商品を吟味して、これは面白そう!というものを買っていく。中でも一番たくさんのステーショナリーを買ったのが吉祥寺のサブロさん。当時はまだ新店に移転する前だったので、決して広いとは言えない店内だった。そこに私は、1時間くらいはいたと思う。
それこそ、時計の分針くらいに端から見ると全く動いていないようにすこーしずつ移動して、くまなくすべての商品をチェックした。最終的にサブロさんだけで5,000円くらいは文房具を買ったと思う。
こうして買い集めたものを本の中ですべて紹介する訳ではない。そこはやはり、実際に使ってみて、これは使いやすいというものに絞りこんでいく。つまり、買ってはみたものの残念ながら紹介出来ないというのも実はけっこうある。
今回、ご紹介するものは、そんな紹介出来なかったものの一つ。商品名は、Maped のレターコーナーという。
この商品、私自身初めて見て面白そう、と思ったところまではいいのだが、実際に使ってみようとしても、その使い方がわからない。これが、てんでわからない。。
パッケージにも特に説明書のようなものがなかった。使い方がわからないものを紹介するわけにはいかない。そのレターコーナーは、永遠に私の机の中で眠りにつくことになるところだった。
しかし、ある時とある会で、このレターコーナーのことを話したら、それはこれこれこうやって使うんですよ、と正しい使い方を教えていただいた。途端に白黒写真がカラー写真になるように、このレターコーナーは、魅力的に輝き始めた。
ということで、今回はれて、皆さんにご紹介できるということになったのであります。パッケージは画鋲ケースのようなプラスチックケース。ケースを振るとシャカシャカと中のレターコーナーたちが右へ左へと揺れている音がする。
中からレターコーナーを出してみる。
■ これがとても悩ましい形をしている
当初、私はこの形に怖じ気づいてしまった。それは、片側がかまぼこの断面のようになっており、反対側は、二等辺三角形をしていて、その二辺には、さらに小さな二等辺三角形までついているというもの。
しかも、その子供のほうの二等辺三角形が少しだけ折り曲がったような、なんとも意味深な形をしているのだ。
そして、これが紙くらいに薄い。しかし、材質としてはメタルのようなもので出来ている。メタルとは言っても簡単にクニャクニャと折り曲げられる。
問題はこの使い方。レターコーナーという商品名どおり確かに、本体にはコーナーらしきものはある。当然、私はまず紙の角にそのレターコーナーのコーナーの部分をあててすでに折れ曲がっている所を折り曲げてみた。
一応、紙のコーナーにとまって、レターコーナーらしい状態にはなった。
しかし一つ問題が。それは、ただ折り曲げて固定しただけなので、このレターコーナーは、簡単に外れてしまうということ。
試しに、紙に固定するときに、より力強く、これでもかと、折り曲げてみたが、その努力はむなしく、レターコーナーはいとも簡単に紙からスルスルと外れていってしまう。紙のコーナーにメタルを付けるというのにとても魅力を感じたのだが、こう簡単に外れてしまっては、さすがに失格だ。
冒頭で触れたように、「魔法の文房具」の掲載アイテムから外すことになった。しかし、私のこの固定方法が間違っていた。完全に間違っていたのではなく、もうひと工程が足りなかったのだ。
■ ドッグイヤーの様に折る
先程コーナーに固定している状態からもうひと折りしてあげればよかったのだ。具体的には、紙のコーナーをドッグイアーのように紙もろとも折ってしまう。
こうすると先程まで不安定だったレターコーナーは、引っ張ったってびくともしない頑丈さとなる。仕上がり姿としては、表面は三角形、そして裏側には半円形という状態になる。
では、このレターコーナー、私たちの日々の生活でどのように使っていたらいいだろうか。私の頭に真っ先に思い浮かんだのはスケジュール帳のインデックス。
と言っても、その月のページを開きやすくするためのものではない。というのも、このレターコーナーは付け外しがそんなに簡単ではないので。そこで、スケジュール帳の後半にあるノートページの中で、1年間を通してよく参照するページのインデックスとして使ってみることにした。
インデックスというと、よくあるのが付箋などを貼り付けて目印にするというもの。ページからはみ出していることで、そのページが見つけやすく、同時に開きやすくなる。
