pen-info｜Tsuchihashi Tadashi
文具で楽しいひととき
文具で楽しいひととき
デュラレックス
ピカルディ
我が家では何か飲もうとする時、いつもこれを使っている。水、お茶、ビール、牛乳などなど。フランスのデュラレックス ピカルディというグラスだ。実はこれには思い出がある。私たち夫婦が結婚パーティをした時に、来てくださった方々にプレゼントとして大小2サイズを差し上げたものなのだ。デュラレックスはたしか当時よく読んでいた雑誌「Begin」の記事で知った。買って使ってみるとデザインもいいし、何より使い勝手がいいのできっと喜んでもらえるだろうとウェディングギフトに決めた。我が家のものも含めて200セット以上をまとめ買いをした。以来、定番グラスとして使い続けている。
家で使っているのは200ccと90ccタイプの2サイズ。もっぱら200ccの方をよく使っている。
■ カフェなどで使われる業務用
フランス製とある
当時からプロの現場で使われる「業務用」という言葉に私は弱かった。見るからに頑丈そうな分厚いグラス。それでいて飾らないデザインはどんな生活シーンにも馴染んでくれる。
外側は9面体のざっくりとしたフォルム。握ってみると、これが手の内側に気持ちよくフィットする。指の関節にピタリとこの9面体の角が寄り添う。どう握ろうが9面体のいずれかのエッジが迎えてくれるのだ。とにかく握りやすい。今、この原稿を書くためにデュラレックスをつぶさに見つめて、改めて9面体であることや、それが握りやすいメカニズムを私は意識した。普段ディテールに気にとめることもなく、ふつうに使いやすいグラスだなくらいにしか正直感じていなかった。使い手に余計な気を使わせないさりげなさが、実はいいプロダクトなのだと思う。このグラスにはそれがある。
冷たい飲み物はもちろん、温かいものにも使える。食洗機そして電子レンジにも対応している、まさに業務仕様だ。今手元にあるものは、かれこれ29年も使い続けているものだ。流石にあちこちに細かなこすれた跡がある。でもグラスとしての機能には全く問題はない。むしろ新品にはない味がある。
■ 一度割ってしまったことがある
とても頑丈なグラスだが、一度だけ割ってしまったことがある。洗面所で使っていて、誤って流しの所に落としてしまった。洗面所の流しは陶器製で硬かったためパリンと盛大に割れてしまった。その割れ方がすごかった。ふつうのグラスやコップの割れ方とは全く違って、まさに粉々になってしまった。大きな破片はなく、一つ一つが5mmくらいの細かさだった。その後の掃除が大変だったが、これは特殊なガラスなんだと身をもって実感することができた。
＊
29年という長きにわたり日々使い続けているグラス。そして、リーズナブルプライスであることもいい。そう言えば、結婚式の時に差し上げた親戚や知人の家でも今もふつうに使っているとよく耳にする。この先30年くらいは十分使っていけそうだ。まさに一生ものの普段使いグラスである。
デュラレックス ピカルディ 私がよく使っているのに近いサイズはこれだと思います。
関連コラム
「定番インクを入れたいボトル」 パイロット 70ml ボトルインク
「アーカイブボックスに」 Found MUJI コシャーさんの箱
「デスクに常備するルーペ」 スピーゲル ルーペ
文具コラム ライブラリー
pen-info SHOP