文具で楽しいひととき
ISOT2009
国際 文具・紙製品展レポート
■ カモ井加工紙
今や、雑貨店だけでなく多くの文具店でも見かけるようになったマスキングテープ。ブースでは来場者に色とりどりのマスキングテープを体感してもらえるデモスペースが設けられていた。
【これはカットする前の原反状のマスキングテープ】
と、そこに気になるものを発見。これはマスキングテープ用のディスペンサーだ。
まだ参考出品ということだそうだ。これが面白いのは本体にマグネットが仕込まれており、ディスペンサーをいくつも連結して使えるところ。横に置いたり縦にしたりと、いろいろなスタイルで楽しめる。マスキングテープ ヘビーユーザーの方はきっと欲しくなるアイテムだと思う。
■ PCM竹尾
紙のスペシャリストが作ったこだわりノート「ドレスコ」。
その「ドレスコ」の新作が、1アイテム展示されていた。これまでのシリーズよりも一回り大きい。イメージとしてはB5サイズをやや小ぶりにしたくらいだ。
しっかりとしたしつらえのハードカバーには上質なスーツを思わせる生地で表紙が仕立てられている。「特別なノート」というのが、見た目にもそして手触りからも伝わってくる。
やや光沢感があり、光のあたり具合によっては玉虫のように違った色に変化するのが面白い。そして、中の紙には、「サンバレーオニオンスキン」という紙がたっぷりと綴じ込まれている。この紙はこれまでの「ドレスコ」でも展開されていたもので、特にユーザーからの人気が高かったものだそうだ。
オニオンスキンというように、まさに玉ねぎの薄皮のような半透明さ、そしてシャリシャリとした質感がある。紙の表面にはややシワがあり、独特な質感がある紙だ。
半透明ということで、実際に使うには、片面筆記で贅沢に使うのがいいと思う。今回のものには下敷き兼しおりにもなるブックマークバンドが標準で付いている。
これはこだわってあえてそうしたそうだ。というのも、このオニオンスキンは先ほども触れたように半透明になっているので書くときには下敷きを敷いた方が快適に書ける。
そして、フカフカとしたオニオンスキンの紙が400ページというタップリとしたページ数で綴じ込まれているので、表紙をしっかりととめておかないと鞄の中で拡がってしまうので、あえて、ゴムバンドも標準装備したという。カラーバリエーションは「シャイン ふじねず」と「シャイン りきゅう」の2色。いずれも、大人の雰囲気漂うカラーだ。
■ MUCU
その名の通り無垢なデザインのノートや手帳を作っている K-DESIGN WORKS の「MUCU」。今回は、無垢の中でもとっておきの無垢、白をテーマにした新作が展示されていた。その名も「SHIRO MUCU」。
白を基調に、いろいろなタイプのノートシリーズがお披露目されていた。特に、私が気に入ってしまったのはA5サイズのノート。横罫線、方眼、無地の3タイプがある。
それぞれの表紙には、中の紙面がわかるようになっている面白いのは、そうした罫線などが表紙ではなく、あえて裏側から印刷されているところ。外から見ると、うっすらと透けて見えるラインが美しい。
また、ワックス ペーパーの封筒もあった。わら半紙やクラフト紙といった素朴な紙にロウを引くことで、また違った風合いを生み出していた。
ロウ引きされることで、本来の紙よりも色がやや濃くなり、もちろん手触りもロウ引きならではのマットな質感に仕上がっている。
■ カール事務器
おそらく、会社の中には1台はあるであろう紙の裁断機。一般的な裁断機は大きな刀ようなレバーをガシャリと振り下ろして使うものだが、カール事務器の「ディスクカッター」は丸い刃を回転させて切る機構になっている。
その使いやすさをさらに1歩進めたものが新たに発表されていた。
「ディスクカッター」で一番肝心なのは、紙を台の上に乗せ、切り取る時の位置調整だ。これはその線をピタリと決めることができる。その秘密は集光式のペーパーホールド板。
集光式とは板の面で集めた光をエッジの側面で明るくさせるというもの。これにより切り取るラインが容易に確認できる。電源もいらず普通のオフィスの明るさだけで十分使うことができる。
実際に切らせていただいたが、まるでライトを当てているかのように光っていてとてもわかりやすい。そして、スライドを動かして切っている時の感触はこれで果たして切れているのだろうか、というくらいの軽さだった。カッターの刃をミシン目用に交換して使うことも可能。
これは、特に新製品ではないということだったが、印象的なデザインの金庫が目にとまった。
和をデザインステーショナリーに仕立て上げた「文具良道」。そのトレードマークであるひょうたんをかたどったクリップ。
カール事務器は、筆削りやパンチ、そして先程の裁断機のような「切る」ということにこだわった専門メーカーである。その究極のような新製品が展示されていた。「プロスカット CM26+」というものだ。
これはチケットやショップのポイントカードが簡単につくれてしまうというマシーン。使い方は、まずテンプレート化されたデータをもとにパソコンでデザインを作り、手持ちのプリンターでチケット等をプリントアウトしておく。
それをこのマシーンに入れてスイッチを入れるとチケットの形にカットされたものが次々にでてくるというものだ。しかも、ミシン目まで作ってしまう。
その速さ、プリンターで印刷するくらいのスピーディーさ。本体に入れる「スリッタユニッタ」と呼ばれるカートリッジを入れ替えれば、ポイントカードも作ることができる。
これは「切り取る」+「折る」という作業を一挙にに行ってしまう。チケットやポイントカードは、もはや外注に出すという時代ではなくなっていくことだろう。
■ LIHIT LAB.
