■ 「ISOT 2014レポート!」 ■■■□□
■うっとりするメタルプロダクト TAKEDA DESIGN PROJECT
これまでの取材に要した時間は
およそ3時間半。
一方で取材した通路の本数は
わずか1本だけ。
入り口のメインストリートは
大手メーカーがブースを構えているので
毎年のことだが、
かなりの時間がかかってしまう。
ここから先は
通路を一本一本クネクネと
回っていった。
2~3本の通路をやり過ごしたところで
どこかで見たことのある
プロダクトが目に入ってきた。
鏡のように磨き上げられた
ペントレイなどが並んでいた。
昨年の9月に上海で開催された
ペーパーワールド チャイナで見たものだ。
パネルには
デザイナーの秋田道夫氏によるものだとあったので
確信に至った。
思いがけず再会した気分になった。
秋田氏の新作として
ファイルを立てかけておくスタンドがあった。
私は机の上では
書類は「オープンファイル」に徹している。
ボックスに入れてしまうと、
ファイルや書類が埋もれてしまうことがあるからだ。
ファイルや書類はできるだけ
その姿を隠さずに収納した方が、
探す時に圧倒的に楽に行える。
これは
まさにその「オープンファイル」ができるスタンドだ。
秋田氏デザイン以外にも
いくつものプロダクトが展示されていた。
その中で、思わず手にとらずにおられない
というアルミの塊があった。
これは、メジャーだという。
山口英文氏デザインで
「ミリセカンド」というブランド。
「ミリセカンド」とは、
1,000分の1秒台という意味。
つまり、「一瞬」ということだ。
一瞬で心を打つプロダクトという
コンセプトだという。
私は、
まさにその「一瞬」で心を打たれてしまった。。
TAKEDA DESIGN PROJECTは
株式会社タケダという
新潟の金属加工メーカーが
様々なデザイナーと共にコラボしているものだ。
ファイルスタンド、メジャーは
現在、販売に向けて準備中だという。(価格は未定)
販売が楽しみだ。
■個性が際だつ一人文具メーカー mono MAKERs
ISOTには
大手文具メーカーの出展が少なくなって久しい。
なにも日本の文具市場は
大手だけで構成されている訳ではなく、
色々な技術やアイデアを持った
それ以外のメーカーの存在も大きい。
このmono MAKERsブースでは
一人文具メーカー4社(人)が
大手とは違うユニークさで競いあっていた。
□その中で
おそらく一番「一人文具メーカー」歴が長いと思われる
スライド手帳。
同ブランドで一押しなのが
昨年のISOTで初お披露目されていた
「HIRATAINDER(ヒラタインダー)」。
まるで机の上に吸い付くようにフラットに開く。
ゴレンジャーではないが、
なんとか戦隊みたいなネーミングだなと
以前から思っていた。
今回は、カラーバージョンがラインナップに加わり
これはまさに「HIRATAINDERS(ヒラタインダーズ)」とでも
呼びたくなる展開を見せていた。
グリーン、ピンク、ブルーのカラーバージョンは、
正式には「HIRATAINDER Neo」という。
「HIRATAINDER Neo」では、仕様も少し変更され
背にあったステッチはなくなり
一枚もので仕立てられている。
また同社では
A4サイズの原稿用紙も発表されていた。
4種類の枠柄があり、
いずれも、その外枠には隠しマークがある。
縦、横5文字ごとに
柄に溶けこむように印が付いている。
文字数のカウントがしやすくなる仕掛けだ。
HIRATAINDEと一緒に使うと
またステキだ!
