文具で楽しいひととき
展示会 RENSA
& ショップ巡り
11月1日〜4日、台湾に文具の仕事で出張に行ってきた。11月ということで日本はすっかり肌寒くなっていた。しっかりセーターを着込んで羽田から飛行に乗り込んだ。台湾は沖縄より南に位置している。以前12月に行った時も、上着を2枚くらい脱がないといけないくらいだった。そうした経験値もあり、現地ではセーター脱ぐ気満々で飛行機を降りたのだが、今回はちょっと様子がちがった。到着した日は雨がしとしと降っていたせいか、それほどの暖かさはなく、むしろ涼しいくらいで日本から着込んでいたセーターはそのまま着続けた。
■ 展示会「RENSA」
今回の出張の目的はいくつかあり、そのひとつが展示会「RENSA」での「すぐログ」「フレームマンスリー手帳」などのプロデュース商品のPR。台湾をはじめとするアジアエリアで私のプロデュース商品の販売を担ってくださっている moments社。そのmoments主催の台湾で初となる展示会「RENSA」が開催された。「RENSA」とは「連鎖」反応を生み出すという想いが込められている。展示会場にはmomentsが扱う様々なステーショナリーやライフスタイルアイテムが所狭しと並んだ。会場となったのは、松山文創園区。ここはその昔タバコ工場だったという。その古い佇まいの建物をほぼそのまま活かして、中には今回のようなイベントスペースやショップ・カフェ・会員制図書館などが入っている。台湾には、こうした古い建物を必要以上に新しくせず、そのままを活かしてカフェやショップを展開しているところが多い。台湾ならではのセンスをいつも感じる。
展示会には台湾各地のショップの方々が多数来場されていた。また、せっかくの機会ということで一般のユーザーの方々にも開放し日本の最新ステーショナリーなどを直に見ていただいた。
展示会場にあったパネルで、自分と記念撮影。。
松山文創園区には、こうしたセンスのよいショップも入っている
■ トークイベント
展示会と併催でトークイベントも行われた。台湾文具界を牽引する一人、タイガー・シェンさん、今回のイベントの主催社であるmoments の三澤さん、そして私の3人で行われた。それぞれの文具への向きあい方や愛用文具への想いなどを語りあった。トークイベントには70名ほどの方々にお集まりいただき盛り上がった。トークの時には私の鉄板ネタである、手帳を買ったら向こう一年間の予定をそれこそATMに行く日、髪を切りに行く日、スキャンをする日などを書き込むというお話をした。台湾の皆様の反応も日本と同じく、最初はそこまでやるのか〜という驚きの表情が次第に半ば呆れた表情に変化し、しまいにはサーッと潮が引くような状態となった。
トークイベント後にサインもさせていただいた
トークイベントの会場となったのは、松山文創園区の中に入っている会員制の図書館「Not just library」
デザイン系の書籍が多かった
■ Plain stationery
文具を買うのも私にとっての大切な仕事。せっかく台湾に来たので台湾ドルをほどほどに入れた財布を握りしめ、いくつかのショップも巡ってきた。まずは、トークイベントでもご一緒したタイガーさんのショップ「Plain stationery Homeware & Cafe」(2号店)。すでに何度も足を運んでいるのに、今回も色々と買ってしまった。タイガーさんとは文具の基本的な趣味がとても似ているので、あれもこれもと気になってしまう。
短くなった鉛筆で作られたリース。そのすぐ下に試し書きの鉛筆があった。おそらく短くなったそれらの鉛筆で作ったのだろう。素敵なアイデアだ。
カフェスペースも併設されている。コーヒーだけでなくクラフトビールもある。
Plain stationeryさんで買ったもの
中でも注目したのはエンドがメタルになっている素敵な鉛筆
■ Tools to Liveby
そして、こちらも台湾では外せないショップ「Tools to Liveby」。ちょうどオーナーのカレンさんがいらした。みずからステーショナリーのディスプレイを行っていた。まったく隙のないこのTools to Livebyワールドはカレンさん自らが作りあげているのだろう。お互いの近況報告などをしあい(片言の英語で。。)、そうそうと言って、オススメのアイテムを紹介してくださった。それが、「TRY-REX」という鉛筆。そのクラシカルな雰囲気からてっきりアンティークかと思ったら違うということだった。この鉛筆はれっきとした新品で、古くから続く鉛筆メーカーで古い機械、そして古くから働いている職人さんにより作られているのだという。言わば、作り手側がある意味アンティークということのようだ。一般の鉛筆より少し太めで緩やかな三角軸となっていた。
TRY-REXの鉛筆とMerchant & Millsの裏表でインチとセンチが計れるメジャー
インチはまず使わないが、そのデザイン性に惹かれて購入
すでにいくつも持っているTools to Livebyのトートバッグ。新デザインということでまた買ってしまった。
■ 明進文房具
今回、はじめて訪ねたショップ「明進文房具」。ちょうど今回の展示会にオーナーが来場くださっていて、momentsの方にご紹介いただいた。「明進文房具」さんという名前、どこかで見たことがあると思って、記憶をたぐりよせると、そうだと思い出した。私の台湾翻訳本「文具的品格(日本語では「文具の流儀」)の帯に推薦文を書いてくださっていたのだ。オーナーの方にそのお礼をお伝えして、展示会後にショップをぜひ訪ねさせていただきますと、約束をした。台湾のショップは結構遅い時間まで開いているのがうれしい。タクシーに乗って運転手さんに住所を伝えると、お店の真ん前まで連れていってくれた。最近のカーナビは、目的の周辺につくと、あとは自分で探してくださいと、突き放されてしまうが、台湾のタクシーはとても親切だ。
