2024.12.03(571)

「瞬記の書き方・はじめ方」

瞬記の書き方

2020年の年末から、書きはじめた瞬記。当初は「瞬記」という名前すらなかった。時はコロナ禍で強制的に家で過ごさなくてはならなくなり、身の回りにあったノート、万年筆、インクでできることは?と考え、それは「書くこと」だと始めたものだった。何を書けばいいのかもよく分からず一文字目を書きはじめた。それが4年経った今も継続している。結論から先に書いてしまうと、瞬記を始めて文具を心の底から「使っている」と実感できるようになった。これは私の文具人生で大きな収穫だった。

瞬記を書いたノート
これまで瞬記を書いてきたノート

■ 瞬記とは?

瞬記の書き方

書こうとしたその瞬間に頭の中にあることを書くだけ。たったそれだけ。あとは何もルールはない。日記のようにその日にあったことを書いてもいいし、書かなくてもいい。全くの自由だ。もしその日にあったことが頭に浮かべば、それを書けばいい。別に時系列が前後したって構わない。そんなぶつ切りのことを書いていいの?と思われるかもしれない。あとで触れるが、それでも読み返してみると意外とすんなりと入ってくるものになっている。

ただ、はじめはなかなか書けない。それは自分の中にある壁のためだ。こんなこと書いて意味あるの?もっとちゃんとしたことを書かなくてはと、つい考えてしまう。私も当初はそう感じて手が止まっていた。これに対しては、読むのは自分だけで誰にも見せないということを自分の中に重りのように据えると、少し楽に書いていけるようになる。

とにかく一文を書いてみる。すると不思議と次の文が頭から引っ張り出されてくる。その繰り返しでいい。私が一番はじめに瞬記を書いたものはこんな風になっている。「pen-info peni-nfo」と試し書きから始まり、そして「夜は寒く、朝はさらに寒く」という気候について書いている。その時の私の頭の中にはそう浮かんだのだろう。こう書けば正解ということはない。全てが正解。

瞬記の書き方

頭に浮かぶといっても何も浮かばないこともあるかもしれない。その時は五感を研ぎ澄ませる。耳を済まして聞こえてくるもの。例えばエアコンの音だったり外で鳴いている鳥の鳴き声、またその時に見えている目の前の万年筆について何かしら感じたら、それをそのまま書けばいい。

■ 瞬記に必要なこと

瞬記道具バッグ
瞬記を書くための万年筆やノートを入れている専用バッグ

1]万年筆
2]ノート
3]書く時間

この3つだけあれば瞬記は始められる。万年筆・ノートはなんでもいい。いま手元にあるものから始める。新しく買う必要はない。むしろ今あるものを使っていくことに私は喜びを感じている。3つの中で大変なのは時間だろう。書く時間を30分なりを確保しなくてはならない。時間があればやろうというのでは他の予定に押し出されてやらずじまいになってしまう。だから朝とか夜とか時間を決めるのがオススメ。私は当初夜に書いていたが、今はお昼ご飯を食べた後にしている。夜だとその日にあったことを書きがちで、一方朝だとその日にこれからやろうとしていることになりがちだった。その中間のお昼はいい意味でニュートラルな内容になってくる気がしている。別にどの時間でもいい。いつも同じ時間に書いていて少しマンネリだなと感じたら、たまには書く時間を変えてみるのも面白いと思う。

■ 書いてみて感じたこと

まずは3〜4ヶ月くらいひたすら続けてみる。そうしたら書いたものを読んでみる。これがとても面白かった。それも特別な出来事よりも、家族との何気無いやりとりなど日常の些細なことが読んでいて面白かった。数ヶ月経つとそんなことあったっけと忘れていることがほとんど。日々というものはこうしたちょっとした日常で形作られているのをつくづく感じた。その時はなんの変哲も無い単調で変化のないことが、あとで読み返してみるとそれがむしろ面白いのだ。つまりふつうとか日常って実は面白いんだ。だからこんなこと書いて意味あるの?ということをむしろ積極的に書くように今はしている。

また、万年筆にも良い面があった。私は当初A5ノートを8ページずつ毎日書いていた。今は減らして4ページ。それでも日々結構な文字を書いている。すると万年筆のペン先が明らかに馴染んでいくことが実感できるようになった。万年筆は書き込むほどに書き味が良くなるのはみんな知っていることだ。でも実際問題としてそんなに書くシーンはこれまでなかったので、そのことをあまり実感できなかった。瞬記で万年筆のペン先の馴染みを結構なハイペースで感じられるようになった。万年筆との距離が確実に縮まった。

瞬記の書き方

瞬記の書き方



同様に買ってみたものの使っていなかったノートを次々に使っていく心地よさにも気づかされた。使うために買ったはずなのに、心のどこかで「もったいない」と思い、つい溜め込んでしまっていた。それを瞬記という筆記シーンで日々活躍させている。次々にそうしたいいノートを使っていける爽快感がある。そもそも文具は使うものだけれでも、ちゃんと使えていなかったなと反省した。

使うと減る。減れば新しいものを買う。このなくなったら買うという当たり前のことも久しぶりだった。すでにたくさん持っているのにまた買うのではなく、使ってなくなったから買うという清々しさがあった。

ビンテージデニム 万年筆インク

瞬記は日々文具を使う機会になり、なくなったら補充するという好循環を私にもたらしてくれた。

瞬記の書き方 万年筆 みすずノート

YouTubeでも瞬記の書き方を紹介しています。

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