*スライド手帳 HIRATAINDER A5 各10,000円+Tax
カラフルな HIRATAINDER Neo 各8,000円+Tax
*原稿用紙は2014年9月頃発売予定。
□今回、私自身はじめてお目にかかった
一人文具メーカーのIDICさん。
「Dear Books」というブックカバーを発表していた。
凹凸感たっぷりの小川和紙製。
文庫本サイズになっている。
セット方法は、
まず本の裏表紙からカバーのポケットに差し込み、
次に反対側を右側に差し込んでいく。
ただ、このままだとカバーが
本よりも長すぎてしまう。
そこで、
そのブックカバーの長すぎる右側を
左側にスライドさせていく。
すると、
不思議なことにスルスルと
カバーがどんどん短くなって
本とジャストサイズになっていく。
構造としては
カバーの右側だけは
カバーとポケットが別パーツになっている。
そのため、
スルスルとスライドする仕組みになっているのだ。
よくできているのは、
ポケットを引っ張っても外れない。
分解してみると
カバーの端に折り返しがあり
それがうまい具合にストッパーの役割を果たしていた。
ブックカバーというものは
どうしても本と一体感が乏しいものが多い。
本に対してブカブカとしてしまうからだ。
これは、その一体感がずば抜けていい。
小川和紙以外にコットンタイプ、麻タイプもあった。
いずれの素材も
内側には紙を貼り合わせている。
その理由は、紙があったほうが
折り目がキッチリと付くからだそうだ。
だから、一体感があったのだろう。
構造は特許申請中だそうだ。
*Dear Books 価格未定 秋頃に発売予定
□次はネットでも大きな話題を呼んだ
「伊葉ノート」。
ふつうのノートと違って
ノートが斜めに開くユニークなスタイル。
形こそユニークだが
これには
なるほどと思わせる理由がある。
人がペンを持って書く時、
体を中心に考えると、
手は円を描くように動いていく。
ちょうどコンパスをイメージして頂くと
わかりやすいと思う。
扇型に開くノートは、
この手の動きを加味して
作られていたのだ。
左ページをまっすぐにすると、
右ページが少し手前にくる。
そう言えば、
文章を横書きしていると
だんだん右肩下がりになることがある。
このノートなら
思う存分右肩下がりが出来るわけだ。
伊葉ノートの開発者である宮坂さんは
書く時の手の動きを実によく観察されている。
その観察力をさらに進めて作り出した
アイテムが参考出品されていた。
宮坂さんが次に注目したのは
ペンを持った手の動きのスムースさ。
「サーフ オン ザ ペーパー」という
ハワイが頭に浮かんで来そうなステキなネーミングだ。
ところが
実物を拝見すると、少々ギャップがある。
これまで見たことのない
不思議な形をしている。
使い方は
ペンを持つ右手の下側に付ける。
これを付けて
ペンを走らせると
たしかに滑らかに紙の上を手がすべっていく。
これで書いてみた後に
こんどは外して再び書いてみる。
手が思った以上に紙の上でもたつく。
よっこらしょといちいち右手を
紙から離して動かさないといけない。
なめらか油性ボールペンをタップリと味わうには
その土台となる手も同じように
スムーズにした方がいいのかもしれない、と
気づかせてくれるアイテムだった。
特にじめじめした梅雨時には
いいかもしれない。
*伊葉ノート
*サーフ オン ザ ペーパー 参考出品
□monoMAKERsの最後は
ベアハウスさん。
これまで
「どや文具ペンケース」、「立つノートカバー」など
オリジナリティあふれるプロダクトを
次々に出している。
今回は、
「自由メイシイレ」というプロダクトだ。
まず、開け方からして違う。
右上のボタンをパチンと外すと
内側には2カ所の名刺収納スペースがある。
よくあるポケット式ではなく、
ひと角だけを差し込むという
ちょっと変わったスタイル。
アベさんによると
「これまでの名刺入れは、
機能としては
名刺を入れるというためのものでした。
出し入れについては、
実はあまり考えられていませんでした」
たしかに
いざ名刺交換となって
名刺を取り出すのに手間取ったという経験がある。
「自由メイシイレ」は、
収納した名刺の大半が露出しているので、
さっと取り出せる。
きっと相手の方より
コンマ数秒の差で
名刺交換体勢を整えることができることだろう。
この取り出しやすさは
実は探しやすさも兼ね備えている。
名刺を固定している角を
指で押さえてグイと折り曲げれば
パラパラとめくることができる。
素材にもこだわりがあった。
外側には「栃木レザー」を使い
内側には少々ザラザラとした質感の「兵庫県姫路製のレザー」を使用。
内側は名刺が
不意に落ちたりしないようにするため
あえてザラザラしたものを選んだという。
実は当初、試作段階では
外側の「栃木レザー」のウラ革をそのまま
内側素材に使ってテストをしてみたそうだ。
ウラ革は、十分にザラザラしているので
名刺の固定する意味ではよかった。
しかし、
頂いた名刺をしまおうとしたときに
名刺の角が引っかかって
角をつぶしてしまうことがあった。
もう少しだけ滑らかなものをと
「兵庫県姫路製のレザー」にしたという。
*ThinkAism 自由メイシイレ ブルー
自由メイシイレ ブラウン
各5,900円+Tax
15枚ずつ、計30枚の名刺を収納可能。
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