■ 「今年も収穫いっぱい ペーパーワールド2008 レポート」
□文具の国際展「ペーパーワールド」。
1月23日〜27日 ドイツフランクフルトで開催された。
今回も、61か国2,255社という相変わらずの大規模ぶりだった。
また、世界各国から10万人に及ぶ来場者も詰めかけ、
こんなにも世界の文具関係者がひと所に集まってしまっては
各国の文具の供給に支障をきたしやしないかと心配してしまうほどだった。
ただ、お膝元であるドイツのペリカンやラミーが出展していないということもあり、
個人的にお気に入りなブランドなだけに、少々残念な面もあった。
ともあれ、これだけのたくさんの文具が一同に会しているので、
見所には事欠かない。
展示会場は全部で、5会場、しかもその一つひとつが1階、2階という具合に
複数フロアにまたがっている。
その数なんと15フロア。。
昨年はこの大きな展示会場を前にただただ呆然としてしまったが、
今回で2回目の取材ということで
いかにして取材したらよいかという要領もそれなりに心得て、
足を棒のようにしながらも、そのほとんどのフロアをまわることができた。
そんな取材活動で見てきた
新作、そして日本未上陸の文具を
たくさんの写真とともにお届けしたいと思う。
■ スタンプペンの専門メーカー heri (ドイツ)
スタンプペンとは、読んで字のごとくペンとスタンプを一体化したものだ。
ヨーロッパでは、この「スタンプペン」というカテゴリーがあるようで、
今回のheri以外のブースでもいくつか見ることができた。
スタンプペンというと、なにやらとても大きなペンをイメージしてしまいがちだが、
このHeri社のものは、そんなそぶりを全く感じさせないスマートさ。
そのうちのひとつを見せてもらったが、
やや長めの印象はあるものの、
中にスタンプが入っているとは到底思えないほどだ。
ちょっと見たところでは、デザインのいいペンメーカーといった感じ。
この細さのどこからスタンプが出てくるかというと、
ペン先の反対側にあるキャップをはずすと
折りたたまれた幅5cmくらいの横長のスタンプが出てくるという仕掛け。
ペンはボールペンだけでなく、万年筆タイプまである。
heri社のスタンプペンに付いているスタンプには、
印面に予めインクが浸透されているタイプと、
セルフインキング方式という、インクパッドもペン中に収納されたものもある。
いずれも、別途スタンプ台を用意する必要はない。
先ほどご紹介した2本は、いずれもスタンプを出す際に
キャップをはずす必要があったが、
キャップレスタイプというものもあった。
ボディをペン先側にスライドすると、
パカッとフタが開き、スタンプが出てくるというものだ。
フタはスタンプ台、つまりインクが付いているので、
このままスタンプができるという手軽さがいい。
このheriという会社は1961年に兄弟で創業したメーカーで、
元々はボールペンや時計の精密部品などを作っていた。
その後、兄弟が別々の会社に分かれることになり、
このとき、同じボールペンをそれぞれが作っても
ライバルなるだけなので、
heri社は、スタンプペンに特化していくことにしたそうだ。
それ以降、スタンプペンの専門メーカーとして、
様々な商品開発をして、今日に至るという。
■ 意欲的な新作を発表していたトンボブース
ヨーロッパでデザイン性の高いペンブランドとして
確固たるポジションを築いているトンボ。
今回のトンボでは、2つの新作が発表されていた。
そのひとつが、デザインコレクションにあった。
ちょうど昨年20周年を迎え、
デザインコレクションの中でもフラッグシップ的な存在と言えるZoom707。
スリムなボディなのに握りやすい、しかもデザイン性も優れているペン。
私もずっと愛用している。
そのZoom707になんとショートサイズが登場していた。
その名も「Zoom717」。
ボディの細さはこれまでと同じで、長さだけがググッと短くなっている。
あんなに細いペンが、今度は短くなったのだから、
これはものすごいコンパクトさだ。
しかし、意外だったのは、コンパクトさよりも
バランスの良さがとても印象的だった点だ。
そもそも細いペンというものは、短いというのが
ペンデザインの基本なのだろう。
この細さにあった短さになったという見方もできるような気がする。
そういう意味では、
前作のZoom707は、いかに斬新であったかということなのだろう。
さて、今回のZoom717は、
これまでは、ブラックやダークグレーといった落ち着いたカラーだったが、
今回のものは、シルバーのつや消しボディに、
ラバーグリップもイエロー、ブルー、レッドといったなカラーになり、ポップな印象。
実際に持ってみると、その小ささのわりにズシリとくる。
これは、Zoom707同様ボディには頑丈な真鍮を使っているため。
ボディの長さをただ単に縮めただけというわけではない。
全体的なバランスを考えて、クリップもそれにあわせてコンパクト化が計られている。
ペンの種類はボールペンのみ。
よりコンパクトになったことで手帳との相性がよりよくなっているので、
個人的にはシャープペンタイプもラインナップに加えていただきたいと感じた。
短くなったとは言え、筆記しやすさも、もちろん確保されている。
もうひとつの新作は「エアプレス」というボールペン。
ボールペンの最大の弱点と言えば、上向き筆記だ。
ご存じの方も多いと思うが、
ボールペンを上向きで書くと、重力でインクがペン先に届かなくなり、
さらにはペン先から空気が入ってしまい、筆記ができなくなってしまうことがある。
最悪の場合はリフィルの後ろ側からインクが漏れてしまうことも。
そうしたことに対応して、各メーカーでは、これまで特殊なリフィルを開発してきた。
それらはリフィルの中を密閉して、
重力に頼らなくていいように内部を加圧するという手法だ。
今回のエアプレスもリフィルの中を加圧するという点では同じなのだが、
ユニークなのは、リフィル自体はこれまでの普通のものを使うという点だ。
つまり、ペン本体側にその仕組みをもってきているのだ。
ボディの中には、ピストンそしてその先端には加圧するためのゴムパーツがある。
ノックボタンを押すことで、リフィルの中に圧縮空気を送り、加圧するというものだ。
加圧をするということで、すごい力でノックしなければというイメージがあるが、
普通のノックボールペンとなんら変わらない。
たくさんノックすれば、加圧はより強まるかと言えば、そうではなく、
ノックを1回押して、ペン先を出すと加圧され、再びノックをしてペン先を収納すれば、
加圧されたリフィルの中はいったんクリアされるのだという。
このノックだけで、ごく普通のリフィルの中が加圧されて、
上向き筆記や多少濡れた紙の上での筆記もこなしてくれるという優れものだ。
このペンは「現場」をコンセプトに開発されたそうだ。
机の上では、PCに向かうことが中心になり、
ペンと紙は、机以外、つまり立ったままという状況が多くなっている。
そうした時は、結構上向きぎみ筆記になりがち。
このエアプレスは、そんな時にでも快適に筆記出来るという訳だ。
普通のリフィルが使えると言うことでランニングコストが下げられるのがいいと思う。
リフィルはトンボの「リポーター4コンパクト」に使われているややショートサイズのものが対応。
日本では3月中旬から発売予定 630円
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