しかし、そういう意味で考えてみると、今回のレターコーナーは、はみ出ることなく、むしろ逆でページから引っ込んだ状態となってしまっている。
しかし、実際に使ってみると、この引っ込んだ状態でも、一応インデックスの役割は果たしてくれる。さすがに、とびした付箋のようにとまではいかないが、インデックスとして使えないことはない。
そもそもインデックスはピッタリと揃った中で、違うものを作ることである。その違いさえ、あれば見つけやすくなる。
レターコーナーの引っ込むという差別化は、インデックスとしては、一応成立していることになる。なによりインデックスが付いている姿が美しいというメリットがある。特に、スケジュール帳のように日々持ち歩くものの場合は、その外観の美しさにもしっかりとこだわりたいところだ。
その点、このレターコーナーであれば飛び出すこともなく、目印が引っ込んで、しかもメタルのマークでなかなかカッコいい。もちろん取り外すこともできる。
その場合は、先程の逆の要領で戻してあげればいい。ちなみに、いったん取り付けて外したレターコーナーは、基本的にお役目ご免とした方がよさそうだ。メタルとは言え、とても薄いので、あまり何度も折り曲げをやっていると、じきに切れてしまうことになるので。
インデックス以外にも用途はありそうだ。たとえば、便箋の四つ角すべてをこれでとめて、ちょっと雰囲気の違う手紙にするという使い方。
ある意味、これは、商品名の「レターコーナー」の正しい使い方のような気もする。便箋だけでなく、メモでも同じように使うことができるだろう。また、永久保存しておきたい本のブックマークなんかにもいい。単に、角を折るのとは違い、これは折れ曲がったままで末永く保持されるので、「永久ドッグイアー」のようにもなる。
紙の角が直角にさえなっていれば、ほぼ取り付けることができる。ちなみに、角が丸まっている MOLESKINE で試してみたが、取り付けることが出来た。
ブラックのMOLESKINEのカバーにメタルという組み合わせは、相性的にもとてもしっくりとくるように感じた。というような訳で、お蔵入りとなりつつあったステーショナリーが再び輝き始めた。
と言うか、商品のパッケージに使い方を書いておいていただければいいと思うのだが。。。
■ 悲しい記事作成後記
正しい使い方もわかり、さぁ本格的に色々と使っていこうではないかと思い、再び、吉祥寺サブロさんを訪ね、予備のレターコーナーを買いに行ったところ、このMapedのレターコーナーは日本の輸入元さんが取扱を中止してしまったという。誠に残念。
当面は、今あるものを出来るだけ再利用していくしかなさそうだ。トボトボと家に帰り、すでに折り曲げてしまったものを慎重に元に戻していたところ。うれしいニュースが飛び込んできた。別のメーカーだが、同じようなものがあるという。
早速、入手してみた。イタリアの「Mondial Lus」というメーカーのもの。(315円)
中を開けてみると、やはりごっそりと入っている。その数100個。
Mapedのものと比較してみると、ややざっくりとした作りな印象。ただ、大きさはほぼ同じ。
【左がMaped、そして右がMondial Lusのもの】
実際に、ノートの角に付けてみたが、これはこれで、同じように使えそうだ。
■ さらにわかりました!
この謎多き「レタークリップ」。先日、とある方から新たな使い方をお教えいただきました。それはクリップとして。数枚の書類を綴じることもできるのです。やり方は、こんな感じ。数枚の書類を用意しまして、その角に、レタークリップで綴じます。
このとき、完全に折り込んでしまいます。
こうすると、まるでホチキスで留めたかのようにがっちりと綴じられる訳です。
ホチキスと違ってはずしても書類に穴など開きません。ただし、折り目は付いてしまいますけどね。なるほど、こういう使い方もあったのかと感心していましたが、よくよく商品名を見てみれば「レタークリップ」とあるではないですか。
このクリップとして使うのがそもそもの用途だったのかもしれません。。。。
Mondial Lusのレタークリップ
違うブランドですが、こういうのもあります。
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