■ 「机をわしづかみして、放さない」 住友スリーエム <ポスト・イット>ポップアップノート デスクグリップ ディスペンサー
□ちょっと前のことになるが、取材でギフトショーに行った時のこと。
住友スリーエムブースがあり、
何か新しい商品はないだろうかと、いろいろと見て回っていた。
と、そこに
これまで見たことない鮮やかなパッケージの<ポスト・イット>ノートが目にとまった。
人は何か新しいものを目にすると、思わず手にしたくなるものである。
私は吸い寄せられるようにその商品のところまで近づき、
それを手にして持ち上げてみようとした。
しかし、しかしである。
その商品は、なぜだか持ち上がらない。
そうか、これは
よく展示会で新製品を出展するとき盗難されてはいけないと
出展社側で両面テープ等でしっかりと固定することがあるが、
きっと、これもそういうことなのだろう。
何かまんまと罠にはめられてしまった気分になってくる。
念のため、もう一度だけ持ち上げようとしてみる。
ほんの数ミリほどは持ち上がるものの
それ以上はびくともしない。
私がその商品を持ち上げようと苦心しているタイミングで
いつもご対応いただいている住友スリーエムの担当の方がやってきて
目と目が合ってしまった。
私は、
いたずらしているところを見つけられてしまったような気まずさを感じた。
そして何事もなかったかのように、やぁやぁどうもと挨拶をした。
「この商品面白いでしょ。実はこれテーブルから取れないようになっている。それが特徴なんです。」
「え?」
・・・・ということは盗難防止ではなく、
取れないというのがこの商品の正しい姿だったというわけだ。
つまり私の先程の取れなかったという行動はなんら恥じる必要のない行動だったのだ。
それを聞いた私は、それまでうつむき加減だった体をムクムクと起き上がらさせ、
いやこれはなかなか面白い商品ですね等と平静を装ってみせる。
□そんな私をヤキモキとさせたこの商品の名は、
<ポスト・イット>ポップアップノート デスクグリップ ディスペンサーという。
「ポップアップノート」とは<ポスト・イット>ノートをティッシュペーパーのように
次々と取り出されるというものである。
いつものものは、粘着面がすべて同じ位置になっているが、
「ポップアップノート」では、1枚ずつ粘着面が互い違いに付けられている。
広げるとちょうどジャバラのような格好になる。
これにより、<ポスト・イット>ノートが次々と取り出せるようになっている。
このポップアップをお使いになったことがある方ならおわかりだと思うが、
一枚取出す時には、
<ポスト・イット>ノートの束を片方の手で固定しながら取り出すということが必要である。
そのため、ポップアップの商品の中には、
わざわざ手で抑えなくてもいいように
あらかじめパッケージの本体自体が
重くなっているというタイプもある。
その重くなったケースでも
たまに急いでいるときなど
1枚を取り出そうとするとき勢い余ってそのケースもろとも
持ち上がってしまうということもしばしばあったりする。
おそらくそうした背景があり、
もっとしっかりとテーブルに固定できるものを作ろうではないかということで
今回のものが誕生したのだろう。
□外観は紙製のボックスでそれ自体全く重くない。
今回ご紹介するのはアメリカ仕様のカラフルなデザイン。
今後日本で正式発売されるものは少しデザインが違うものになるそうだ。
ボックスの上にはフタがあり、それを開くと、
ティッシュボックスのようなやや狭まった口があり、
そこから<ポスト・イット>ノートが次々に取り出せるようになっている。
実際に使う際には
そのフタは切り取ってしまう。
では、最大の特徴である裏面のご説明を。
裏面には丸くカットされたペラペラとしたゴム状のシートが取り付けられている。
本体とそのゴムシートは、真ん中だけでくっついているというちょっと変わった状態。
その表面に指を滑らせてみると、よくなめされた。
スウェード革のようにやや毛ばだちを感じる。
つまり、ザラザラとした感触だ。
ボックス側には、突起状のものが敷き詰められている。
まあ特徴を言えば、そういうことになるが、
取り立てて一度くっついたら決して放れませんという
意志の強さのようなものは全く感じられない。
むしろ大人しい印象だ。
しかし、ひとたびこれを机の上に置いてみると、先程のゴムシートは、
いきなり豹変して机にピッタリとくっついてしまうのだ。
実に不思議だ。
ちょっと意地悪をして、やや力を入れて引っ張ってみるが、やはり状況は変わらない。
大人しそうに見えて、実は意思の強いタイプのようだ。
ちなみに、いわゆる吸盤とも違う。
吸盤だと、はじめにある程度ギュッと机に押し込んで固定させるが、
このデスクグリップは、押し込むことなくちょこんと机に置くだけでいい。
これだけ、しっかりとくっついているので
ケースには一切手を触れずに<ポスト・イット>ノートだけを
つまんで楽々取り出すことができる。
□このデスククリップには
もうひとつの特徴というか性格がある。
あんなにさっきまで机の表面に付いたままだったのに、
横には簡単に滑らせることができるのだ。
上方向には、頑として動かないが、横移動には、柔軟性がある。
この滑り具合、
昔ゲームセンターにあった「エアーホッケー」のような滑らかさがある。
これは面白い。
机の上における文具のそれぞれの位置を考えてみると、
大きなものほど固定化され、
小さくなればなるほど、その位置はうつろぎやすいという傾向がある。
<ポスト・イット>ノートはどちらかというと、
日々あちこち動き回っているというタイプの文具だ。
そういう点で、このスライドが可能な仕組みというのは、
ありがたいといえるだろう。
□そうそう、この机にくっついてしまったデスクグリップだが、
これは、永久にくっついたままという訳ではない。
取り外すには机の端っこまで滑らせていけばいい。
下に机がなくなった途端、先程まであれだけ強情にくっついていたのが嘘のように、
そのひっつき具合の効力は、あとかたもなくなってしまう。
なお、このデスクグリップがうまくくっついてくれる相手は
主に
表面がツルツルとしたタイプだけだ。
表面がザラザラとしたタイプとの相性はよくない。
性格も好みのタイプも実にハッキリとしている。
□片手で<ポスト・イット>ノートを取り出せるポップアップノート、
そして、それを支えるデスクグリップ。
この2つの技術が実にうまく結びついた商品である。
記事作成後記
*ケースの中にはどうやらバネらしきものがあるようで
残りの<ポスト・イット>ノートが少なくなっても上側に持ち上がるようになっています。
*この<ポスト・イット>ポップアップノート デスクグリップ ディスペンサーは日本でも間もなく販売されるのですが、
ここで大変残念なお知らせなです。
一般向けではなく、当面は企業ノベルティ、つまりパッケージに社名等の広告を入れるという
用途のみに限定されるそうです。
ぜひとも、一般販売にも踏み切っていただきたいと、私は切に願っています。
*今回は米国で販売している製品をサンプルとして住友スリーエム社よりお借りして
インプレッションレポートをお届けしました。
*<ポスト・イット>は3M社の商標です。
(2009年6月30日作成)
■関連リンク
■ 「よそ行きカバーをまとったポスト・イット」 住友スリーエム <ポスト・イット>ノート レザーカバーシリーズ
■ 「外に持ち出したくなる〈ポスト・イット〉ノート」 住友スリーエム 〈ポスト・イット〉 スタイル ミニノート
■ 「時計式 ToDo管理術」 住友スリーエム <ポスト・イット>オンラインプリント i-Note
■ 「丸めて持ち運べるホワイトボード」 住友スリーエム <ポスト・イット>貼ってはがせるホワイトボード
■ 「目に見えない時間を面積で表す」 pen-info.jp 時計式 ToDo管理ふせん