■ 「こっそりと進化していたロディア」 ロディア ブロックロディア 158円〜
□もうかれこれ10年前の話になるが、
新婚旅行でフランスのニースに行った時に、
せっかくのフランスの思い出に、自分のために何かお土産を買おうと
小さな文具屋さんに入ってみた。
色々と珍しいものがたくさんあったが、ひときわ私の目を釘付けにしたのは
鮮やかなオレンジ色の表紙の1冊の小さなメモ帳だった。
それが、私のロディアとの出会いとなった。
そのすぐ隣に、Conteというきれいなグリーンの鉛筆とセットで購入した。
□その当時、ロディアはまだ日本には紹介されていなかったようだ。
当初、私はローディアと勝手に思い込んでそう呼んでいた。
日本に帰ってから、新し物好きの私は事あるごとにそのローディアを使ってみた。
しばらく使ってみると、ちょっとした不満点が出てきた。
1枚1枚の紙にはミシン目がついているのだが、
ピリピリと切り取る時に、
これが、きれいに切れないのである。
自称、神経質の私としては、これは大変気になる。
はじめ、私の切り取り方がうまくないのかと思って、何度も試してみたが
どうにもうまくいかなかった。
新しいページを開いて、さあ書くぞという時に、切れ端がでこぼこしているのは
気分のよいものではない。
そんなこともあり、次第にローディアの出番は少なくなり、
机の引き出しの奥のほうに入れっぱなし、という状態になっていったのでありました。
□それから、どれくらいの月日がたったことだろうか。
日本の文具屋さんや雑貨屋さんにローディアの姿をよく見かけるようになった。
「あ、これは以前に使っていたメモ帳だ!」と思ってはいたが、
例のミシン目ピリピリ事件のことがあったので、
購入までには至らなかった。
でも、あるときに文具屋さんでペンを何本か買うときに
ついでにローディアも買ってみた。
久しぶりに再会したローディアは一見すると、
当時と比べて別段変わった形跡はなさそうだ。
いざ、使ってみると、以前のローディアとは違った。
ミシン目に合わせてピリピリと切ってみると、今度はきれいに切れた。
一瞬、私のミシン目どおりに切る腕前が上達したのかと思ったが、
そうではなかった。
今度のロディアは紙質がよくなっているようだった。
【注:ここから先、話をわかりやすくするために、便宜上
10年前に使っていたのを「ローディア」
新しく買ったものを「ロディア」と呼ぶことにします。】
□ロディアの裏面には紙重量80g/uとある。
これは、1平方メートルあたりの紙の重さを表すものだが
これが重いほど質のいい紙と言われている。
もう一方のローディアの方は紙重量の記載はなかった。
それぞれの紙を手で触って鑑定してみると、
明らかにローディアの方が紙が薄い。
つまり、紙重量が軽い。
私の勝手な鑑定によれば、ローディアの紙重量は、おそらく
ロディアより20g軽い60gでないかと思う。
確かにロディアの方はミシン目に合わせて切り取りやすいし、
ペンを走らせた時の書き味もよく、にじみもほんどない。
およそ、20g/uの違いがこんなにも大きいものかと少々驚いた。
□よくよく比べてみると他にも、改良点がいくつかあった。
紙を綴じているホッチキス止めの数が違っていた。
ローディアが2本に対して、ロディアが1本。
1本少なくて、しっかりとした固定感があり、切り取りもしやすくなっている。
さらに、ホッチキス止めの裏側を見てみると、ローディアにはホッチキスの足が
出てしまっているが、ロディアは隠されている。
安全面からいって隠れていたほうがよい。
なんと、このホッチキス止めに関しては特許を取っているらしい。
□私の知らぬ間に、こっそりと進化していたロディア。
それからというもの、ロディア使いで有名なポール・スミス氏
ほどではないが
月に1〜2冊のペースで使っている。
下原稿を今やロディアで書くことが多くなった。
以前、モールスキンの紹介でも書いたが、私は電車の中で原稿を書くことが多い。
ロディアの色々なサイズを使ってみたが、
電車の執筆に最も適しているのが12番サイズだと思っている。
シャツの胸ポケットにもぴったり収まるし、ちょうど手のひらサイズなので
手に持って書くにはちょうどよい。
1つの原稿を書くのに12番サイズを20枚ほどいっきに使ってしまう。
1冊に100枚の紙が綴じられているが、前述のとおり結構なペースで消費している。
以前のローディアと違い、切り取りがきれいにいくので、紙がだんだん減っていくのを見るのが
実に気分がよい。
書き終わったものは、なんとなく捨てるのも惜しいので、ホッチキスに止めてとってある。
下原稿の中には、ボツになったところも結構あるので、たまに読み返してみると愉しい。
でも、私以外の人にはきっと判読できないかもしれない・・・
□メモ帳の本質は、なんだかんだといっても紙質の良さにつきると思う。
その基本に対して、しっかりと取り組んで改良をこっそり重ねてきたロディア。
オレンジ色の鮮やかなデザインばかりに目が行きがちだが、
基本の部分にたゆまない改良の手が加わり続けている。
こうした本質的なところで勝負をしている商品はとても好感がもてる。
普段着のシャツのように、毎日ガシガシと使うのにもってこいのノートだと思う。
(2004年10月19日)
■ ロディア ブロックロディア NO.12は、こちらで販売されています。
■ ロディア No.11は、こちらで手に入ります。
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