店内には、日本文具の割合がとても高い。特にMDノートの品揃えが豊富。それ以外にもライフやコクヨの商品など、オーナーがちゃんと使ってみて、これはいいと思ったものが厳選されているという空気感がヒシヒシと伝わってきた。結構遅い時間だったが、ひっきりなしにお客さんも入ってきていた。
日本では見かけたことのないステッドラーのボールペン。手帳を開いたスタイルのディスプレイもユニークだ。
とっても小さなスタンプ。アルファベットの他マークも色々とあった。
カランダッシュの太軸グレー色鉛筆。「時計式ToDo管理ふせん」の終わったToDoを消し込み用に。
■ 誠品書店
台湾に40店舗ほど展開している誠品書店。今回はまだ訪ねたことのないお店を回ってみた。まず行ったのが、信義店。台北のランドマーク「台北101」のすぐ近くにあり、ビジネス街の中にある。広々とした売り場には筆記具やノート、カードなどがズラリと並んでいる。驚いたのは、手帳コーナーには日本の様々のメーカーの手帳が並んでいたことだった。台湾での日本手帳人気は、いよいよ安定的なものになっているのを感じた。売り場を回っていたら、店員さんが近寄ってきて、なにやら話しかけてくださった。見ると私の本(台湾で翻訳されたもの)を手に、本と私を交互に指さして話している。どうやら私のことを知っていてくださったようだ。他のスタッフの方も何人か集まって、即席のサイン会となり、みなさんで記念撮影をした。
ここでも私はしっかりと買い物をした(店員さんに声をかけられる前に)。すると、その店員さんが先ほど買った文具はなんですかと聞いてきた。私が最近愛用している、ぺんてるのシャープペン「P207」と「P209」だと説明すると、ふむふむと頷いていた。
真ん中の白いシャープペンは誠品生活松山店のテナントショップで買った「TWSBI」のシャープペン。「TWSBI」というと万年筆のイメージがあるが、シャープペンもあったのだ。
誠品書店とトンボ鉛筆のコラボ鉛筆
新しくオープンした誠品書店南西店にも行ってみた。商業施設の中に入っているが、とても広々とした素敵な空間だった。文具売り場を見ていると、レジに見かけたことがある人がいた。以前、トークイベントでご一緒した誠品書店の李時慶さんだった。李さんも私のことを覚えてくださったようで、レジを他のスタッフの方に任せて私の方へにこやかに近寄ってこられた。すると途中でアッ!あれを忘れたという感じでクルリと振り返ってレジに戻って、引き出しから携帯端末のようなものを手にしてこられた。やーやーどうもと挨拶を交わしたはいいが、お互いに言葉が通じない。そこで李さんが先ほどの端末を口元に寄せてなにやら話しをされる。しばらくすると液晶画面に翻訳された日本語が表示された。これは翻訳機だったのだ。私もそれをお借りして日本語で話すとそれが台湾語になった。しばし翻訳機を介して話しを楽しんだ。
誠品書店 南西店で販売されていた「すぐログ」。「霊感補足用」という言葉が妙にしっくりとくる。
誠品書店 信義店では、「すぐログ」がフルラインナップ!
■ TSUTAYA BOOKSTORE WIRED TOKYO 松山店
今回の台湾滞在中にFacebookで台湾に来ていると投稿したところ、台湾に駐在している知人からコンタクトがあった。その方は、TSUTAYAに勤めていている。TSUTAYAは台湾ですでにいくつかの店舗を展開している。その中でオススメだという松山店に行ってみた。偶然、その知人がお店に来ていて、じきじきに店内をご案内いただいた。ビルの1階2階を使いTSUTAYAならではの世界観を作り出していた。どことなく東京の六本木店を感じさせる上質な空間だった。1階が本、文具売り場、そして2階は本の売り場と奥に落ちついたカフェスペースがあった。
「質感文具」という言葉にグッときた
伊東屋の「ロメオ」ボールペンなどもあった
2階へとあがる階段のかべには天井までずらりと本が美しく並んでいた。台湾のインスタスポットになっているという。
2階の奥にはゆったりと寛げるカフェスペースがある
■ 出張後記
ホテルには朝食が付いていなかったので、毎朝町に繰り出した
市場のような通りを進んで、しばらく行ったところの路地にあったお店で食べたそば。メニューは台湾語だけでよくわからなかった。こうした時のマイルールはメニューの一番最初に書かれたものを頼む。それがその店のオススメであることが多い。そして出てきたのがこちら。麺とワンタンが透明なスープの中にある。実においしかった。
みなさんと囲んで食べた台湾の鍋。仕切りがあって奥が辛いスープ。
今回ご一緒いただいたmoments、そしてハイタイドの皆さん、朝待ち合わせ場所で、まずどこにいく?と相談しているところ
今回は台湾空港でプリペイドSIMカードを購入してiPhoneに入れて使った。アクティベーションもしてくれるので楽です。3日間タイプで300台湾ドル(当時レートでおよそ1,080円。安い!)
トークイベントが無事終わり、タイガーさん、moments、ハイタイドの皆さん、そしてダイゴーの栗原さんとともに。台湾初のイベントが無事成功し、皆さんホッとした表情をしている。
関連コラム
「誠品生活蘇州レポート」好玩文具展で講演
「台湾で出会った文房具 2017年」
「台湾文具ショップ探訪 2016」TOOLS to LIVEBY など
「MEMO」にもSHOPレポートはあります。
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