私の知る限りで文具業界は環境にやさしい、いわゆるエコ文具への取り組みを結構早い段階から行っている。そんなエコに敏感な文具業界らしい、ちょっと面白いエコ文具をLIHIT LABブースで見つけた。「バイオマス ファイル」シリーズ。
これはお米を使ったファイル。お米と言っても食べるためのものではなく、資源米と言われるお米が使われている。「お米でファイル?」と、きっと多くの方が思われることだろう。
その中の一つ、クリアホルダーはその期待を裏切らないカラーに仕上がっている。まさにお米のようなベージュ色をしている。
しかも、何とこれは、鼻を近づけると、香ばしい香りまでしてくるではないか。クリアホルダーらしく、しっかりと半透明仕上げ。表面にはお米の成分の粒々した形まで残っている。そのらしさがいい。
これはプリプロピレンに資源米を10%配合して作ったもの。お米を使ったクリアフォルダは50枚入りで4,500円+Tax。またこの他、お米を使ったとは到底思えないような鮮やかなグリンやブルーといったタイプもあった。
こちらは、かえってお米の配合率が多い14%というからだ驚きだ。
お米は融点(溶けてしまう温度)がポリプロピレンのの180度に対して140度と低い。そのため、製造の過程ですぐに焦げついててしまうという生産上の難しさがあると言う。なかなか面白いエコ文具だ。
■ シヤチハタ
シヤチハタが数年前より展開している「オピニ」というシリーズ。これはシヤチハタの女性スタッフによる働く女性のためのステーショナリー シリーズだ。
その新作で注目したものが「今日からカレンダー」というもの。
リング綴じの細長いウィークリーバーチカル手帳というスタイル。「今日から」ということで日付、曜日そして時間まで自分で自由に書こめるようになっている。
つまり、1月からでなくとも、自分の好きな月から始められる。「月曜日始まり」、「日曜日始まり」といったことも選べるという大変に自由度が高いもの。そして、特に私が気に入ったのが、手帳でありながらデスクカレンダーの様に自立するところ。
私は日頃からスケジュール帳を机の上の書見台にセットしている。自分の机ならそれで立てれば、いいが、出先で仕事するときに立てられず、常々困っていた。手帳が自ら立てばいいのに、と思っていたので、これは便利でいい。
このように、他の手帳も「自立」していって欲しいものだ。
* 今日からカレンダー
■ ニューコン工業
ISOTのすぐ隣で開催されていたオフィス機器展でひときわ大きなブースを構えていたニューコン工業。
業務用の「穴開け機」や、「偽札識別機」など、様々な機器が展示されていた。そんな中で多くの来場者の注目を集めていたのがシールプレス。以前コラムでもご紹介したオリジナルマークを作るものだ。
このシールプレスに、ブラックやゴールドなどの新色が加わっていた。
また、より気軽にシールプレスが楽しめるよう定型の刻印を予めセットした本体も販売されることになった。
例えば、「ありがとう」、「祝」、「寿」、「Thank You」といった刻印が数種類から選べるようになっている。定型マークということで、オリジナルマークタイプよりも安い価格で提供していくという。
そして、それに合わせて使えるゴールドのラベルシールも登場していた。このシールにプレスして、手紙の封印、カード、ラッピングなど幅広く活用できそうだ。
■ スタンテック
こうしたエンボッサーは、徐々に日本市場でも浸透しつつあるようで、他のブースでも見かけた。
スタンプメーカーのシャイニーの日本総代理店をされているスタンテック社のブース。こちらは、刻印部分の両面を樹脂にることで、パーソナル用に徹して、その分コストを抑えたのが特徴。
10月頃から発売ということで、まだ正式な価格は未定とのことだったが、本体が一番コンパクトなものでオリジナル刻印の作成代も含めて8,000円くらいを計画しているという。パーソナル用とは言っても、1~2万回くらいのプレスは十分耐えられるそうだ。
【こちらが、最もコンパクトなタイプ】
また、シャイニーでは、丸いエンボスマークだけでなく、四角いマークも作れるという。
もちろん漢字やオリジナルマークの作成も先ほどの価格の中で対応してくれると言う。シャイニーは、もともと日付スタンプなどを中心としたスタンプの専門メーカー。特にヨーロッパでは、かなりのシェアを誇っている。
こうしたスタンプを作る技術とエンボスを作る技術は実は、ベースとなっているものは同じだという。
ちなみに海外では、町のスタンプショップで、こうしたエンボッサーも普通に売っているのだそうだ。色々なメーカーが出てきてエンボス市場はより盛り上がっていきそうだ。
*関連コラム
「ペーパーワールド・チャイナ2009 レポート」
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