pen-info｜Tsuchihashi Tadashi
文具で楽しいひととき
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プラチナ万年筆
＃3776 センチュリー 富士雲景シリーズ 霞
#3776センチュリーをベースに毎回様々なデザイン・カラーのモデルを発表している富士シリーズ。前回から始まった「富士雲景シリーズ」、その2作目が2024年7月1日から発売される。今作は「霞（かすみ）」。今回も土橋視点でこの「霞」を探検してみたいと思う。
■ 富士山のまわりを漂う霞
富士雲景シリーズでは、富士山と雲との美しい景色を切り取ったデザインを表現している。今回の「霞」は雄大な富士山のふもとにかかってる雲の景色がコンセプトだ。こうした富士山と霞は昔から絵にも描かれ、また、着物の柄としても数多く取り入れられている。自然が作り出す霞の姿が美しい文様として抽象化されている。
万年筆は今回もバイカラーになっている。キャップは透明感のあるグリーン。半透明グリーンと言えば、#3776センチュリーのローレルグリーンがあるが、それよりもいくぶん落ち着いた色合いだ。そしてもう半分は無色透明、そこに今回のテーマである霞が作り出されている。
今回はカットというよりも細かな模様といったほうがいいかもしれない。それは手にするとよくよく感じられる。指先を軸の表面にすべらせると、これまでの富士シリーズにはない感触が伝わってくる。細かな線状のエッジの効いたところが指先の指紋にあたる。霞を表現した横に長い模様が色々な幅で、あるところは重なったりしながら自然に配置されている。
■ 新しいカット
これまでの富士シリーズでは、どちらかと言うと大胆なカットが多かったように思う。例えるなら彫刻刀でザクザクと彫ったようなカット。今回のカットも加工法としては切削ではある点は同じだが、様子が少し違う。ルーペで拡大してみると、そのことがよく分かる。細かな円が少しずつ重なりながら並んでいる。それらが軸の表面から少し彫り込まれた中に作り出されている。しかも一つ一つの円は窪んでいるのではなく、円のエッジが立ち上がっている。つまり、横長の楕円状の中に立体的な円がいくつも形作られているのだ。かなり手の込んだ加工である。先ほど指をすべらせたときのあの感触はこのエッジによるものだったのだろう。
肉眼で見た時とルーペで拡大した時とではまた違った景色がある。
■ この霞模様の握り心地
キャップを外してみる。すると首軸のところもキャップと同じ透明感のあるグリーンになっている。これはとても新鮮だ。
握った時に霞模様が指先にかかる。なるほどこれは実用も兼ね備えていると感じられた。一つ一つの霞の細かな円の加工が指紋にとてもフィットしてくる。それは製図シャープペンによくあるローレットグリップを少しだけ思い起こさせる。ただローレットのようにグルリと一周ある訳ではないので、あくまでも優しいタッチとなる。
キャップをささなくても、霞模様はわずかに感じられるが、タップリと味わいたいならキャップを後ろにセットした方がいいだろう。
■ 「富士ノ暁」インク
今回のセットにもオリジナルインクが付属されている。「富士ノ暁（あかつき）」という。蓋を開けてみると紫色をしている。
この紫色がの「霞」モデルに寄り添う変化を見せてくれる。書きたての時は濃い紫をしているが、筆跡が乾いてしばらくするとキラッとグリーンがかって見えるところがある。
夜明けの紫色を帯びた富士の山肌の色から、周囲の木々が次第に照らされ色づくさまがこの「富士ノ暁」で表現されている。
＊
ボディに使われているグリーンはとても落ち着いている色合いなので男性にも女性にも手にしやすい。富士山の周辺には豊かな木々の森がある。景色として富士山を見るとこの緑色が目に入ってくる。今回のグリーンはそれらが表現されている。そこにボディの霞の柄が組み合わせられている。ボディの景色を眺め、そして霞柄は書きながら指先で感じることもできる。
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プラチナ万年筆 ＃3776 センチュリー 富士雲景シリーズ 霞
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