文具で楽しいひととき
MIWAX
カッティングマット A4
私は、仕事でカッティングマットを使う。
何に使うかと言うと、商品企画を考える時だ。はじめの段階ではノートにコンセプトやスケッチなどを色々と書いて考えを練っていくが、ある程度考えがまとまったら、モックアップ、つまり立体の模型を作っていくのだ。とは言っても、ごくごく簡単なもの。用意するのは画用紙とテープ、ハサミ、カッター、カッティングマット、ホチキスくらいのものだ。ノートで2次元で考えていた時には、気付きもしなかった問題点がモックアップにすることで、あ〜ここはこうしないといけないのか、よいったことがわかりやすくなる。言わば、立体で考えるということだ。
それから、クライアントに私の商品企画を伝える時も紙のスケッチに加え、その紙のモックアップもお渡しするようにしている。次のステップとして、実際の素材でサンプルを作るという工程がある。紙に書いたスケッチだけで伝えるよりも立体モックアップがある方が間違いなく伝わるという良さもある。という訳で紙モックアップを作る時にカッティングマットの出番となる。最近、そのカッティングマットを新調してみた。
以前、私が作った「フレームマンスリー手帳」カバーの紙モックアップ(左)。そして、それをもとに作っていただいたサンプル(右)。ほぼ同じものに仕上がった。
■ 専門メーカーによるもの
ミワックスというメーカーのものだ。デスクマットやカッティングマットの専門メーカー。私も新入社員の時は、ミワックス社のものか記憶が定かではないが、グリーンの不織布と透明シートがセットになったものを使っていた。その間に席表や内線番号表などを入れて先輩社員の方の名前と顔を必死に覚えていたものだ。当時は、今のようにまだパソコンは一人一台という時代ではなかった。だから机の上には電話、書類立てがあるくらいだった。なので、机に座った時にはそのデスクマットのグリーンが視界に広がっていた。どうしてもそのグリーンが馴染めず、自分で黒い紙を買ってきて、グリーンの不織布の代わりにそれを敷いてシックに使っていた。特に社内でそれいいね、などとは誰からも言われることもなく、ただただ自己満足に浸っていた。
さて、今回私が入手したのは、デスクマットではなくカッティングマットだ。ホワイト以外にブラックもあった。カッティングマットもグリーンやグレーが多い中、こうしたモノトーンはうれしい。ウェブで調べてみるとどうやらミワックスの中でも英語の「MIWAX」はシンプルデザインのものが多い。
私が買ったのはA4サイズ。その上にはA3サイズもあった。余裕を持って切っていくには、A3の方がよいかもと思った。しかし、いかんせん、A3だと机の上で広げにくい。今はデスクにはパソコンが大きく場所を取っている。また、使わない時に置いておくのにも場所が必要となる。
カッティングマットにA4の紙を重ねたところ。上下に5mmずつくらい余裕がある程度。
■ しっかりとした厚み
そして、厚みが結構ある。ビシッとしていてしなることはしなるがそこそこ硬い。シートというよりも、これは薄い直方体の物体といってもいいくらいだ。
メーカーのウェブによると、このカッティングマットは3層構造になっているという。両側には軟質合成樹脂、中央には硬質合成樹脂となっている。硬いものを柔らかいものでサンドイッチしている格好だ。そしてそれぞれの間を熱と圧力をかけることにより樹脂同士が解け合い軟質の融着層が生まれるという。いわゆる接着剤で貼り合わせるのとは違い、しっかりと結合するので反りやはがれにも強くなるそうだ。
実際にカッティングマットを横から見てみると、たしかに3層構造になっているのがわかる
■ さりげなく使いやすい
表面には1cmドットが印刷されている。よくよく見ると5cmごとにそのドットが○になっている。切る時にザッと計るのによさそうだ。そして、表面は手で触れるとサラサラとしているが、ひとたび紙を上からのせて少し押し込むとほどよくピタリと固定される。紙を切る時にずれにくくなっているようだ。ちなみにグイと抑えていた手を軽くすると紙はマットの上でサラサラと動かしやすくなる。
実際にカッターで切ってみる。
カッターの刃が紙を切り、マットに達した感触が手に伝わってくる。タッチは柔らかいが硬質な感触も伝わってくる。切ったあとにカッターの刃先を走らせたところを指でなぞると確かに溝は感じられるが、見ためとしては跡はほとんど確認できないくらいだった。
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紙を切る時、ついついカッターの性能ばかりに目が行きがちになるが、実はその切れ味を支えるという意味でカッティングマットの存在は大きいと、今回よくわかった。そして、専門メーカーならではのこだわりもたっぷりと感じられた。ホワイトは汚れるかもと思ったが、心配するほどでもなかった。文具は道具。使っていく中で汚れるのは当たり前。汚れるのを気にして遠慮していたら文具に操られてしまう。じゃんじゃん使って立体で考えていこうと思う。
* MIWAX カッティングマット A4 1,100円+Tax
* MIWAX 公式サイト
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