文具で楽しいひととき
■ その47 「流れるようなデザインのステープラー」 ラピッド社 StandUP Ultimate steel 3,150円


□皆さん、マイステープラーってお持ちですか?
 ペンやノートはお気に入りを使っていても
 ステープラー(ホッチキス)までは、という方は結構多いのでは・・・

 かく言う私も、Brause社 スケルトンステープラーを使うまでは
 そうでした。

 いろいろ探してみると、これは欲しいと思えるステキなステープラーは
 結構あるもので、そんな中から、
 今回はラピッド社のStandUP Ultimate steelを取り上げます。


ラピッド ステープラー スタンドアップ Ultimate steel


□ところで、日本ではホッチキスと言ったほうがなじみやすいが、
 欧米ではステープラーと呼ぶことが多いそうです。

 そもそもホッチキスという名は、アメリカのベンジャミン・ホッチキス氏という方
 がいて、なんと機関銃とホッチキスを発明したらしいです。

 機関銃とホッチキス。一見、関連性がなさそうだが、
 立て続けに出てくるという点で大いに共通点がある。

 当時、ホッチキスというブランド名のステープラーがあり、それをとある日本の会社
 が輸入したのがきっかけで、
 日本ではホッチキスという呼び名で親しまれているとか。 (*1)


□さて、今回のラピッド社 StandUP Ultimate steel
 StandUP=立ち上がる、Ultimate steel=究極のスチール
 商品の特徴を並べてみたら商品名になりました。というわかりやすいネーミング。

 商品名にもあるように、究極のスチールが使われているようだ。
 持ってみると、ずしりとくる。

 実は、スウェーデンという国は大変質のよいステンレス鋼を作ることで有名なんです。
 以前ご紹介したEKA社のナイフにも、スウェーデンステンレス鋼が使われている。
 他のステンレスに比べ粘りがあるので耐久性に大変優れている。

 ラピッドのステープラーにも、そうした肉厚のステンレスがふんだんに使われている。
 あえて塗装をせずに、むき出しにしているので、その上質さを実感できるのが
 うれしい。

 質のよいステンレスで織り成す滑らかな曲線のフォルムはどことなく
 未来のロボットをイメージさせる。


□ボディの要所要所にはラバーが付いている。
 はじめ、デザイン的なものかと思っていたが、
 使ってみて、それが単なるデザインだけではないことに気づかされた。

 前述のとおり、重い。
 なので、机の上に置く時に勢いよく置いてしまう。
 その時、このラバーがあるおかげで、ガチャンと音をたてることがない。
 そして、机もステープラーにも余計なキズをつけずに済む。

 ラバーの位置をよーく観察してみると、そういうことが考慮された位置に
 しっかりとラバーが3箇所ついている。


□商品名のStandUPにあるように、立てられるようになっていて
 縦置き、横置きができるようになっている。


ラピッド ステープラー スタンドアップ Ultimate steel

ラピッド ステープラー スタンドアップ Ultimate steel


 個人的には、綴じ口を下にした置き方が気に入っている。
 デザイン的に一番かっこよく見える角度であると共に
 縦置きにすることで、場所をとらずに済む。

 机の上はすっきりしたいと常々思っている私には、これはとても助かる。


□ボディサイズは、かなり大きい。特に奥行きが長い。
 ステープラーの口をガバッと開けてみると、その奥行きいっぱいに
 針の収納スペースが出現する。

 10cmちょっとある26/6(または24/6)サイズの針1本がすっぽりと入ってしまう。

 伊達に長いんじゃないんです。

 このながーい針1本でなんと約200回も綴じられる。
 ちなみに、国内のよくわれわれが使っているものは1本で50回。
 実に約4倍ということになる。


ラピッド ステープラー スタンドアップ Ultimate steel


 よく、ここぞという肝心な時に針がなくなるということあるが、
 200発あれば、その心配は格段に減りそうだ。

 まさに、立て続けに出てくるマシンガンのようだ。


□私は、これまでステープラーの綴じ口を前側にして、
 指と人差し指をメインにして握っていた。


ラピッド ステープラー スタンドアップ Ultimate steel


 一方、このラピッドを使うようになって、口を下側にして
 手の平でしっかり握るようにしている。
 この方が、断然力が入れやすい。


ラピッド ステープラー スタンドアップ Ultimate steel


 流線型のデザインも手伝ってしっかりと握ることができ、
 力が欠けやすくなっている。


□ペンに書き味があるように、ステープラーにも綴じ味というものがあると
 思う。

 これまで使ってきたステープラーは綴じると「ガチャリ」という
 いかにも綴じましたという音をたてていた。

 このラピッド社のステープラーは「シャリ...」という少々心もとない音がする。
 しかしながら、綴じ具合はしっかりしている。

 どうやら、この音は慣れの問題のようで、
 今では、この「シャリ...」という音が心地よく聞こえるようになった。


□綴じれば、当然失敗することもある。
 そんな時は、「はりトルPRO」。

 こちらもシルバーの質実剛健なタイプ。
 机の上に並べてみると、このシルバーの組み合わせは
 とってもあっている。


ラピッド ステープラー スタンドアップ Ultimate steel


 でも、おそらくこちらはメッキ仕上げだと思う。
 RAPIDステープラーの上質なステンレスと比べてみると
 その差は歴然。


□よく、書きなれた万年筆は人に貸してはいけないと言われる。
 それは、自分の書き癖を覚えこませたペン先の調子が狂ってしまうからだ。

 このステープラー、綴じ味が狂うということはないかもしれないが、
 「ちょっと貸して」と言われたら、ためらわれてしまう
 そんな想いにさせてしまうステープラーだ。




*参考文献
 「文房具 知識と使いこなし」 市浦潤氏 著 新潮文庫 S.61年
 「文具」 男のグッズ100シリーズ2 ワールドフォトプレス編 光文社文庫 S.62年


(2004年10月12日作成)



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