2018.03.20(402)

「キャップ式多機能ペン」

トンボ鉛筆

ZOOM505 多機能ペン

トンボ鉛筆 ZOOM505 多機能ペン

日本のボールペン売り場をグルリと見回すと、ノック式のものが多い。片手でノックすればすぐに書き出せるという便利さが日本では人気なのだろう。それが、ここ数年キャップ式もいいじゃないかという流れも出始めている。たとえば、ぺんてるの「ケリー」が再び人気を集めている。50年近く前のシャープペンで、これは「万年CIL」とも呼ばれ万年筆のように持ち運べ、キャップを外して書くというコンセプトだったという。

文具の楽しさを掘り下げていく先には「ひと手間をかける」ということが待ち構えている。鉛筆なら削る、万年筆ならインクを入れる、そしてこのキャップを外すということなど。利便性とはまた違った楽しさがそこには広がっている。そうした「ひと手間をかける」が楽しめる多機能ペンが発売された。トンボ鉛筆のZOOM505 多機能ペンだ。これはキャップ式の多機能ペンである。

トンボ鉛筆 ZOOM505 多機能ペン

■ キャップを外すとペン先がない

トンボ鉛筆 ZOOM505 多機能ペン

トンボのZOOMシリーズの第1号モデル「505」。万年筆を思わせるドッシリとした太さが特長だ。これまでシャープペン、油性ボールペン、水性ボールペンといった単機能ペンのラインナップだった。今回の多機能タイプもそれらと同じ太さ、そしてフォルムをしている。だから外観からは多機能っぽさがあまり感じられない。多機能ペンというと、ボディが太くなりがちなのだけど、そこを色々と工夫して細くしました、という具合にそれと見えないようにする傾向があるように思う。しかし、これはそうしたことをハナからから考えていないというキッパリとした太さがあり、それもかえって多機能っぽくない雰囲気をより醸し出しているようだ。

キャップを外してみる。するとペン先が出ていない姿が現れる。これにはちょっと驚かされる。多機能ペンはペン先が出ていないというのは、ふつうのことだ。その意味では、それほど驚く必要もない。でも、キャップを外すという行為の先にある「ペン先がない」というのを目の当たりにするのは、これまでにない経験だ。あれ?リフィルを入れ忘れているのでは。。しかしこれでいいのである。

トンボ鉛筆 ZOOM505 多機能ペン

ラバー部分とアルミボディの境目を中心にツイストするとカクカクと黒・赤のボールペン、そして0.5mmシャープペンが繰り出される。シャープペンを選び、後のノックボタンを押すとカチカチと芯が出て来る。ZOOM505はキャップを外したままでも十分な長さがあるので、このままでも書いていける。505らしさを味わうにはキャップを後にセットするといい。この状態でもペンの切り替え並びにシャープペンのノックもできる。

トンボ鉛筆 ZOOM505 多機能ペン

トンボ鉛筆 ZOOM505 多機能ペン

トンボ鉛筆 ZOOM505 多機能ペン

このキャップを後にセットして片手でペンを切り替えようとすると、セットしたキャップがクルクルと空回りしてしまう。片手でツイストするには、少しばかり下側を握ってメインボディをツイストさせる必要がある。ここは「ひと手間をかけて」両手でカクカクとツイストさせるのがよさそうだ。

トンボ鉛筆 ZOOM505 多機能ペンペン単体だとペンの切り替えのためのツイストはスムーズ

トンボ鉛筆 ZOOM505 多機能ペンキャップを後にセットした状態でこのようにツイストすると、キャップがクルクル空回りしてしまう

■ バランスのとれたライティング フィール

ZOOM505は太いボディのわりにすんなりと握れる。それは軽量なアルミボディのおかげだと思う。しかも低重心バランスがとれている。メインボディだけだと重心はちょうどラバーとアルミの境界線にあり、キャップを後にセットした時は、全長のちょうど真ん中にくる。ラバーグリップを握り、さぁ書こうとするとペン先が自然と下を向き書き出しやすくなる。ボールペンは油性。今やすっかり市民権を得ているなめらか油性ボールペンとは違う少々まったりとした書き味はどこか懐かしさがある。

トンボ鉛筆 ZOOM505 多機能ペン

トンボ鉛筆 ZOOM505 多機能ペン

トンボ鉛筆 ZOOM505 多機能ペングリップはわずかに弓なり状になってしっかりと握ることができる

トンボ鉛筆 ZOOM505 多機能ペン

トンボ鉛筆 ZOOM505 多機能ペン



ペン先を収納できる今回のZOOM505 多機能ペン。すぐに書き出せるようにしたいなら、はじめからキャップを後にセットしておくとよい。そうすれば、一般的な多機能ぺんのようにツイストするだけで書き出せる。少しゆったりと楽しみたいなら、よく使うペンをあらかじめ操出したままキャップを締めておく。最高にゆったりと楽しむならペン先を繰り出さずにキャップも締めておく。これならキャップを外して、さらにツイストする「ふた手間」が楽しめる。スピードライティング、スローライティングまで色々なモードが楽しめるという意味でも多機能なペンである。

トンボ鉛筆 ZOOM505 多機能ペン

トンボ鉛筆 ZOOM505 多機能ペン

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