文具で楽しいひととき
カランダッシュ
849 ペンシル 0.7mm
ここ最近「ふつう」のペンを私は欲している。何か際立った特徴があるというよりも、ただただ自然な佇まい、使い心地というペンにとても惹かれる。これまで色々なペンを使ってきたけど、長く愛用し続けているのは、結局のところふつうで自然な佇まいのペンであることが多いということに、改めて気づいた。
ふつう、自然と言葉で言うと、あまり魅力的に感じないかもしれない。しかし、決してそんなことはない。私が感じるその良さは、全体のバランスが整っていること。バランスが整っていることすら感じさせないくらいの自然さがあることが重要。これは簡単なことのようで実はとても難しい。ものとしてのバランスの良さはもちろんのこと、手にした時、書いた時にその使い手とすっかり一体化してしまうということなんだと思う。
このカランダッシュ849 ペンシル 0.7mmには、考え抜かれたふつうさがある。
■ One Bodyという安心感
奥側がすっかり黒ずんでいい味を醸し出しているエクリドール シェブロン 0.7mmペンシル。やはりこちらもOne Body。
カランダッシュ849、そしてエクリドール全般に言えることだが、ボディが一つのパーツで出来ている。一般的なシャープペンで言うと、ボディの中央に接合部があったり、さらに製図シャーペンあたりだとペン先も別バーツになっているものもある。ずっと書き続けていると、いつの間にやらそうした接合部が緩んでいることがごく稀にだがある。書くという行為は、常に細かな振動にさらされているからなのだろう。あと、私は大人になった今でも分解が好きだ。ペンに分解できるところがあると、ついつい分解してみたくなってしまう。しかも一度ならず何度も繰り返してしまう。緩みが生じるのはそうした私の分解癖のせいもありそうだ。この緩みというのは書いていて気持ちがいいものではない。これはボディに接合部がないOne Body。接合部がないことで、ずれたり緩んだりという心配がハナからない。これはとても安心感がある。ペン先の先端の芯を出すパイプは、別パーツとして先端からチョコンと出ているが、ここはボディとガッチリと固定されていて分解できないようになっている。分解できるものだと、ついついバラバラにしたくなるものだが、これはできないので諦めがつく。
別パーツで言うと、ノックボタンもそうだ。これを引き抜いてみて、なるほどと頷いてしまった。ノックボタンパーツを内側から見てみると、結構な厚みがある素材になっている。こうしたシャープペンのノックボタンは、とても薄い素材で作られているものが多い。分厚いと何がいいのか、これはあくまでも個人的な感想になるが、ノックを押すときに指先に感じるタッチがいくぶん良いというのがある。人は薄いものを触れた時、厚いものを触れた時でその違いを感じ分ける力がある。
■ 自然なライティングフィール
私が買ったのはシルバーカラー。先ほどのノックボタン同様、このシルバーボディも指が触れた時の質感に違いがある。ノックボタンのときよりも、その違いはハッキリと分かる。まったりとした指触りになっているのだ。これは多分ボディ表面にたっぷりと塗装を塗り重ねているからなのだろう。さぁ書こうと手にしたときに、どこを握ってもピタッとくる。いかにも握りやすくしましたというラバーやローレットグリップと違い、あくまでも自然でさりげない。
決して長いボディではないが、安定したグリップがある。肉厚ノックボタンに親指を添えてカチカチと押し込んでみる。私は今回0.7mm芯タイプを入手した。
書いてみると、やはりふつうさがある。このふつうさがなんとも心地よい。ボディの軽さも重さも全然気にならないちょうど良いバランス。クリップもボディに沿うようになっているので、書きつつ芯先の偏減りを補正すべくボディをコロコロ回転させる時もほとんど気にならない。ペンに左右されずに書くことだけに集中できる。
パーカージョッターのペンシルの時にも感じたが、ショートボディはノックをする時の持ち替えもスピーディに決まる。ちなみにパーカージョッターとは全長はほぼ同じだった。
*
このカランダッシュ849ペンシルは、以前から気になっていたペンだった。店頭で何度となく手にして買おうかどうしようか数分迷っていたが、結局いつも売り場に戻していた。すでに0.7mmシャープペンは色々と持っていることだし、改めて必要ないかもと思い込んでいた。でも頭の片隅にいつもこのペンの存在が魚の骨のようにずっと引っかかっていた。そしてようやく今回買うことにした。買ってよかったと思っている。同じ0.7mmペンシルでも、これはこれの個性がしっかりある。私は、0.7mmペンシルはノートにアイデアを書いたり、MTGのメモを書いたりスピードライティングをする時に使っている。
0.7mmシャープペンは、ざっとこれくらい所有している
この849のふつうさは、スピードライティングにピッタリである。
カランダッシュ849 0.7mmペンシル 3,000円+Tax
私は「銀座 伊東屋 横浜元町」さんで購入しました。伊東屋さんオンラインストアでも販売されています。
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